何で俺だけ「二日目の夕方」
俺は夕食を食べ終わり、ポイント振り分けのメニュー画面を開く。またしてもそこで驚きの数字を目に愕然とする。
「俺は何かもの凄く間違った事をしてしまってはいないだろうか?・・・魔王って何?もうこれどうするんだよ?収拾つかねえや。」
そこに現れていたのは「5397」と言う数字だ。あれからどれくらいの時間が経ったと言うのか?朝にログインして、たったのこれだけの時間にこんな数字がたたき出されているのだ。
「おう、プレイヤー死にすぎじゃね?もしかして難易度が地獄系?もしくはそんなにプレイヤー弱いの?モンスターにやられちゃってるの?」
実際には俺が関与していない知らない所でやられてしまっている憐れなプレイヤーが多いのかな?と一瞬だけ思うのだが、もしかしたら俺が「極振り」をした影響でこれほどの大量のポイントを稼いでいるのかもしれないと、俺の中で疑惑が生まれる。
「またログインして見るか。もしかしたらミャウちゃんが何かこれも知ってるかもしれないし?ゲブガルに執着した奴らがいて、それが大量に返り討ちにされてるって言うのは知ったし。もしかしたら今回もゲブガル関連?の確率は高いか?」
それは見当違いだった。しかしこの時にその事を俺は知る由も無い。全く「魔王」の強化には手を付けていないので、このゲームの世界でざっくりとどんな現象が起こっているのかの予測を立てられるだけの情報を得られていないからだ。
俺はこうして少々の不安を抱えつつもログインする事にした。自分が極振りをしたことに因って被害が出ていない事を祈りながら。
だって、いきなり四天王を強化したからって、そこまでの混乱が起きるとは思っていなかったのだ俺は。このゲームが開始されてまだ一週間ちょっと。だからまだまだ「四天王」なんて言うのにプレイヤーが辿り着くはずが無いと思っていたのだ。
でも、ゲブガルには攻め入っていた事実は知った。知ってしまった。ならば今回もそれがまたポイント極振りにて起きている可能性が否定できない。
「魔王様お帰りなさいませ。お待ちしておりました。」
そう言って俺を深い礼を取って迎えてくれるミャウちゃん。でもまたしてもコレを全く無視して俺は勝手に話をする。
「ねえねえ?獣王にポイント振ったじゃん?あれってその後、どんな事になってる?」
ポイントが大量に入ってきた事を不審に思っていた俺は真っ先に「自分がしでかした結果」を知ろうと思ってミャウちゃんへとそれを聞いてみる。すると。
「はい!ジュウオウからは、魔王様から受けた御恩を返すために、日夜その力を使いプレイヤーたちを追い詰めている、と報告が入っております。」
もの凄い良い笑顔でミャウちゃんは報告してくる。どうやら自分が提案した結果が良好にいっている事もこの美人のニコニコ笑顔に繋がっているようだ。
(いや、そう言う事じゃないんだけどね。まあ俺は魔王って言うのをちゃんとやれてるって言う事なのかな?でも、答えが知りたいんだが?でも、魔王の封印解除に振ろうとは思えないからなぁ)
「うん、そうか。で、具体的な報告の説明って言うのは聞ける?その報告ってどれだけプレイヤーに被害を出しているとか言った細かい所は?」
多分これを俺は聞かない方が良かったのかもしれない。そして俺はその報告を聞こうとしながらも獣王がまだカンストしていなかった事を思い出してポイント振りを行っていた。
そしてその周囲への強化にもポイント振りをしてしまっていたのだ。
「うんうん、拠点の周囲を強化しておいたけど、獣王強化で余ったポイントでマックスまで行ったか。余りが「21」だけになったからそれは残しておくか。で、どう?報告の詳細は?」
「はい、こちらをお読みください。私からの口頭の報告よりもジュウオウは自らが書いた報告書を魔王様に直々に見ていただく方が喜ぶでしょうから。」
そうミャウちゃんに言われた後にメニュー画面へと一通のメールが入った。それの中身を開いて読んでみたが「プレイヤーが作り上げた街を壊滅させました」と言った内容だった。
コレに俺は全身の血の気が引いた気がした。