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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「酷い、無残なる死に様」

 軍配は僕に上がった。悪魔はその巨体を支えきれない。前倒しになって転倒をする。骨を断ち切る事に成功したのだ。

 ここで一気に止めと行きたい。なので準備はどうかと僕はキリアスの方を向く。

 その時にはもう既に詠唱は終わっていたらしく、キリアスの周りには魔法の光だろうものが周囲に満ちている。

 どうやら大魔法と言った空気が僕にはその演出に感じられた。


 だけどもキリアスはその魔法の名を唱えずに発動した。どんな名称なのかちょっと気になったのだが、しかしその攻撃魔法を見て僕は次の瞬間にはそんな事を忘れてしまった。


 先ずは巨大な火柱が上がる。その攻撃は悪魔の脚を燃やし尽くして灰にする。

 骨まで残っていないのはその魔法の出力が強大で、幾ら骨が魔法に強いと言えども耐えられなかったんだろう。


 そしてそれだけじゃ無かった。まるでガトリング砲みたいに「氷の針」要するにアイスニードルが空中から悪魔へと降り注いだ。

 それは悪魔の土手っ腹を易々とミンチにして弾けさせる。この悪魔の肉体は魔法攻撃に弱いので一瞬で「氷の針」がその肉を削ぎ落して胴体は骨のみに。


 それだけじゃない。今度は両腕に水が絡まっていた。そう、キリアスが放った魔法攻撃だコレも。

 まるで蛇が絡みつくかの様に水がうねり、その腕を絞り上げつつも高速回転を始めた。

 水流内部には尖った砂礫が混じっているのだが、それらが悪魔の腕の肉を削ぎ落していくだけでなく、内部の骨まで砕き削り落としていく。

 瞬き三回する時間であっと言う間に悪魔の腕は綺麗さっぱりと消えてしまっている。


 でもまだ続く。今度はまだ無事な胸部だ。地面が悪魔を挟み込むように両側から盛り上がって来た。

 そしてそのままその魔法で作られた壁は閉じていき「ブチッ」とその悪魔の胸部を圧し潰す。一気に。

 ぺしゃんこ、胸部圧搾、コレで悪魔の残りの部分は既に首と頭部だけ。


「・・・うわぁ・・・えっっぐッ・・・」


 キリアスのこの魔法に僕の中から出てくる感想と言えばこれだけ。それ以外無い。

 もう良い加減にしてあげて欲しい。これ程の目に遭っている悪魔の方に僕は同情してしまう。

 だけどもまだ止まらなかった。どうやらキリアスが発動させたこの魔法、まだフィニッシュが残っている様だった。


 突然この場に轟音が鳴り響く。どうやら最後を飾るのは雷の魔法であるらしい。

 近距離で雷が落ちた時の衝撃は凄いモノで、その音、振動で身体全身が揺さぶられる。

 こんな洞窟内で、しかもこんなに近くでそんなもの凄いエネルギーが十発以上、その悪魔の残った頭部目掛けて直撃しているのだから、もう目も当てられない。

 鼓膜が破れるんじゃ無いかと思うくらいの轟音に僕は即座に耳を塞いだ。


 その雷は一撃で悪魔の頭部を焼け焦げさせて真っ黒にする威力だった。それを十発以上である。

 その全てが終わり、静けさが辺りに戻って来た時には、そこに残されたのはどう見ても悪魔の頭蓋骨のみ。

 その他はどうやら全て塵と化した様だ。もう何と言ったら良いか僕には分からない。

 分からないが、これはどう見たって過剰だ。過剰すぎる。


「・・・あー、キリアス?お疲れさん・・・止め刺してくれてありがとう・・・」


 だけども僕はここでキリアスへと労いの言葉を掛ける。だってこの短い時間で僕とボッズだけでは止めなどさせなかっただろうから。

 ちゃんと感謝の言葉をここは言うべき場面だと僕は判断した。

 だけどもコレにキリアスへとボッズは。


「ひゅー!えげつないなぁお前はよぉ?こいつ途中で既にくたばってたぞ?やり過ぎだっての。」


 軽く口笛を吹いたかと思うとボッズはキリアスを褒めたり労ったりするでも無く「オーバーキル」だと指摘する。


「それは私だって分かっていました。けれどもどれだけの攻撃で相手が丁度良く絶命するかなんて加減が分かりません。それに「殺せなかった」などとなるよりもマシでしょう。これくらいはやっておいた方が後の安全の為にも必要だと判断します。」


 確かにキリアスの言いたい事は分かる。敵がこちらの攻撃を受けて倒れた際に「やったか!?」などと言って実はやられていない、なんてフラグは回避したいものだ。

 実際はこうして戦っている当事者にしたらそんなテンプレは要らないのである。


「ああ、何はともあれ、二人とも、お疲れさん。」


 僕はそう言ってキリアスにMP回復薬、ボッズにはHP回復を渡した。

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