攻略!悪魔王編!「ハズレ」
地道に地下への道を進んで行く。その道中に出て来る雑魚は全て殲滅しながらだ。
もちろん俺が全て止めを刺している。そうしないとポイントが手に入らないから。
こうして進んで行けば宝箱なども見つかったりするが、その中身は取らない。何故なら。
「俺にとっては要らんアイテムばかりだしな。ウチの部下たちにも別段必要って物も入って無いとか?がっかりだよ。・・・違うな。余りにもドワーフやエルフが作ってくれるアイテムが優秀過ぎるんだな。あ、獣人たちの作ってくれてるアイテムもここの宝箱の品よりもレアリティ高いってどうよ?」
発展させ過ぎた、などと言ってしまうと贅沢なんだろう。ファンタジーに導入しちゃうと「ヤバい」物も幾つか調べて知識や技術を広めてしまっていたりする。
なのでここで俺があんまり運営の準備したであろう「宝箱」の中身をとやかく言うのは余りにも酷だ。
これらのアイテムはプレイヤーの為に取っておいてあげるのが優しさと言うやつだろう。
変わり映えしない洞窟を行く。そこら中が溶岩でマトモに踏める足場が少ない。きっとプレイヤーならこんな場所では戦える範囲が狭く、溶岩に入ってしまえば大ダメージになる危険地帯なのだろうが。
「俺が幾ら溶岩に脚ツッコんでも燃えない所か熱くすら感じないとかね?」
試してみたのだが、全く影響が無いのだ、この「魔王」には。ここのダンジョンに入って余りにも熱さを感じないからちょっとだけ試してみたのだが。これにはちょっと引いた。
ミャウちゃんはしっかりと自らに魔力でのバリアを張っているので熱さのダメージは軽減しているから動けるのであって。
「ちゃんとプレイヤーが攻略できる難易度に設定されて「無い」んじゃないのか?これ?」
そこら辺は俺が気にする事では無いのかもしれない。そんな余計な事を考えながらも雑魚悪魔をぶっちぎる俺。手応えが余りにも無さ過ぎる。
「いや、違うな?魔王がこの「悪魔王編」を攻略するなんて事を想定されてない、ってのが真実だな。」
運営の想定外。しかもかなり斜め上。俺はソレを改めて思う。
俺の存在自体をどう運営が捉えているのかは全く分からない。けれどもこれほどに俺が大暴れしているのに未だに何も向こうからアクションが来ないというのは「そう言う事」なんだろう。
「自由、って表現するのはちょっとなぁ?俺も一応は「プレイヤー」なんだし、楽しめ、って事なのかね?」
俺の独り言に何も答える事は無いミャウちゃん。ずっと俺の護衛の仕事をちゃんと熟している。
前だけ見て進む俺の代わりに周囲の警戒をしてくれているのだ。
「で、どうやらここが一番最下層?奥地?・・・ハズレだったな。コアがあるじゃん。」
そこには真っ赤な真っ赤な。いや、オレンジも混じっている。白も混じっている。
そう、マグマの塊と言って良いモノが宙に浮いていた。しかも綺麗な球体だ。
内部が常に流動しているのか、どうなのか?その表面はグネグネと渦を巻いたり、停滞したりとランダムで動いている。
「よし、ミャウちゃん引き返そう。コレを壊すのは後だね。・・・おっと!?どうやら逃がす気は無いのかな?でも逃げるけど。」
突然そのコアから溶岩が弾け飛んできた。どうやら向こうは俺たちを骨まで残さずに燃やし尽くす気らしい。
でも悲しいかな。俺にその溶岩弾は効かない。全くダメージゼロ。ミャウちゃんはというと、コレをひょいと余裕で躱して被害が無い。
こうして俺は気にせずに真っすぐ来た道を戻る。軽くランニングをする速度で。
「飛んでくるのが鬱陶しい。でも逃げる。さて、どこら辺まで追ってくるのかな?」
奇妙な鬼ごっこが始まった。