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何で俺だけ  作者: コンソン
「僕」
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何で僕だけ「突然の祭りとその静寂」

「魔王様は魔王様だべ。それ以上でも、以下でも無いとオラは思う。それじゃ駄目なんだべか?」


 マルスがそんな言葉を口にした。僕はコレをマルスらしい意見だと思えた。

 短い付き合いだし、本来なら敵同士だけど、それでもマルスの性格がちゃんと出ているなと。


「魔王様は自由だべ。それで良いんだとオラは思う。皆が日々を笑顔になって暮らせてるのは魔王様のおかげだべ。中身が何だろうがソレは関係無いべな。今があるのは全て魔王様のおかげだべ。これに何も文句を言う奴はいないと思うだべよ。この先も魔王様についてく、皆きっとそう思ってるに違いないべな。」


 コレを聞いたメイド三名がピシッと姿勢を正して無言で頭を深く下げた。これはマルスの意見に同意するという事なんだろう。

 魔王はこのマルスの言葉に対して。


「うわー、お前って俺よりも懐と言うか、人間性?深いよなぁ。スゲエよ、やっぱお前。」


 などとマルスを褒めて?いる。もう既にと言って良いが、僕は完全に置いてけ堀だ。

 ここでまたしても余計に置いてけ堀になる発言を魔王がする。


「良し!食糧庫を開けて今日は祭りだ!わっしょおぉぉぉぉおおい!皆に伝達!今日は封印完全解除の日だ!記念パーティを開催するぞ!」


 僕は「ナニイッテンダコイツ?」状態だ。今後の話とやらはいいのか?と。

 でも、そんな突っ込む時間なんて無いと言うか、そもそも僕の精神も思考回路もツッコミを入れられるだけの状態に復帰しない。していない。


 マルスも「祭りだべなぁ!わっしょぉぉぉおい!」などと叫ぶモノだから玉座の間に響く響く。

 ソレがどうやら外にも広まったからなのか、どうなのか?一瞬で空気が変わる。騒がしさが一気にそこ等じゅうから発生していた。


 それからと言えば、僕はきっと夢を見ているんだと思える状況になった。

 あっと言う間にこの玉座の間にはメイドたちが次々に入って来る。そしてテーブルの準備、その上には酒、豪華な料理の数々があっと言う間に並んで行った。

 そしてどうやら魔族の幹部らしき者たちが次々に魔王への挨拶をしようという事らしく、玉座の間にどんどんと入って来るのだ。


 さて、この騒ぎに僕は何処に居るのかと言うと、魔王の横だ。これにどうして?と思う。しかし直ぐにソレは分かった。

 魔王へと祝いの言葉を言いに来る魔族に「封印を解いた者」を魔王が直々に紹介する、これである。

 どうしてそんな事をしようとしてるのか、僕の様な凡人にはその点がサッパリ理解できない。

 そうしていると最初に魔王への祝辞を述べに来たのはミャウエルだ。と言うか、どうやら一番最初の挨拶はミャウエルと「決まって」いたらしい雰囲気である。


「魔王様、この度は憎き神々の封印を完全に解除できた事、これ以上に嬉しい事はありません。この完全なる復活の祝いの後はプレイヤー共をこの世界から完全に排除し・・・」


「あーミャウちゃん。ちょっと待って。あー、テステステス。住民たち全員に聞こえてるかな?あー、俺こと、魔王は、その中身、魂と言える部分は「プレイヤー」である。何の手違いが起きたかは俺自身にも分からないが、初めてこの玉座に降臨した時から、俺は「プレイヤー」だった。この器は確かに「魔王」だ。だが中身は魔族の敵「プレイヤー」なのだ。先ずはコレをずっと黙っていなければならなかった事をここで皆に謝罪する。」


 ミャウエルの祝辞を止めたと思ったら、またこの魔王はいきなり爆弾をブッコんできた。この魔王の言葉にまるで生きている者など一人も居ないとばかりな静寂が訪れた。

 しかも城の外もだ。城内だけじゃ無くその外もがやがやと楽し気な空気があったのに、それが全て一斉に引いた。音が無くなった、そんな感想を持つくらいに耳が痛くなる程の静寂だ。呼吸音すら聞こえてこない程である。

 魔王はこの言葉の後に深く、ゆっくりと腰を90度に曲げて頭を下げた。

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