攻略!悪魔王編!「哀れな光景は見ていて痛い」
さて、何故俺たちが今こうして第六悪魔の居る場所に居るのかと言うと、ウチの部下たちは優秀だと言う事である。
各地に出向いて情報を搔き集めて来たのだ。姿を人種に偽装して。
虱潰しに悪魔王編の情報を人海戦術で集めきり、城でソレを精査する。
その中で城の書庫に在った情報も漁りまくって確証を得たり、情報補填などをしていたりする。
俺は中身が「プレイヤー」なのでどうにもその情報はフラグを立てる事ができるらしく。ステータスメニューにも悪魔王編に関する辞典みたいな検索機能が付いた。
封印が解除になり外に出られるようになって各地の絶景を見て回った後に確かめたのが「悪魔王編」に俺が介入できるかどうかであった。
第一悪魔の居る森に入って雑魚悪魔が出現したのを見て別の場所にも出向いている。そして同じ現象が起きる事を知った。
こうして俺はケンジに対してマルスとマイウエルを付けて第一悪魔から攻略に行ったら?と促して俺は第六からこの悪魔王編にちょっかいを出そうと動き出したのである。
(俺だってこのゲームのシナリオを遊んだって良いじゃん?悪魔王に共闘しようぜ!とか言われたのを蹴っちゃった事もあるけどさ。で、目の前のプレイヤー達はヤバそうだけど、どうするかね?)
第六悪魔との戦闘が解放されるフラグを起てたプレイヤーなのだろうここに居ると言う事は。
ならば彼らの実力お手並み拝見と言った感じで俺たちはそのバトルを見守るつもりだったのだが。
「ちょおおおお!?あれって魔王じゃないのか!?」
「嘘だろ!?ここで魔王も参戦?確実に死ねるじゃんね!?」
「コイツ!熱すぎだろ!近づくと熱ダメージの減りがエグイのに!」
「だから言っただろうが!調子コイてお前が見物に行こうぜとか言うから!」
「バカ言うなよ!お前が熱系防御対策は万全とか言たじゃねーか!」
「ムリゲー!無理ゲー!この第六悪魔強過ぎるって!しかも!何!?魔王がそこで偉そうに見物してますけども!?」
俺の登場に驚いて戦線が崩壊しかけている。ついさっきまではまだまだ粘れると言った具合だったのに俺の姿を見たとたんに慌てふためいて第六悪魔からちょっと良い目の攻撃を食らってしまっている。
「よそ見はいかんな?ソレと、動揺し過ぎだろう?自分たちの現状に余裕が無いと分かっていたはずなのにな?ホレホレ、そんな事だからもうやられちゃう寸前になっているじゃ無いか?根性を見せて貰いたいね?」
俺は煽った。だがこれは効果が無かった。と言うか逆効果だった。
「ちょ!なんか魔王が言ってる!?って!何を偉そ・・・ぎゃああああああ!?」
回復役なのだろうプレイヤーが第六悪魔の攻撃で燃え尽きてしまった。
俺の言葉を受けて偉そうな事を言うなとツッコミを入れようとしてこちらに視線を向けた瞬間にマグマ弾を食らってしまっている。
第六悪魔の姿は「コア」と同じだ。それが体高3m程の人型をしているだけ。
特殊な攻撃方法は「マグマ弾」と「灼熱の触手」の二つしか使っていない。それと肉弾戦だ。
この後のプレイヤー達は酷かった。第六悪魔の動きはそこまで早いモノでは無いのでその攻撃を避けてはいるのだが。
掠っただけで、と言うか、側を攻撃が通り抜けただけでどうやら熱ダメージがエグイらしい。
ソレとマトモに当たってしまえば大火傷で大ダメージどころか、その後に継続ダメージが続くらしく。
前衛で盾役に徹していたプレイヤーはマトモに一撃を食らってはいなかったのに光となって消えてしまった。
回復役が居なくなってしまったのでHPを回復できなかったんだろう。
「撤退だ!逃げるぞ!もうこんなのやってられねーよ!・・・って!ぎゃふん!?」
恐らくリーダーであろうプレイヤーが生き残りの仲間にそう言って真っ先に逃げ出そうとしたのだが。
そこに灼熱の触手がヒュンと飛んで行っていた。それが直撃。悲しいかな、そのプレイヤーはその瞬間に体全体が燃えて始めてしまう。
どうやら熱ダメージで着ている防具や服に一瞬で火が付いてしまったようだ。
もうどうしようもない。燃えている仲間に火消として水を掛けられる者は居ない。
どうやら魔法使いも居るのだが、水魔法を取得していないらしく、第六悪魔へと放っていた魔法は「土魔法」だと見られた。
時には地面から壁を生み出して前衛の盾役だった仲間を守っていたけれど、それも今は役に立たないし、どうやら土を掛けて消火と言った事も思いつけない様である。
燃え尽きていく仲間を唖然と眺めるしかない残りのプレイヤー。どうやら全滅を覚悟したのか全身から力が抜けてだらりとその場に立つだけとなり、逃げる気力も沸いていないらしかった。
「さて、ミャウちゃん。彼らはもう戦意が無いみたいだし?俺たちがやっても良いみたいだ。取り敢えずミャウちゃん一撃入れて見て?あ、殺しちゃ駄目ね?止めは俺が刺してポイントが入るかどうか確かめるから。」