攻略!悪魔王編!「おい、お前どうなってんだよ?」
僕とボッズ、そしてキリアスは第二悪魔の居るダンジョンへと来ている。
今はもう既に前回まで到達した場所を少し過ぎた辺りくらいだ。かなりのハイペースで来ている。ソレもコレも。
「おっしゃぁァぁァぁ!」
ボッズが出て来る敵を出て来る側から瞬殺するから。
「ペースを落としてくださいボッズさん。この第二悪魔討伐のメインはケンジ様です。雑魚を倒すのもケンジ様にさせる約束だったはずです。」
キリアスがそう言てボッズを止めようと何度も口を酸っぱくして注意しているのだが。
「おうケンジ!俺に獲物を獲られたくなかったら競争だぞ?ほれ!今もまたそっちに雑魚が出てきやがったぜ!おらよぉ!」
さっきからボッズはこの調子だ。そしてキリアスのこの注意にも返す言葉が。
「俺はよ?魔王様から「このままでいい」って言われてんだ。ならケンジが魔王様の恩人だって言ってもよ?俺は俺の道を貫くぜぇ!お?また出たな?ぜいいいぃっ!」
と言う一言で黙らせてしまう。
「まあまあキリアス、良い良いよ。このまま行けばボッズも疲労が溜まって休憩する頃には大人しくなってるだろ。」
僕はキリアスに気にするなとそう声を掛けたのだが。すると。
「甘いですケンジ様。ボッズさんはそれこそ正に無尽蔵と言って良い体力バ・・・もとい、戦闘狂です。どんな事があろうとも死ぬまで止まりません。」
キリアスはボッズを馬鹿呼ばわりしかけていたのをグッと堪えて言い直した。まあ、その言い直した「戦闘狂」もちょっとアレだが。
さて、ここのダンジョンは迷路と言って差し支えないくらいには分岐路がある。
前回の踏破した所までは既にマルスがマップにしてくれており、そこまでの道中はソレがあったからこそのペースだとも言えた。
なのでソレを超えたら分かれ道がある度にその都度止まってどちらに行くかどうかを相談しようとしていたのだが。
「うん?こっちに何か面白そうな奴が居る気配がするな?おっしゃ!行くぜ行くぜ行くぜぇ!」
僕はボッズの事を見誤っていた、正しく認識できていなかった。
「・・・勝手に行っちゃうんだけど?キリアス、コレ、どう言う事?」
ボッズがそのセリフを口にして僕らを置いて勝手に通路をずんずんと進んでしまう。
出て来る雑魚悪魔はボッズが全部倒してしまうし、こうして分かれ道に入ると先程の様に気配だのなんだのと言って自分の行きたい道へと行ってしまう。
「マルス様とは別で、ボッズさんは先程の様に・・・強い存在が近くに居るとそういった「勘」が働くらしいです。」
もうちょっと詳しく聞いてみたらどうにも以前はフィールドに出て「プレイヤー狩り」をしていた際にこの「勘」を頼りに動いていたらしい。
本人曰く「こう言うのは何となく決めるんだ」と言って豪快に笑い飛ばしたらしい。
本人にしか分からない感覚、それを基準に何となくで生きる。これ程にいい加減な生き方も無いだろうが、どうやらその「勘」とやらをボッズはこれまで一度も外した事が無いらしい。空恐ろしい事である。
そしてどうやらその「勘」も今回は外さなかったようで。
「なあ?この広さは?どう言った事なんだ?こんな場所の情報、掲示板で見つけられなかったよ?」
ボッズは道の途中で狭い通路に差し掛かった時に上を向いていたのだが、突然壁をよじ登ったかと思うと「こっちに道があるぜ!」と叫んだのだ。
僕らに早く登って来る様にとせかしてきたので慌てて僕らもそこへと到着してみれば人一人が通れるくらいの裂け目が岩のド真ん中にあった。驚きである。
下の通路からは絶妙に見えない角度にその裂け目があったのだが、この裂け目にどうにもボッズの「勘」がその先へと向かえと言っているらしい。
そしてそのどうやら「隠し通路」とでも言える場所を進んだらあら不思議。広い空間に出て来たと言う訳だ。
そしてここの事は何処にも掲示板には載っていなかったと、僕の記憶が確かならば。
「お気を付けくださいケンジ様。どうやら敵です。」
キリアスがそう俺へと注意をする前にボッズは既に戦闘態勢に入っていた。コレも「勘」と言うやつなんだろう。
その後に一拍置いてからこの広い空間一杯になる程の大きな魔法陣?の様なモノが空中に浮かびあがって来たのだった。