攻略!悪魔王編!「こういう時に限って」
さて、先程の戦闘で幾らか経験値が入っていたらしく、僕のレベルは一つ上がっていた。
それはそれで喜ばしい事なのだが、まだ僕らはこのダンジョンを攻略したと言える状態では無かった。
「まだ雑魚悪魔が湧いて出て来ると言う事は、まだ第二悪魔は倒せていない、って事だよな?」
先程の隠しボスが第二悪魔の「コア」では無かったのだ。ここのダンジョンには要するに「第二悪魔」とその「コア」、それとさっきの隠しボス悪魔の三つが居たと言う事になる。
「で、今度はどっちに行くんだ?何だか俺の勘がもうここには強い奴が居ないって囁いてんだがよ?」
ボッズはそんな事を言いながら出てくる雑魚を出てくる側から蹴散らしていく。
どうやら回復薬はボッズの体力も怪我も全快させた様だった。このダンジョンに入ってきた時の勢いと今が変わらない。ついさっきまであんな巨体を持つ悪魔と戦闘をしていたのにも関わらず。
「一度体勢を整え直してから再度挑戦しますか?地図作製を済ませてあるのでまたここまで戻ってくるのにそこまでの労力は掛からないと思います。ケンジ様のご判断に任せる所です。」
キリアスは優秀だった。ボッズが出てくる雑魚を相手してくれている間にマッピングはしておいてくれたらしい。
さて、ここは悩む所だった。一気に第二悪魔を倒してしまいたいと言う気持ち。
ソレと同じくらいに「一度戻って心身を休めたい」と言う気持ちもあったからだ。
(どうしてこのダンジョンにあんな隠す様にしてボスが配置されてたんだろうなぁ?何かのヒントも含んでいたりとかするのかね?)
そこら辺の事も気になったので一度ゆっくりと調査もしたいと考えたりもしていた。
ソレとその隠しボスだった悪魔の残った「頭蓋骨」が丸々素材として手に入ったのだ。
これをマウラスに持って行って渡せば何か重要なアイテムに変えてくれるかもしれないし。
魔王国に居るドワーフに渡せば何か面白い防具か、或いは武器にでもしてくれるのでは無いかとも期待が持てる。
その他にもこの素材でできる物を色々と探ってから第二悪魔を倒すのに力を入れても遅くは無い。
「このままの勢いでできるだけ進もうか。どうやらボッズはここのダンジョンにもう強いのは居ないって判断してるみたいだし。」
正確に言えばボッズの「勘」が、ではあるが。それでも充分に信用に足る話だ。
その証明は「隠しボス」を発見した事で充分過ぎる程である。
僕たちは一度行き止まりにぶつかるまではこのまま進むと言う事を決めて奥へ奥へと先へと行く事にする。
で、そう言う風に決めた時ほどこうして中々その行き止まりにはなったりしないモノで。
「ボッズ?本当にその「勘」は強い奴が居ないって言ってるんだよな?何で目の前に「コア」が出て来るんだよ?」
「んん?こいつが例のあれってヤツなのか?なら良いじゃねーか!さっさとぶっ潰しちまおうぜ!」
ここまで来るのにやっぱりボッズが勝手に道を決めて先へと行くので僕とキリアスは呆れながらもその後ろをついて行ったのだけれども。
こうして辿り着いた場所は本来の目的の「第二悪魔」の「コア」がある部屋だった。
僕はボッズにツッコミたいのをグッと堪えてこれ以上の無駄口を叩くのを止める。その代わりに警戒心を最大にまで上げて剣を抜き構える。
「こう言う時って運が良いのか、悪いのか、判断しかねる状況ってやつなんだろうな?いや、これは全部ボッズが悪い。」
僕がそう言い切った直ぐ後に「コア」から魔法が飛んできた。