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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「一人取り残されて」

 俺のこの呟きは一人取り残された女性プレイヤーには届いていない。仲間が全滅しているのに唖然としているからだ。


「こ、これって・・・どうしたらいいの?私一人だけもっと別の酷いやり方でやられちゃうって・・・事!?」


 酷く怯えている。無理も無い。あのようなログアウトを目の前で見せられたのだからどうしようもないだろう。

 たった一人でこの状況に対応できるほどの高レベルでも無ければ、この場から逃げ出す算段すら無い。

 むしろこの場所が魔王の城だと分かっていると言う中途半端な情報が余計に混乱を引き出す。


「落ち着き給え。さて、君はどうして攻撃してこなかった?理由を聞こうか。」


 彼女だけはあの五人の馬鹿を止めようとしていた。今までここに連れてこられたプレイヤーたちは誰もがこの「魔王」を前にして攻撃を仕掛けてきている。一人残らずだ。

 恐らくはイベントだとでも思って、お祭りだと思って、そうやってこちらの求めに素直に従って動いたのだろうが。

 それでも本当に今まで一人くらいは攻撃を躊躇う者がいてもおかしくは無かったはずなのに、今のこの彼女が初の「乗ってこなかった」プレイヤーだった。


「え?え?えぇ・・・何でって言っても・・・絶対に敵わないって分かっているのに何でそんな簡単に攻撃しようとするのかの方が不思議なんですけど?」


 慣れていない、それに尽きるのだろう。他のプレイヤーはそもそもがゲームに慣れていて、そう言った部分に関して「慎重」と言った選択肢を取ると言った意識が薄かったのかもしれない。

 魔王が目の前に居るなら今の俺たちの力がどれだけ通用するのか?それを彼らプレイヤーたちも確認しようとして動く。

 もしくはこちらが先に手を出しては来ないと分かっているのであれば、普段全く手を出さない攻撃方法を試してみる、と言ったあちら側の都合もまた、混じっていたのかもしれない。他にももっと個人的な、あるいはパーティーの方向性的な何かがあってもおかしくは無いか。


「掲示板には誰もかれも皆反撃で一発で「消された」って言う情報が幾らでも流れているのに。何で死ぬのがほぼ決まっていると分かっていて攻撃を選ぶのか、私には分からないです。回避できるのであればこんなイベントはその方法を模索するべきなのに。」


 そういったゲームの楽しみもあると言う事だ。戦闘と言うシステムに慣れてしまうと、こう言った所が欠落してしまうものなのだろうか?


「あ、あの、どうしたら無事に元の場所に戻してもらえますか?わ、私は上げたレベルを下げたくないです・・・うぅ・・・」


 当然こう言う彼女は「イベント回避」を狙って死亡をしない立ち回りをしようと俺へと質問を投げてくる。

 しかし俺もそこら辺は考えていない。強制ログアウト五人がまだここで健在だったならば「こいつらをその手で殺せ。そうすれば見逃してやる」と言った魔王の冷酷残忍ムーブもできただろう。

 しかしいないモノは仕方が無い。それに今までのプレイヤーとは全く違って攻撃の「意思」すら見せてこないのでコレはもう解放しても良いだろうと俺は考えた。

 プレイヤーの中では「補助魔法」を掛けると言った行動をして自分で攻撃をしないプレイヤーも居たが、それは仲間に対して能力向上を掛けて自らの代わりに攻撃をさせると言った意思に違いないのだ。

 ならばそれらもしないで仲間の行動を諫める様に言っていた彼女を甚振る必要が無いように思う。

 ここで一人だけ見逃した場合、他のプレイヤーに「イベント回避した」と言った印象も与えて俺の「中身」があると言った話題に話が流れにくくもなる、と言った効果も狙えるはずだ。ならばここは。


「うむ、あいわかった。君は五体満足で帰そう。ミャウエル、彼女を元の場所へと返してやってくれ。」


 この一言にこの女性プレイヤーは「へぁ?」と間抜けな顔を晒すのだった。

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