攻略!悪魔王編!「倒すチャンスはここ!」
俺の腕は青白く光り始めた。これは魔力操作で生み出している現象だ。
さて、俺は今まで城の中で閉じ籠っていた訳じゃ無い。
城下街を発展させる事に尽力しつつも、戦闘訓練を怠ったりはしてない。
と言うか、たまには体を思いきり動かさないと戦闘勘と言うモノも養えないと思っての事だ。
これは良いメリハリを生んで毎日の活力になり、精力的に活動ができていた。
「そらよっと!」
俺は腕に集めた魔力を使って一撃を繰り出す。拳を前へと単純に突き出しただけだが。
しかしそれは第六悪魔を吹き飛ばす。俺の突き出した拳から青白い塊がそのまま放出されて第六悪魔に直撃したからだ。
俺と第六悪魔との距離は10mほど離れていた。しかし相手が吹き飛んだ距離は20mくらいである。
「ほえー?訓練では出しちゃ駄目な威力を込めて放ったけど。あー、確かにコレを受けてたら皆に致命傷を与える事になってたかもしれんかったな。訓練始めた初期の頃に魔力制御を覚える事ができていて良かったよ。」
第六悪魔は近寄ると熱ダメージがエグイとプレイヤーたちが言っていたのを聞いて近づかない攻撃方法を選んだのだ。
そしてソレはどうやら正解だった様である。プレイヤーたちが未だに逃げ出せていないから。
これだけ吹き飛べば第六悪魔が起き上がって来るには時間ができるし、距離も稼いだからこのままプレイヤーの逃げる余裕ができただろう。
だけども逆効果だった様だ、プレイヤーにはこの衝撃は。
「いや、勝てるはず無いんだが?」
「初見殺しとか言ったちゃちな攻撃じゃ無いよねコレ?」
「二回目に放たれても受けきれない威力じゃね?と言うか、避けれる速度してないじゃん飛ぶスピード・・・」
俺が拳を前に突き出したと同時に第六悪魔は吹き飛んでいる。そう、同時だ。
ならばコレを避けようとするならば俺の動きを全て事前予測して早めに回避、と言うか、全力回避を狙わないとならないだろう。
まだまだ俺は全力では戦っていないのだが、これだけでプレイヤーがドン引きをしてしまい、まだ逃げ出そうとする動きは無い。
と言うかショックで動けないみたいになってしまっている。
「おーい、早く逃げるなら逃げた方が良いぞ?何せ次に奴が攻撃して来るならヤバい奴が来ると予想が・・・あ、これは遅かったか。」
第六悪魔は結構早く復帰した。そして「コア」で見せた様にその身体の中心がへこむ。恐らくは熱光線が来るだろうこうなると。
「おーい、全力で防御しろー?そうじゃ無いと死ぬぞー?あ、ミャウちゃんは俺の背後に隠れてね?あ、きた。」
その熱光線は「コア」が放って来た物よりも太い。攻撃範囲は広く、俺を中心に狙って来ていてついでにプレイヤーも一緒に灰にさせるつもりらしい。
俺はコレに腕をクロスアームブロックで受け止める。
「おっと?あちちちち?コアよりもこっちの方が威力が高いな?もうちょっと威力収束を狙ったものなら俺にもっとダメージを与えられたのにな?」
この熱光線では俺を倒せない、そんな確信を持ってこうして受け止めたのだが。
「避けようと思えばこの魔王の身体スペックなら余裕なんだよなぁ。それでも、バトルしてるって感覚が欲しくてこうして防御したけど。もう、良いか。」
熱光線は既にもう止まっている。第六悪魔はどうやらコレが「大技」らしく、技後の硬直時間でも設定されているのかどうなのか?止まったままで動かない。中央のへこみ部分も元に戻っていない。
「あー、どうやら大ダメージを与えるなら今!って感じだな。まあ、プレイヤーは動けないみたいだけどな。」
どうやらあの熱光線が直撃と行かずに掠っただけであるらしいのだが。
プレイヤーはそれでも熱ダメージを相当食らってしまったらしく、アイテムを取り出してHPの回復に専念していた。
「絶対に無理!あんなの倒せねえ!早く回復して逃げるぞ!」
「漁夫の利を狙えないか?とか馬鹿な事を言ってる場合じゃ無かった!死ぬ!」
「何であれで魔王ピンピンしてるの?!直撃だったじゃん!?俺たちアレ掠っただけで瀕死なのに!?」
プレイヤーと魔王では根本の出来が違う。そう言った基準があからさまに違うのにこのプレイヤーたちの驚き様はそこに全く思考が行っていないのだろう。
「さて、止めを刺そうか。何ポイント入るかね?いや、もしかしてゼロとか言った可能性も無い訳じゃ無いから過度な期待はしちゃいけないか。」
こうして俺はまた再び腕に魔力を集めた。