攻略!悪魔王編!「出たとこ勝負」
魔王国の宣伝は先ずはケンジにテストケースとして広めて貰う計画。
俺はコレが余り上手く行かないだろうと勝手に考えている。
「まあ、徐々にプレイヤーが意識を変えてくれるきっかけにはなるかもしれないけど。基本スタンスは多くのプレイヤーが変えないだろうな。」
魔族を倒す、魔王を倒す、恐らくはこのゲームの「基本」を変えたりはしないだろう。
今は「悪魔王編」に意識を大幅に取られている状態のプレイヤー達。そのストーリーが一段落したらきっと完全に停滞していた「魔王編」に目を向けてくるに違いない。
「魔王様、プレイヤーと言うモノは欲が深く、傲慢で、大局を悟る事ができない阿呆ばかりです。魔王様の御考えになられた「流れ」に乗って来るとは思えないのですが?」
ミャウちゃんは結構辛辣な言葉でプレイヤーを批判する。
「まあまあ、良いじゃ無いか。その時が来れば結果が分かる事だよ。駄目だったら駄目で計画は継続しつつも、そう言った俺たちに危害を加えようとするプレイヤーは狩っていくだけさ。前にプレイヤーは狩らないって言ったけどね。それでもこっちも身を守る為なら過剰防衛くらいはしても良だろうさ。倒したプレイヤーからはポイントも入ってくるし。悪意に対しては悪意で返せば良いだけだよ。」
俺はこの言葉を部下たちに周知徹底するようにミャウちゃんにお願いしておく。
「今日は狩りはお休みしてるしなぁ。何か新しい悪魔王編の情報が無いかゲブガルに聞いてみるか。」
必死になって同じ事を繰り返していると飽きるのでこうして城でマッタリする日を設けている。「休無双日」だ。
只々何もしない、と言う訳では無く、新たに判明した情報が無いかをゲブガルに聞いたり、戦闘訓練に参加してみたりと。
楽しむにしたって今や俺は自由の身である。城から出て外に繰り出す事がいつでもできる。
何時でも外に出られるからと言って、外に出ずっぱりにしたりはしない。
こうして城の周辺は巨大な街となり発展を今もし続けているのだ。これは俺の責任でもある。
「調子コイて色々とやらかしちゃったからなぁ。ファンタジーだし?科学と魔法の融合!とか叫んでロマンを追及したらできちゃったとか・・・危ないよなぁ。」
俺が自嘲せずにネットで調べた科学や機構などの基礎的な情報を研究者たちに流したらあっという間だった。
俺は正直に言って「できないだろう」などと考えて半ば冗談交じりで情報提供をしてしまったのだが。
「一つ教えたら「10」発明されて、その10がいきなり「100」になってたんだよなぁ・・・1日、目を離していた隙に。」
俺は遠い目をしてしまう。異常過ぎる速度での発展だった。魔力で動く工業機械とかドワーフは面白さと勢いだけで製作してしまうし。
エルフはエルフで色々な品種改良などをして植物関連で一気に変化と結果を出すし。
薬剤系の方面でも、建築系でも、経済面でも、あらゆる分野であっと言う間に文化爆発が起きるモノだから俺も面白がって集中的に情報を流し続けたら今の「魔王国」が出来上がってしまったのである。
今やその町並みは現代社会の写しみたいな景観になってしまっている。おい、ファンタジー何処行った?状態だ。
まあ、それは全て俺が悪いのだが。
「おーい、ゲブガル?何か新情報はあったかー?」
「いえ、これと言った情報は入って来ておりません。ここ最近第7悪魔に挑んだプレイヤーが出たくらいでしょうか?どうやらこれは情報集めの為の捨て石戦闘であるようだと報告があったくらいですね。」
「お?プレイヤーの動きが活発で早いな?ソレは大人数での戦闘?」
「いえ、6人編成であったそうです。どうやら情報集めが主な仕事としている者たちらしく、様々な攻撃方法を悪魔へと試していたそうで。」
俺は図書室に居たゲブガルとそんなやり取りをする。そこでプレイヤーの動きがどうにも焦っている?急いでいる?と言った印象を受けた。
「うーん?ゲブガル、コレをどう見る?」
俺はゲブガルにこのプレイヤーの動きの意見を求めた。コレにゲブガルは。
「先日に魔王様が直々に第6悪魔の元へと出向いた事がこの動きの背景にあるかと。」
「あ、それってもしかして?俺が数字付き悪魔を倒しちゃうと思ってる?横取りされる前に先制して動こうって?なあ?コアが残っていれば悪魔たちは復活するよな?時間経過で。それがまだまだプレイヤーたちの間に広がっていない?」
「おそらくはそうでしょう。うすうす勘付いている者も居るでしょが。大多数がこの情報を知らぬかと。この情報をプレイヤーは得られておらぬようです。」
どうやらプレイヤー側の誰も「コア」のフラグを起てている者がいないらしい。
「あー、これは俺にとって好都合か。だけどなぁ?余計な意識を俺に向けて来ている形になっているのは鬱陶しいからどうにかしたいもんだが。雑魚狩りしてる俺にプレイヤーが遭遇してちょっかい出されても困るし?雑魚悪魔を露払いさせるために俺の後ろに隠れてこそこそと付いて来られるとかやられたら滅茶苦茶鬱陶しいしイラつくなぁ?」
俺は今のプレイヤー達の動きがどうにかならないものかと頭を少しだけ悩ませた。