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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「戦闘シーンは割愛させて頂きます」

 死屍累々、と言っても良いのだろうか?まあ、全員が生きているし、ギリギリ殺さない力加減ができた事は上々の出来だろう。


「えー、どうやら君たちの使う精霊魔法は俺には通用しないようだよ?納得はいってくれたかい?それと・・・何故反撃してこない!だなんていうからこっちからも動きはしたけどさ、コレはどうなんだろうか?」


 この玉座の間には十五名のエルフが倒れていた。気絶している者、激しい呼吸をずっとし続けて大の字になっている者、うつ伏せで倒れ開いた口から垂れ流される涎も拭う力すら残っていない者、横向きで倒れたままに魂でも抜けているかのような反応の無い者。


「一応は君たち全員が全力を出したと思えた後に一撃ずつお見舞いしたけど、うーん?弱い?いや、強いのかな?後衛と考えればかなりの攻撃力の魔法だし、接近戦が苦手?」


 誰も俺の言葉に返してきてくれない。そう、あの後に侵入してきたエルフ全員がこの玉座の間に攻め入ってきた。そして既に返り討ちである。


 俺の言いつけを守ったミャウちゃんたち捜索隊はエルフの戦士たちへと一切接触はしなかった。

 コレにエルフの戦士たちは訝し気に思いつつも都合が良いとばかりに一直線に俺の下へとやってきたのである。


「おーい、ミャウちゃんいいかい?今回の事の流れを手紙に書いてエルフの国のお偉いさんに渡してきてくれない?それと、エルフ国への今後の対応、その俺の考えも一緒に添えて持って行って欲しいんだわ。」


 呑気な声で俺はそうミャウちゃんに頼んだ。先程まで派手にバンバンとそこらじゅうで爆発やら、嵐が吹き荒れていたりと、エルフたちの精霊魔法でこの玉座の間は人が立ち入れない程の様相を呈していたのだが。

 部屋の何処にもその「傷跡」は一つも入っていない。精霊魔法の破壊力はプレイヤーの使う魔法の二段、或いは三段は大きいものであったのにもかかわらずだ。


「ここの玉座の間自体が俺を「封印」する為の処置の一つだったりするんだろうな。そうじゃなきゃこの城、もうとっくに精霊魔法で更地になってるよ。」


 そんな更地にしてしまえるだけの威力の魔法を受けても無傷な「魔王」はどれほどだと言えるだろう?

 流石は「神」が封印する事しか叶わなかっただけの事はある。討滅できていればそうしているだろう。


「そう言う設定、何て言ったらゲームが成り立たないよね。さて、早めに問題が解決・・・した訳じゃ無いな。これ、どうしようか?」


 倒れているエルフは未だに回復して立ち上がって来る気配が無い。そもそも、精霊魔法を最大威力でぶっ放すために魔力を空にしてしまっているようなので当分はこのままだろう。


「あー、さて、捜索隊は解散。通常業務に戻ってくれ。あ、ゲブガル来てくれない?ここの扉の範囲を障壁で塞いでエルフたちを逃さない様にしておいてくれないかな?」


 気力を取り戻したエルフが自棄を起こして無辜の民を傷つけない様に配慮する。自暴自棄になった者ほど周囲を巻き込んで迷惑を顧みない。

 世間を騒がせるニュースなどでよく見かける「むしゃくしゃしてやった」と言う理由は今のエルフたちに当てはまりそうだ。

 今も意識を保っているエルフは何を考えているか分からない。ネガティブで人へと責任を押し付ける様な思考をされていたら勘弁だ。

 いきなり「自分は悪くない、お前らが悪い」などと言って暴れられてもいい様にしておく処置が必要だ。

 ゲブガルの魔力障壁なら安心だ。玉座の間の扉の範囲位ならゲブガルの出せる最高強度の魔力障壁で塞ぐ事はできるだろう。

 エルフたちの使う精霊魔法がこの城周辺の土地に住んでいる種族たちへと向けられたら厄介だ。なのでここ玉座の間に一纏めにして閉じ込めていた方が断然安心である。


「お待たせいたしました。では。」


 そんな事を考えていたら魔王通信で呼び出したゲブガルが到着し、早速扉の範囲を塞いでくれた。コレで一安心である。


「とは言え。誰かしら会話ができる位に回復してくれないと、俺との話し合いができずに先に進まないんだけどな?」


 俺はそれから30分程の間ずっとエルフたちの回復を待つ事になった。

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