何で俺だけ「お昼の時間」
自分の部屋に戻って来る。まあ当然だ。あの仕事をする仮想空間で物を食べる事はできないのだから。
しかし別段追加でそう言った「味覚」を感じられるオプションパーツを付ける事は可能だ。
仕事中にもぐもぐと何かを口にしていないと落ち着かない、と言った人も存在したりすると言うのだからこう言ったオプションも付くと言うものだ。罪深いモノである。
つくづくこの電脳世界と言うのはここまで良く発展したモノだと感心する。あちら側ではいくら食べても太らないと言う事で思う存分甘いものを口にしている人だっている。
まあそこまで行くと依存症として医者から「病気だ」とお墨付きを貰うのだが。
昼飯は昨日の夜に頼んでた弁当だ。焼肉弁当である。今は自分の自宅に荷物が届けられたら専用の配達箱に入れられるようになっている。その箱の中に入った物は自動で部屋の中へと運ばれてこうして俺が美味しくその弁当を頂いていると言う訳だ。
支払い、決算はネット。この時代はネットセキュリティも進化した。進化はしたが、一般人がその全容を認識しようとすればきっと頭がパンクする事だろう。それだけ内容が難解で、それでいて分厚い。
コレは進化し続けたネットに合わせて追加追加で対応をし続けた結果だと言う。当然俺もその様な化物級の法律なんて知らない。知る気も無い。
そんな一般人では得体の知れない把握できない異様なシロモノに守られて、俺たちは便利なネットと言うモノを快適に使う事ができている。
「まあこうして俺が仕事をして、飯を食っている間にゲームを楽しむ奴らは当然居る訳で。」
俺は弁当を食いながら「魔王」の今のポイントを覗いている。そしてかなり一気に増えていたその数字に少々の驚きと共にどうなっているのかと言った疑問と興味が湧く。
「ミャウちゃん何してくれるんだコレ?ポイントが958?増え方がちょっと・・・」
イベント終わりから考えても増え方が多いのではないかと感じてしまう。
四天王の強化していない二人の内、片方にプレイヤーが集まるようにして、そちらをミャウちゃんに助っ人に入ってもらい状況を操作すると言った事をしているはずなのだが、ちょっとポイントの増え方が少々大きいように感じた。
「まあ、プレイヤーの倒し方?一つでポイントの入り方が変わると言った事はこの間にあいつらを生贄に分かったから、そこら辺がかかわってるのかもしれないけどな。」
俺を裏切るようなマネをしたあいつらの死に様は、このゲームの中でも一位、二位を争う程のモノだと思う。絶対にそんな死に方したくないと言うランキングで。
そう言った事を考えながらも俺はログインするような事はしない。俺は昼休憩の一時間と言う短い時間をゲームにログインする事には使う気は無い。
飯をゆっくり味わって食べていれば30分は使う。その後は凝った身体を伸ばす軽いストレッチをするのだ。もちろん食べたばかりなのでお腹に圧が掛からないモノをする。
そうしてほぐれた時にはもう既に45分に時計の針は来ている時間だ。その後はトイレに、お茶を一口飲んで昼休憩は終わりに近い。
こうして時間が来ればもう一度あの仮想空間に入ってまた仕事を熟す事になる。
「まあこうやってゲーム内のポイントがどれくらいになっているか確認するくらいはするけどね。見るだけだし。」
そう言えば俺はゲーム内に食事システムがある事を思い出す。それを使用する、まあ、口に入れて食べるのだが。
一定時間のパワーアップ効果が見込めて有用なアイテムだったりするのだが。しかも味の方もあのゲームは再現している。
「魔王って食事システムの恩恵ってどうなのかな?今度機会があれば試してみるか。」
俺がそう呟いた時点で昼休憩の時間は終わった。




