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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「お土産で広める魔王国」

 僕は今、始まりの街に戻って来ていた。それはお土産をお世話になっているNPC達に渡す為である。


「久しぶりですね!と言うかこんなに貰っちゃっても良いんですか!私が今まで見た事も聞いた事も無い素材ばかりですよ!?」


 先ずはマウラスに道中と魔王の国で手に入った素材を提供。そして次は武器屋で。


「・・・スゲエなこいつは。土産と言っておきながらこいつは・・・」


 魔王の国のドワーフ製の武器をお土産として渡しておく。次は師匠の所で。


「ほほう?嗅いだことの無い香りじゃな。かなりの高級茶か?それにこっちは煙草か。ふむ?どれ、一服して見るか・・・ほう?これは味わった事の無い味じゃな?口の中がサッパリとするのう?」


 こちらも魔王国産の品を渡した。師匠に渡した品は別にお高いモノでは無い。向こうでは品種改良やら開発などが盛んであり、比較的安い値段で手に入った物だ。

 そう、魔王国、どうにも「人の街」で流通する通貨で購入が可能だった。

 ドワーフ製の武器は性能に見合ったお値段でお高かったが。


(コレが知れ渡ったらプレイヤーがわんさか魔王の国に向かっていくだろうな。でも、その中の何人が生き残れるだろうか?)


 僕はそこら辺の内情を良く知っていた。マイウエルとマルスに教えて貰っていたのだ。

 コレに僕はプレイヤーにそんな事をそう簡単にホイホイと教えて良いのかと問うたのだが。


『ぶも?もうケンジはオラたちの身内だべ?しかもケンジは別にこの事を言い触らす様な奴じゃないとちゃんと分かってるだべ。』


『当然悪意があるプレイヤーになら教えたりはしないけど。ケンジはもう仲間だもの。それに、たぶんプレイヤーが警備の事をある程度知ったとしても・・・実力が足りないわね。』


 魔族の二人からのプレイヤーの僕に対する信頼が重くて分厚い。短い付き合いなのに何故そこまで信頼を出来るのかが疑問だ。


 しかしまあ、僕は魔王の国に辿り着くまでの道のりがどれだけ難関かをもう知っている。

 だからプレイヤーが魔王国へと侵攻を幾らしようとも全体の九割が城の門にまで辿り着けずに脱落するだろうと予想ができた。それは全滅と言い換えても良いだろう。


(防壁からして堅牢だし。それを突破しても次は森の中を行軍するって・・・慣れていても相当に難しい案件だからなぁ。魔族の方からしたら森の中なんて庭みたいなもので。ゲリラ戦を仕掛けられたらプレイヤーは全滅の勢いだよアレは)


 レベルカンストしたプレイヤーが何人集まろうが恐らくはどうにもできないだろう。迎撃態勢がえげつない程に整っているのだ、魔王軍側が。

 僕がザっと考えても森を行軍するプレイヤー側に幾つか作戦を思い付きはするのだが。それらが通じるか?と問われると速攻で「無理」と答えるだろう。


(だって魔王軍は統制が完璧だよ?プレイヤーが敵うはずも無いね。魔族はしかも一人一人の実力めっちゃ高いのが揃ってるから。多分奇抜な作戦を決行して不意を突こうにも恐らくは魔族側に死者は出ないと思うね。それだけプレイヤーと魔族には強さに隔たりがあり過ぎる)


 僕は始まりの街からの帰り道にそんな事を考えながら歩いた。お土産は皆に喜んで貰えたようで嬉しい気持ちになりつつも、頭の中はこれだ。


「ぶもー。もう良いだべかケンジ?じゃあお次は第二悪魔に殴り込みに行くんだべな?」


 街から大分離れた場所からマルスの声が響いて来る。

 マイウエルの隠蔽魔法とマルスの隠形スキルが合わさっていきなり突然に目の前の空間からマルスが現れたようにこの目には見えている。


「これだけのコンボがあれば誰にもバレずに暗殺し放題だよな。」


「そんな事は魔王様の命令でもない限りはしないわ。それで、お土産は喜んで貰えたの?」


 マイウエルもやはり何も無い空間からニューっと現れた。隠蔽魔法は怖ろしい。

 何て事なさそうにしてマイウエルが僕へと知り合いとの再会はどうだったかを問いかける。


「ああ、凄く喜んでくれたよ。少しずつだけど魔王の国の現状がこれでバレていっちゃうけど。良いんだよね?ホントウに?」


 これは魔王の方から言ってきた事だ。魔王の国の事を少しづつ周知していってプレイヤーとの交流を次は図るのだと言う。


「魔王様にどんな事があろうとも付いて行く覚悟はできてるべ。この政策が良い方向に転ばなかったらその時はその時だって、魔王様もおっしゃっていたんだべな。」


 マイウエルもこのマルスの発言に頷く。どうやらもう腹は据わっている様だ。こうなれば僕にはもう何も言える事は無い。


「それじゃあ第二悪魔の居るダンジョンへと向かおう。」

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