何で俺だけ「こう言った手があるよ」
(ミャウちゃん、こいつらを縛り上げてシェイクしてやれ。ぶん回せ、それこそ死なないギリギリをずっと続けてやれ。脳味噌ぐちゃぐちゃになるように。あ、その女性プレイヤーは残しておく事)
俺はすぐ側に「隠密」で隠れ消えていたミャウちゃんにそう命令を出した。コレに小さな声で「は!」と返事が返ってくる。
その直後に五人の馬鹿共は空中へと吊り上げられた。と思えばそこから前後左右上下斜めと、激しく振られ、かき回される。
「ぎょわあああああああ!?」「おぼぼぼおぼおおぼぼぼぼ!」「がべべべべべべべ!」「ぎゃおおおおおおおんん!?」「どべぼろげぎゃぶれべ!?」
不快な叫びとも呼べない叫びが玉座の間にこだまする。これに目をカッ開いて凝固してしまったのは女性プレイヤーだ。
突然仲間の五人が浮かび上がったと思ったら縦横無尽に空を飛んだのだ。奇怪な叫び声とともに。
そう、ミャウちゃんの「糸」は「隠密」で消えて認識できない様にしてあるのだ。なのでどうやってこんな醜い場面がつくられているのかの手段が、この一人取り残された女性プレイヤーにはさっぱり分からないのである。
「わわわわわ!?と、トンデモ無い事に・・・どうなってるの?私は何で何もされていないの?」
一人こうして助かった事に安堵をしてはいるが、その後に自分はどうなるのか?と言った不安でその可愛い顔を顰めている。
こうして暫くの間、汚い叫び声は続いたが、それがだんだんと嗚咽に変わっていった。
「おえええええ・・・」「げろろろろろ・・・」「ぶぼぉぇぇ・・・」「ぐえっ・・・ぐえっ・・・ぐべえべべべべべ・・・」「おげ・・・おげっ!おげぉぉぉぉ・・・」
そしてとうとうその中の一人が光の粒となって消えていく。
「え!?うそ!どうして!?まだHPは残ってたはずなのに!?」
コレは生体機能異常を感知したシステムが強制ログアウトをさせているのだ。長時間のゲームの連続ログインや、体調異常を感知した時などにコレは発動する。本体の方、肉体に異常な負荷がかかっていると判断したシステムに引っ掛かり「命の危険」と判断されてゲームを続けられなくする措置だ。
ゲーム内では「気絶」と言う「状態異常」の再現は「意識ははっきりしているけど、キャラの自由が利かない」と言った形になっている。そして視界が暗く何も見えない状態も追加で付いている。
そしてその復帰までの長さが「大・中・小」で決定されている。大だと結構な時間を復帰できない。そうなればゲーム内ではやられてしまうのを覚悟しなければならない程のピンチだ。
しかし気絶をさせるにはそう言った専用攻撃が決められていて、当然「振り回されているだけ」のこいつらがゲーム内での「気絶」をするはずも無い。そうなれば終わらないぶん回しを受け続ける事になる訳で。
視界はかき回され、聞こえる音ですらぐちゃぐちゃに、息をするのもヤバいくらいに「糸」で締め付けられ、三半規管が破壊されてしまうのでは?と言う勢いでシェイクである。
で、こいつら五人はコレに次々に光と粒となって消滅していく。ミャウちゃんに拘束され、そして自由の利かない状態で思いっきり「揺さぶられた」事で単純に「気持ち悪いのが限界突破」した事で強制ログアウトになっているのだ。
当然コレもプレイヤーの「死」扱いなのでポイントが入って来る。そしてどうやらこのプレイヤーの殺し方には色々とあるようで。
「ほへぇ~。入ってきたポイントが滅茶苦茶多いんだけど?殺し方一つでこんなに変わるんか。悪趣味な所に運営は力入れてんなぁ?」




