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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「戦争準備?」

「マジックポーションが足りてねえ!誰か売ってくれねえかな!」

「回復薬が充分な数を揃えられて無いんだ。どっか都合良くフリーの僧侶いねえ?」

「砲撃隊の編成に魔法使いが欲しい。こっちに融通できないか?」

「こっちは予備の武器が欲しいんだけど!良い性能の剣、誰か知らない?」

「前衛の連携がこれじゃあ脆いぜ。どうする?壁になるやつもっと居ねえ?」

「待て待て、後衛への合図は誰がするんだ!?リーダー決めないと!」


 混乱を極めようとしているプレイヤーたち。それもそのはず。運営からの正式なイベント告知は突然だったからだ。

 誰もがこの様な急激な対応をできるなどありはしなかった。誰もが軍隊に入隊した事がある訳で無し。

 号令一つで粛々と準備、などと言った事ができるはずが無いのである。しかしそこはこう言ったゲームを幾つも遊んできたゲーマーたちだ。

 時間が経てば各々が自らの役割を自覚して最適解を導き出し、それらに沿って動くようになる。

 それはまさしく「適応」と言わざるを得ない光景だ。これを遠くから眺めるミャウエル。


(ふむ、これほどのモノとは。魔王様がやられてしまうなどと言った事はあり得ないが、四天王がやられ、魔王様の城に攻め込まれるかもしれない、と言った事は考えておかねばならないと言う事だな。侮りがたし、プレイヤー)


 彼女がこの様な場所に居るのは魔王が「ログアウト」しているから、と言った理由では無い。魔王からの命令からだ。

 ミャウエルは本当なら城でまた魔王の現れる時を待ち続けたい、と願っている。しかしこの命令は魔王から直々に言われた事だ。

 そのうちにこの集団の指揮をとり始める優秀なプレイヤーが現れる、と。そいつを今の内から観察しておけ、と言った命令だった。

 なのでミャウエルはこの命令を守るためにも、魔王の役に立つためにも、私心は抑えるのだ。


「あ、その回復薬は前線組に渡して。あ、矢の補充と管理は?そうか、ならそれを後衛の弓部隊に連絡。あ!魔法隊に伝言!杖のバージョンアップは早めに頼みに来いって生産職の人たちが。あ、そっちのバリスタは・・・って言うか、これ持って行けれるのかね?」


 などと一人のプレイヤーが指図をしている。それこそ残された短い時間を効率的に生かそうとして、あらゆる物資の搬入や武器強化などのスケジュール管理をしているらしかった。


 コレにミャウエルは気付く。こいつを今「処分」すればこの烏合の衆は完全に魔物への対応ができなくなるだろう、と。


(しかし魔王様は「殺すな」とおっしゃられた。私としてはこ奴は早めに片付けておきたい。そうすればこちらの魔物の群れが憎きプレイヤーたちを蹂躙するだろうに)


 ミャウエルはそう思えども動きはしない。魔王の忠実なシモベだからだ。しかしシモベなのだからこそ、主の意向を深く読み取り、先んじて魔王の敵を排除するものだ、と言った事も一緒にミャウエルは感じている。

 しかしこの葛藤は長くは続かないのだ。それは何故か?


(このミャウエルは魔王様へとこの身も心も捧げた。そして我が喜びは魔王様の機嫌が良くなる事だ。殺すなとおっしゃられた魔王様の慈悲に感謝するのだな)


 ミャウエルは一人心の中でそう独り言ちる。しかしプレイヤーたちは一切想像もできない。


 このゲームにおけるNPCがこれほどまでに深い思考をする疑似人格だと言う事を。

 そして今の彼らプレイヤーが百人集まってもこのミャウエル一人を倒せない事を。


 まだこのゲームは始まったばかり。いつかはレベルを最大近くまで上げればきっと倒せるのだが。

 それでも、今のプレイヤーたちは運営が告知したイベントの準備で頭がいっぱいだ。それどころでは無い。

 むしろ逆にこのイベントで一気に経験値を稼ぎ、大幅なレベルアップを画策している。


(せいぜいあがくがいいプレイヤー、神の兵よ。魔王様が完全に復活された暁には、この世界に破壊と混沌をもたらされるだろう。その時まではそうやって呑気に騒いでいるがいい)

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