攻略!悪魔王編!「心の癒し問題・ペット」
さて、俺は封印から解放されてこうして自由にこのゲームの中を遊び回れる様になった。
コレによって新たな日課ができた事は喜ばしい事だろう。それはもの凄く少ないながらもポイントが稼げるのだから。
でも、それでも同じ事をやり続けて変化を感じられないとどうしたってマンネリは入る訳で。
「雑魚悪魔狩りも何だか作業ゲーになっちゃって来たなあ。」
数字付き悪魔の居るフィールドをざっくりと走り回って出て来る雑魚を狩り続け、数が少なくなってきたと感じたら次に移動。コレを繰り返し続ける。
とは言え、それでも大体二つか三つ回るくらいで仕事のある日は時間的にそれで終わりとなる。
休日は休日でずっと無双ゲーをして稼いでも良いのだが、それはそれで飽きてしまう。
そうならない様に「休無双日」を設けてメリハリを付けたり、他の事も熟したりと気分転換も入れたりはしているのだが。
「やっぱりその程度じゃ駄目だな。もっとサプライズが欲しい。ああ、もしくは縛りプレイを課せばもうちょっとは頑張れるか?でもそれで効率が下がるのは嫌だしなあ?」
癒し、そう、癒しが欲しいのだ。そう言った存在が俺には無いとある日に気が付いた。
「そうだ!ペットを飼おう!・・・なんだか命に無責任な感じの発言だなこれじゃあ。思い付きとかで動物を飼うのが一番失敗するとか言うパターンだなコリャ。」
それでも今の俺は「モフモフ」「カワイイ」が必要だ。そう!現実では飼えなくても!この仮想現実のゲームの中ならイケるはずだ!
俺はこの思い付きを誰かに相談しようと思って玉座から立ち上がる。今日は「休無双日」であった。
「で、ミャウちゃん、どう?ペット飼いたいんだけど。何かコレが良いって感じのオススメはある?」
このゲームはファンタジー。現実には居ない動物が存在するのだ。そう言った点で見ていかにも摩訶不思議なペットを飼うと言うのもアリな感じである。
「魔王様の御心を慰撫する役目の愛玩動物で御座いますか?・・・ならば私が今すぐにでも一匹仕留めて参りましょう。」
「あ、ちょっと待って!仕留めるとか何?殺しちゃ駄目じゃん!?」
慌てて俺はミャウちゃんを止める。捕獲して参りましょう、では無く、仕留めて参りましょう、では大いに差がある。
俺はミャウちゃんはこの件では派遣できないと考えて別の者に相談を持ち掛ける事にした。
「で、ベルガーン、どう?良い感じのもっふもふで、可愛らしい動物とか?心当たりない?」
「ならば今すぐ狩ってくる・・・」
「ちょい待ち!狩るんじゃなくってねぇ!?」
俺は相談する相手をまた間違えた。城の廊下を歩いていたら偶々出くわしたベルガーンについついこの話をしてしまったのだ。
またしても駄目だコレと思った俺はしょうがないので自分でペットをゲットしようと思って外に向かおうと考えたのだが。
「あれ?この場合ってゲームシステム的に「テイマー」とかが無いと駄目?・・・ちょっと掲示板覗いて見るか。」
俺は重大な事に気が付いたのだ。そう、俺はそもそも魔物を操る事ができる権能を持っていた。
未だにそのレベルは低いのだろう。一日で二体までしか、しかもざっくりとした指示しか出せないのだ今も。
この事はプレイヤーの「テイマー」と言ったジョブとは全く根本から違うモノだろう。
そうすると俺は動物、或いは魔物をペットとして飼えるのか?と言った疑問が出て来る。
「テイマー掲示板・・・ああ、羨ましい。各自がモフモフペットを飼って毎日ゲーム内で癒されてるのかよ。俺も仲間に入れて欲しいってばよ!」
それでも中には飼育に非常に難儀を要する動物、魔物の話もあったりで中々にペットを飼うと言う苦労もしっかりと書かれていたりた。
「こういう所、ここの運営ってリアルにするんだよなぁ・・・ソレもまたイイものなんだろうけど。もうちょっと軽い気持ちで、軽い負担で、ペット飼いたいよなぁ。」
情報を一通りに調べた後、俺はまだ外には出ていない。門の前でボヤいていた。
そして俺の気持ちには揺らぎが生じている。
「やっぱり飼うなら俺がお世話したいじゃん?部下に世話を任せて逆にその部下にペットが懐いちゃったらソレって結構ショックになるだろ?・・・あ、一緒に外に連れ出して雑魚悪魔狩りが出きる様な強力な魔物を飼えば良い、のか?あ、いや、でも、俺はそもそもそんなテイマーみたいな事ができるのだろうか?」
また根本的な問題部分の事に立ち戻ってしまった。
「駄目だ。しょうがない。やって見なけりゃ分からないよな。それじゃあちょっと今日はペット探しに一日を使うとしよう。」
「何処までも御供いたします。」
「・・・ミャウちゃん、いつの間に俺の後ろに居たの?」
「このミャウエル、例え火の中であろうが、水の中であろうが、魔王様の御供として何処までも。」
このミャウちゃんの覚悟の言葉に俺は「あ、ハイ」としか言えなかった。