何で俺だけ「もう後戻りできない」
「ん!んん!魔王様が私の事をそうお呼びになるのならば、このミャウエル、喜んで受入れます。」
ミャウちゃんはそう言って恥ずかしそうに顔を赤らめつつも俺の彼女への呼び方を受け入れる。
「魔王様はこちらに顕現するのにお力を使い過ぎて永遠にこちらに顕現できないのですね。しょうがありません。神々の封印の一部を魔王様がこうして破ったとは言え、神々の力は侮れません。お体の方に余計な負担は掛けない方がまだまだ宜しいでしょう。また魔王様のその尊いお姿が封印空間に戻って見られなくなってしまうのは悲しいですが、私はいつまでも魔王様の顕現をここでいつまでもお待ちしております。」
と言われても俺の前にはメニュー画面は出てきたが、未だにログアウトの文字はいくらそのメニュー画面をスクロールしても現れない。
ここで考えたが、どうやら今はチュートリアル的な部分であるようで、そもそもこれを終わらせなければログアウトに入れないと言った感じだった。
「じゃあちょっとさ、ミャウちゃん。俺が先ず基本何したらいいか教えてくれない?ソレを先ずやってみてからログアウトするわ。」
俺はここで最低限の事だけしてさっさと一度現実に戻ろうと思った。けれども何だか考えれば考える程に俺は気分が落ち込む。
本当なら今頃は初期の街に居て、そして他のゲームで仲良くなったネット友人と一緒に冒険の旅へと向かっていたはずなのだから。
そもそも俺は自分が「魔王」に当たった事にさえ未だに実感が無い。俺だけもしや別の題名のゲームをしているのでは?とまで考えてしまう。
でも、俺が買ったソフトはあのソファに盛り込み済みで、それに寝転がればそもそも目的のゲーム以外にはアクセスしない訳で。
そこまで思考すれば当然今の俺が目的のゲームの世界に居る結果しかないのだ。
(ルーレットランダムは、狙った所でレア職を得られたのは今までで一人しかいなかったんだ。それなのに俺はどうした?ルーレットで決定した職業が魔王?いや、有り得ねーって、これ、絶対夢だって)
このゲームの中で一緒に旅を、冒険をするはずだった奴らに早く連絡を入れなければ、俺が遅刻をしていると思われてしまう。もしくはこのままで居ると約束をブッチしたと見なされてしまうかもしれない。
俺は早く今の状態から脱して事情説明をネッ友にしなければならない。その気持ち一心でミャウちゃんの話を聞いた。
「はい、魔王様。ご説明させて頂きます。ではこちらの数字をご覧ください。」
そう言ってミャウちゃんは手をまたかざすと空中に数字が出てくる。それは俺が今開いてみているメニュー画面を再現していた。
「魔王様の権能の力にて兵の拡充、四天王の強化、拠点の防衛能力アップ等々の振り分けをして頂きたく。」
この説明に俺は「え?」と思わず口をパカッと開いてしまった。