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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「痛い話」

「で、理由を聞かせて貰っていいか?メグロム、どうしてエルフはプレイヤーをそこまで?」


 俺はミャウちゃんからの報告でプレイヤーの殲滅が終わった事を受けてメグロムを玉座の間に呼んでいた。


「そうですね、何から話せば良いモノか。そもそも、エルフとプレイヤーは戴く神が違います。」


 驚きの事実。いや、コレは俺が知らなかっただけで運営が最初からそう設定していたという事である。

 確かに俺の「魔王」はその「神々」との戦いで敗れて封印されているのだ。その神々の中でプレイヤーを庇護する神、エルフを庇護する神でもともと別で存在するというのは解る。


「だが、その神は協力して「魔王」を封印しているだろう?エルフがプレイヤーを敵視?するまでに至る理由には弱いな。それ以上にプレイヤーが「こちら」に来た時に何かしらやらかしたって事か?」


 俺の読みは浅はかと言える代物だ。けれども遠くない事をどうやらプレイヤーはしていた様で。


「確かに。彼らプレイヤーは我らが神からの神託でも「協力するべき」との言葉を受けておりましたが。しかしそれを揺るがす事をやってのけました彼らは。一つの森を全て平らにしてそこに町を建造してしまった。それもかなりの速度で大規模に。それも誰もが平気な顔をして。」


 何かしら俺の脳内に引っ掛かる。俺はその引っ掛かりを必死に脳内から検索する。


「あ、もしかして・・・ライドルが潰した・・・」


 出て来たソレは確かプレイヤーが作り上げた町。やれる事が多いこのゲームだ。プレイヤーが独自にそうした事をやってのける、それができるだけの思いきり高い自由度を持っている。


「我らエルフは当初、彼らを監視し、その習性、思想、言動などを調べておりました。我らエルフもそれらを知らずしてプレイヤーへと協力、などとはさすがにできません。だから、信託を受けてはいても慎重に接触を図る事を上部会で決めていたのです。彼らプレイヤーの奴隷と言った立場なんて事は、幾ら神託があっても受け入れる事はできませんので。」


 只々神の言いなりでプレイヤーたちへの無償の協力はする気は毛頭無かったと。その様な便利屋な立場に甘んじるのは奴隷と何ら変わりないと判断でもしたのか。


「で、どうだったんだ?プレイヤーへの決断は?・・・とは言っても、もう答えは出てるようだし、今回の件でのプレイヤーへの対処の答えも聞いているからもう分かっちゃいるけどさ。プレイヤーは・・・横暴で、欲が強く、厚顔無恥で、自分勝手な存在だった?」


「そうですね。彼らは自分たちのやりたい事に忠実で、他への配慮も知らず、問題は先送りで、しかし解決を全く考える事の無い、後先を見通す知能も無い。あそこに有った自然にどれだけの価値があったかを全く理解してはいなかったですね。只の思い付き、と言った勢いだけで開拓をしてしまった。我々が止めるだけの時間はそこに有りはしませんでした。」


 このメグロムの言葉は俺の胸にグサグサと刺さる。思い切り深く。俺にも当てはまる事が多過ぎる。思わず「ウ″ッ!?」と呻きそうになってソレを堪えた程だ。


「で、敵対もしないが、受け入れもしないと決まった訳だ。プレイヤーに肩入れする事は無くなったけど、いざエルフの森にあれだけの数が接近してきたら・・・追い返した方が良いと?」


「プレイヤーと言うモノをずっと陰で観察し続けた結果です。どうやら彼らをここに呼び出している神は余りにも放置をし過ぎです。そのせいでプレイヤーと言う存在は調子に乗り、膨張し続けている。彼らは今この世界の害悪になりかけてしまっている。我らの住処へと迫ったのも「興味本位」でしょう。そうそうに我らがプレイヤーとの接触を切った事で逆に彼らの動きを即座に掴む状況から遠ざかってしまった。キッチリと監視を続けていれば、魔王様に頼る事は無く我々の独自の力で彼らを追い返す事も可能だった。いや、コレはここで言っても仕方が無い事ですね。」


 大きな溜息と共にメグロムは「自分たちで何とかできた」と口にする。まあ、そうだろうなと俺も思う。

 精霊魔法は今のプレイヤーたちにかなり効くだろう。それを一斉にあの森の中で受けたらプレイヤーは一たまりも無いと思える。

 何せ精霊が的確にあの森の中でプレイヤーだけへと攻撃を仕掛けると思えば、エルフは只単に遠くから、それこそプレイヤーを視認できない位に遠い位置からでも精霊に魔力を与えて頼むだけで済むのだから。

 精霊の移動できる範囲はもの凄く広い。何せベイルから離れた精霊シルフがエルフの国へと話しを繋げていたのだろうと言うのが分かっている。

 一方的に姿の見えない、それこそその場に存在しない敵からの攻撃は恐怖でしかない。対処も不可能だ。何せプレイヤーには精霊を撃退する方法は凄く狭く限られているはずだから。もしかしたら存在しない可能性だってあった。

 ある意味ではプレイヤーのその「一人」である俺にそこら辺までの事は分からないが。


「・・・んん?ああ、そう言えばあいつが以前にそんな事を言ってたっけ?あー、もしかしたら参戦してるかもしれないのか今回の事に。」


 確か仕事中に一方的に俺に話しかけ、そして見下してきた同僚が居たなと思い出す。そしてそこで「幻の種族」なんてワードを口にしていたのを今ここで思い出した。森に居るから行ってくる何て事を。

 そいつがもし参戦していたのなら、もしかしたら今回の俺の「ポイント」になってくれているはずだ。まあそんなくだらない事は今はどうだっていいのだが。


「んー?プレイヤーの中にもマトモと言えるのは、居るにはいるでしょ?そう言ったプレイヤーへの協力とかは考えていないのか?」


 メグロムへの質問は続く。確かにプレイヤーの多くはそう言った「自由度」で遊ぶ訳だし、その森を町へと変えた一件はやり過ぎとは言えない、俺からすると。

 運営がソレを許容しているのだ。こればかりは文句は付けれない俺からは。そんな中でも良心、或いはそこそこまともな良識なんて言う曖昧なものを持っているプレイヤーは少なからずいるはずだ。

 そこら辺はどうなのか?そういった者には協力しても良いと考えているのかが気になる。


「・・・彼らは数で何事も決めるようです。多くある事が常識であり、それ以外は切って捨てる。その様な数少ない者たちに協力をして、それでエルフには利はあるのでしょうか?間違っていても、正しく無い事でも、彼らは多数決で何事も決めてしまう。数は力です。少数派の持つ「力」に何が期待できると言うのでしょうか?幾ら後で少数派が「正解」だったとしても、そう言った「多い」を選んだ者たちはソレを認めなかったり、或いは多くの虚偽、嘘で塗り固めて真実を隠す様な真似もしうる。はたまた掌を簡単にくるりと返してさも最初から自分たちは正解を選んでいたと嘯く事もする、謝罪も無しに。自分たちだけの利益だけを得ようとして恥も外聞も、自らの善性も後ろめたさと共に見ないフリをします。協力できる訳が無いのです。」


 メグロムから精神攻撃を受けているのではないだろうか?と俺はここで勘違いしてしまいそうになる。

 それをやっとの事で呑み込んで俺は言い返してみる。


「じゃあベイルたちの行動はエルフとしてはどの様に考えているのかな?メグロムは土下座までして彼らの命乞いをしたから既に良いんだけど。国の他のエルフの「多くの意見」と「少ない意見」はどの様に分かれたのかな?」

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