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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「エグい育成」

 数字付き悪魔、それらは自分の急所を何処かに隠蔽していると言う。それさえ破壊されなければ幾らでも奴らは復活できるそうで。


(掲示板を調べてみたけど、プレイヤーは誰もその事に全く気が付いていないらしいんだよなぁ)


 森の中をマルスの後に付いて行きながら考え事をする僕。だけどそんな状態でも周囲への警戒も怠らない様に視線は左右に振っている。

 僕の後ろはマイウエルがいて殿を務めてくれているのが心強い。安心感が凄い。


(確か今は第二までは討伐に成功してる・・・あれ?ついこの間には第三も倒したとか書かれてたっけ?)


 それでもその第三を倒した頃には第一悪魔の復活がプレイヤーの中に広まっていた。

 その復活も「仕様」なのだろうと言う話が広がっている。それは要するに、まだ数字付きと戦った事が無いプレイヤーへの配慮、とか言った事である。


(大規模レイド戦をして確かまた倒されたんだよな。それでまた今復活したばかりなはずだ)


 プレイヤーの誰もが第一悪魔を倒した「フラグ」はもう充分に起っていると思っているだろう。

 だが本当の意味で「討伐」ができていないと言う事にどれだけのプレイヤーが気付けているだろうか?


(既に第五、第六と戦う為のフラグは回収されているって話だけど。それでも今はまだ第四が倒されたって情報は流れていないよなぁ)


 今も森を迷い無く真っすぐに進むマルス。僕は数字付き悪魔の事を一度忘れてマルスへと聞きたかった疑問を投げてみた。こうも黙ったままで歩き続けていると気まずかったので。


「マルスはどう見てもパワーファイターなのに何でこんな斥候みたいな事もできるんだ?」


「ぶもー?ソレは魔王様がアドバイスしてくれただからだべな。オラはずっと強くなる事に伸び悩んでたんだべ。それを何処で耳にしたのか分からないだべが、突然ある日に魔王様がオラの所に来てこう言ってくれたんだべ。」


『マルスって言うんだってな?おう、初めましてか。魔王だ。宜しくな!で、突然なんだが、強くなりたいけど自分じゃ頭打ちになってると感じて悩んでるって小耳にはさんだんだ。お前さんが強くなればより一層に魔王軍の戦力は上がる。だから俺の思い付きで良かったらその「壁」を壊す一助になれればと思って一言アドバイスにし来た。』


 もう今は魔王の中身が「プレイヤー」だと知ってはいるのだが。それにしたってフットワーク軽過ぎだし、自分の部下に対してフレンドリーに接し過ぎじゃなかろうかと思ってしまう。

 マルスがした魔王の物まねは絶妙に似ていてまるで本人がここに居て喋っているかのように錯覚させられた。


『強さってものを多面的に受け止めて見ないか?極める事も強さの一つだが、もうお前さん、怪力はそれ以上になる見込みは自分でも無いと分かってるんだろ?だったらもっと自分の「存在」とは懸け離れてたり、「真裏」の様な技術を磨いたりするのはどうだ?豪快に武器を振るうのがお得意の戦い方みたいだが、もっと小手先の技も身に着けてみると良い。そうすれば今は見えていないモノが見えてくるかもしれない。視野が広がれば見えてくる「強さ」の幅も増えるぞ?それと、マルス、お前に命令だ。死なない為に防御術も身につけろ。そのでっかい斧を自由自在に操れるようになれ。』


「そう言ってオラの肩をポンと優しく叩いてくれたんだべ。それがオラと魔王様との初めての顔合わせだったんだべ。」


 僕は内心でこう思ってしまっている。「魔王、何してんの!?」と。でもそれをしっかりと僕は喉の奥に飲み込んで胸の深くにと押し込める。


「凄い事言うんだなぁ魔王は。それで、マルスはそれに触発されて色んな事を学び始めて今に至るって事?」


「そうだべな。でも、まだまだオラはもっと強くなって、いろんな事ができるようになって、もっともっと魔王様の御役に立ちたいと思ってるんだべ。」


「今でも充分過ぎる程マルスは強いけどね!?」


 実際問題、マルスがトッププレイヤーと呼ばれる者たちと戦ったとしよう。これには僕の予想だとマルスの圧勝である。

 フルの六人パーティでは歯が立たず。倍の人数でやっと戦いになったかな?と言った具合だろう。

 それこそ十八人のレイドで挑もうとも負ける、そんなビジョンが僕の脳内に浮かんでくる。

 しかも最大級のレアリティを持つ特殊で強力な装備をしていてやっと「良い勝負」止まりでは無いだろうか?それくらいの感想を僕はマルスに対して持っている。


(マルスでこれなんだぞ?魔王となったら一体どれくらいの強さなんだ?って話だよ)


 呆れてモノが言えないとはこの事では無かろうか?これでは確かにプレイヤーたちから「ムリゲ」などと呼ばれる訳である。魔王は部下の育成をどの様に考えていたんだろうか?エグ過ぎだこれは。


 そんな事を思っていればマルスがピタリとその歩みを止めた。


「もー。ケンジ、マイウエル様、どうやらここで戦う事になるんだべ。戦闘準備は良いだべか?」

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