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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「嫌な予感は当たるもの?」

 イレギュラー、突発的、そんな言葉の響きには良い思い出は無い。仕事をいつも通りに早上がりしようとした所へ急遽、明日の朝までに上げて欲しいと言われる案件が滑り込んできた時にはヤル気が滅茶苦茶落ちる。

 そう言った時は大抵まだまだ定時上がり迄には時間の余裕が有る時だ。全力を出せば19時までには終わるかな?と言った量の案件を今まで幾度か経験している。


 そもそも今回のプレイヤーの動向を俺は魔王の権能?でマップで確認してみようとしたのだが、そもそも俺は何処の森にエルフの国が存在するのかが分かっていなかった。

 無駄にあっちこっちにマップを飛ばして探すのも面倒であったのでプレイヤー集団が居る場所を探そうと思ったのだが、五百もの集団だと言う事なのにどうにもソレが見つからない事で何かがあるのかと不安が過ぎった。


「今までで体験してきたそう言った嫌な気分が何故か今、脳裏をよぎったんだよなぁ。ゲブガルにはああ言って頼みはしたけど、何事も無く終るのが一番なんだよなあ。」


 俺はゲブガルに追加の兵を連れて現場へと急行してくれと頼んだのだ。何も無ければそれで良し。何かあればその対処を冷静に行って撤退戦、或いはプレイヤーへとそのまま攻勢を続けられるのならばそのまま戦闘。そんな思惑である。保険と言い換える事もできる。

 今回はどうにもプレイヤー集団の動向が俺では掴めないので、ミャウちゃんに何かしら指示を出すにしても現場の動きがこれでは詳しく知る事はできず細やかな把握は無理だ。


「エルフがプレイヤーをどのように捉えているのかもまだメグロムに聞けてないし。そっちも気になる。コレが終われば後で分かるか。」


 俺は指示を部下に出してしまうと、後はもう何もできる事が無い。いや、少ないと言い換えた方が合っている。

 気持的には俺もフィールドへと出て自由にあちらこちらを回りたいと願っている。けれどもそれができる日が本当に来るのかどうかも今の俺は疑問に見ている。

 余りにもこの「魔王」でできる事が多くなっている今。稼いだポイントは今はそちらに注ぎ込むばかりである。

 前に考えていたような「塵も積もれば山となる」で封印もいつかは解除へと届くだろう、なんて思っていたのが嘘のようだ。


「食料の生産能力関連、軍関連、その他の生産に関わるあれやこれ。しかもさ、そのどの項目も俺が知らない、いつの間にかにメニューの中に増えてたんだよなぁ。」


 以前の大量にポイントゲットしていた分はもう既にこれらに配分してスッカラカンだ。

 その代わりと言っては何だが、随分と「レべル」が上がった。何のレベルかって?ソレは城の、住民たちの生活レベル?文化レベル?何だかわからないがいつの間にかこれもメニュー画面に追加されていた、只単純に「レベル」と表記されている部分が「5」になっていたのだ。


「不親切過ぎるよ・・・とは言え、どう言った想定でこんな魔王専用メニューを作ったんだろうねー?運営は?」


 説明も、チュートリアルも全く無いままにどんどんと充実していく?「魔王」のメニュー画面はワクワクする部分はあるにはあるが、いつもソレが出て来る切っ掛けが何なのかの予想もできない程に突然に増えていたりする。

 なので俺としてはそっちの驚きの方が勝ってしまい、なかなか喜ぶなんて事ができていない。

 そんなメニュー画面を嬲りつつ、俺はこのまま「魔王軍」対「プレイヤー集団」の戦闘の終わりを待つばかりだ。そこにミャウちゃんから通信が入って来た。


「魔王様、プレイヤーの中に例の「力」を使う者が「一人」現れました。いかがいたしましょう?」


 俺はそもそも以前に「光の力」を使うプレイヤーが居たら無理をしないで撤退をしても良いと言ってあった。

 なのでここでミャウちゃんは今回のプレイヤーへの「殲滅」と、無理するなと言う「命大事に」とでどちらを優先するのかの指示を求めているのだ。


「そのまま様子見はしつつも全力でプレイヤーを攻め続けて。しかし無理はしちゃ駄目だ。そのプレイヤーの観察も続けて弱点か何か無いかも探ったりしてくれ。こちらの分が悪いと思ったら負けた演技をして撤退に見せかけて油断を誘おうか。プレイヤーをワザと森の中へと入るように仕向けて暗殺部隊に後を任せても構わない。暗殺部隊もプレイヤーの「光の力」に敵わないと思ったら直ぐに撤退だ。」


 死人を出すな、それを徹底する事を俺はミャウちゃんに求める。追加でゲブガルもそちらへと向かわせた事も伝えるとミャウちゃんはコレに「それならば殲滅を優先できます」と言って冷静にそう判断を下した。


(嫌な勘はこれだったのか。とうとう現れたんだなあ、プレイヤーの方もそんな存在が)


 ミャウちゃんへ絶対に無理をしない様に念を押した所で戦闘がより一層激しくなったようで、そこで通信が途絶えた。

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