何で俺だけ「さあ、凄惨なショーの始まりだ」
この五人は先程から仲間の女性の声を全く聴いていない。良くこんな事でこんな美少女と一緒に冒険していられるな?と思える。
もしくは完全にこいつら五人が勝手に彼女へと「接待プレイ」をしているのか。そこら辺の疑問は今は後だ。
全く強化していない魔王のステータスは見る事は叶わない。なので俺は体感的なモノに頼って今の自らの力を推測せねばならないのだ。
俺はこの魔王の強化をなるべく後回しにすると決めていた。魔王を強化する事で封印が解けていろいろと「魔王」でできる事が増えるのはいいのだが、それらをすると今の状況よりもより一層ポイント稼ぎが「ヌルゲー」と化すのではないかと思えたからだ。
魔王の「権能」とやらで様々な内訳やらが分かり、それに伴いできる事が増えると言うが、そうなるとより一層効率などを見る様になってしまいそうだった。
これでも俺はゲーマーだ。そう言った効率ゲーを追及して遊ぶと言ったやり方も嫌いじゃない。だけどもこうしてどうしたらいいのか全く分からないのを手探りで遊ぶのもまた好きなのだ。
「よっしゃあああ!キタキタキタぁァぁァあ!」
「充填完了じゃ!ブッパだぜぇ!」
「コレで少しでもダメージ稼げたら俺らヤバいんじゃね?」
「いやいや、ダメージ無いだろ。俺らよりもレべ高いプレイヤーの最大攻撃がノーダメだったって言うし?」
「んなこたどうでもいいじゃん!派手派手演出ジックリ見ようぜ!」
「あの!皆さん!ちょっと待って!ちょっと待ってくださいって!言ってるのに!」
合成魔法が五人から放たれる。コレはどうやらシステム上は可能な攻撃らしい。それぞれの魔法を重ね合わせてダメージ倍率ドン!する攻撃方法のようだった。
確かにこの攻撃はこの五人以外にしてきたプレイヤーは居た。けれどもそのどれもがこの「魔王」にダメージを与えられなかった。そう「1」ダメージも、だ。
俺はだけども今回のこれには期待をした。いわゆる魔族に対しての特効の「光」属性が五つも重なっているからだ。
流石に最前線攻略組のレベルには追いついていないエンジョイ勢の五人だが、それでもこの「光」属性の攻撃魔法を重ねたものなら或いは、と。
(ダメージを負った時の感覚は最大値まで上げてある。けどまあそこまでこのゲームは痛覚設定は危険領域までなんて設定できないけど)
余りにもリアルなゲームには危険が伴う。それは痛覚が主に上げられるだろう感覚だ。
本体の肉体に受ける痛みと何ら変わらない百パーセントの痛みをゲーム内で受ければショック死が起こる可能性が極大だ。
だからと言ってゲーマーは攻撃を受けたと言う「事実」を消したいと願わないのは業だとしか言いようが無い。
攻撃を受けた、と言う実感を痛みで直接感じる事を求るプレイヤーが一定数居るのだ。
その逆にゲームだから痛みなんて嫌だ、と言うプレイヤーも居る。なのでそこら辺は設定である程度の痛覚遮断が可能なのだ。全く無い「0」にもできる。
そしてこいつらは痛みの設定を「0」にしているタイプだ。俺を裏切った報復を痛覚で与える事は不可能だ。
ならばどうしようか?と考えているときにその魔法は放たれた。光の奔流が俺の視界を奪う。
魔王の全身でその攻撃魔法を受けた。受けたのだが俺の体にちょっとだけ、それこそほんの僅か。痛みとも言えないようなチリッとした感覚が。
「んん?ああ、最大にしていると感じられる痛みかコレ。って言うか、それでも小さすぎないか?ああ、「1」ダメ入ったんか。」
俺が呟いたこの言葉は五人には聞こえていない。光の奔流は次第に無くなり、全く何も変わらぬ魔王の姿がその中から現れる。
この時に俺はこいつらへの報復方法を思いついた。




