攻略!悪魔王編!「取り返したい」
僕らは一旦魔王の城へと戻る事にした。森を何も問題無く抜けたのだが。その後の帰りの道中には魔物はやっぱり襲って来る事は無く。
「その代わりに雑魚悪魔が群がって来るとかどう言う事だろうか?」
「もしかしてあの宝玉が関係してる可能性があるべ。コレを取り返そうとしてるのかもしれないべな?」
「でも、この程度の数で襲われても強さがね?手は抜かないけど緊張感はちょっと無くなりそうかな?」
六体がどうにも一纏まりらしい。雑魚悪魔はそれぞれ前衛、後衛、中衛、遊撃と言った感じで役割分担を付けて僕たちに頻繁に戦闘を仕掛けて来ていたのだが。
それらはマルスが軽くあしらい、僕が奴らを散らばらない様に足止め攻撃をして、そしてマイウエルの魔法一発で殲滅と言った具合にテキパキと潰していった。
雑魚悪魔は剣や槍や弓、盾に魔法といった具合にその役割に合わせて武器や防具、攻撃方法などもバリエーションが多かったのだが。
中には回復魔法を使う悪魔もいて驚かされた。まあマイウエルの魔法一発で全て諸共消滅させられていたのであ意味は無いのだが。
「第二悪魔の所に居る雑魚はもうちょっと強かったりするのかな?」
僕はそんな事を思いながら目の前に現れた雑魚悪魔を切り捨てる。その時にどうやらクリティカルが発生して敵は光と消えた。
「どうだべかな?もしかしたらどいつもこいつも同じって事もあるかもしれないべ。」
マルスは横一線に大斧を薙ぎ払うと二体を真っ二つに切り捨てる。敵はこれでまた二体減った。
「第二悪魔は戦闘方法って変化があるかな?第一と全く同じというのは流石にないよね?」
マイウエルが三発連続で初級魔法を放つ。いや、込められた魔力が多いらしく、その威力は初級と呼べないレベルの破壊力だった。
ファイアーボールだと思うのだが、それは小さい火種で。敵にソレが触れた瞬間に大きな火柱に変わって相手を灰に変えてしまったのだ。
瞬く間に雑魚悪魔パーティは消えてなくなる。これで十五回目だ。
「流石にうんざりする回数だな。全部相手にしてると城に戻るにも時間が掛かり過ぎちゃう。どうする?走って躱す?」
僕は流石にこれは無いと思って提案をする。この第一悪魔が居る森に来るまでの道のりは全く何事も無くスムーズに来たのに帰りがこれだ。
そのギャップがあって僕はもう辟易している。一度の戦闘に掛かる時間がそれこそ短いと言えども。
「そうだべな。確かにそれでも良いだべが。でもこれはケンジの為になるからやってくる奴らは全て殲滅してしまうのが良いだべよ。」
「そうだね。倒せるだけ倒して行きましょ。ケンジがもっと強くなってくれたら私たちも戦闘が楽になるからね。」
「厳しいお言葉で・・・まあ、確かにここで甘い事を言っていられる場合じゃ無いんだよな。僕も強くなって二人の横に並んでいられるようにしないとね、ちゃんと。」
第一悪魔の「コア」と言えるモノを消滅させた時に上がったレベルのステータス分の調整はもう終わっている。
第一悪魔との戦闘の時には少しだけぎこちない動きで戦ってはいたのだが、それも二人の強さのおかげで何ら問題も無く倒す事ができているのだから魔族様様である。
そして今もまた雑魚悪魔が襲い掛かって来てるのだが、これだけの回数を散々戦闘し続けてきたのだ。もう自在に体は動く。
「アイスニードル!」
隠蔽の魔法で姿を隠していたのか、どうなのか?もしくは斥候役で姿を消せるスキルでも持っていたのか。突然目の前に雑魚悪魔が現れる。
けどマルスの索敵の方が優れていて目配せで事前に「敵が来る」という合図を受けていた僕は即座に魔法での迎撃に成功する。
ブスリと人差し指程の大きさの氷の針がその敵の胴体に突き刺さる。
それによって死にはしないながらも勢いを止められた雑魚悪魔は僕らへの接近を失敗する。
その後はやはり蹂躙だ。出て来た雑魚悪魔たちはどれも「暗殺」を得意としたスタイルらしいのだが。
そんな事はもはや関係無く、即座にマルスが残りの敵の内の四体を葬ってしまった。横薙ぎの一閃だけで。
残りの一体は既にマイウエルの魔法で倒されている。頭上から掌程の大きさの先端が非常に尖った石で貫かれて絶命していた。
「あとどれだけ倒せばいいんだ?これで打ち止めだと助かるよ・・・」
僕は戦闘終了後にそう思わずぼやいてしまうのだった。