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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「どうやら反攻作戦?」

「あー、ベイル?聞こえてる?聞こえていたなら返事が欲しいんだけど。・・・うーん?ちゃんと繋がっているみたいだけど返事が無いなぁ。俺は君としっかりと話し合いをしたいと考えてるんだよー?それと、ウチとエルフの国との国交に関しても一方的な搾取の様な交流は考えていないから、ここで君をエルフ代表の使者として会談をしたいんだけどー?」


 どうも幾ら語り掛けてみてもベイルからの言葉が返ってこない。だけども声を掛け続けた。


「別段君が部屋から抜け出した事は問い正したりしないけれども、いきなり居なくなられるとこっちも大変だと言うのを分かってくれ。君が何を考えているのかをちゃんと言ってくれなければ、誤解も解く事ができないし、問題も解決しないんだ。一人で悩まずにソレをちゃんとぶつけて来てくれると信頼関係を築く事にも繋がるだろうし?」


 俺はベイルがこの語り掛けを全て聞いてくれているものと思って一方的に話し続ける。


「不安があったなら解消できるまで向き合おう。不満があったなら解消できるまで知恵を絞ろう。それをさせて貰えない位に君がこちらを信用をしてくれていないと言うのが、今回の突然部屋から出て行った事で理解した。このまま何も言わずに行動で示すと言うのであれば、それを全て受け止めなければならない責任がこちらにある事も重々承知した。」


 まだまだ俺の言葉は途切らせる事無く続ける。


「しかし、君も一度冷静になって深呼吸してくれ。君が今起こしている、起こそうとしている行動は、他のエルフたちの迷惑になっていないか?仲間たちの総意とは懸け離れた事をしようとはしていないか?君はエルフの上層部が決めた事に反した行いをしようとはしていないだろうか?考え直して欲しい。そしてそうでは無いと言うのであれば、それがどんな事をしようとしているのかを今ここで説明をして欲しい。その事でこちらが協力できる事があれば全面協力を惜しまない。」


 まだベイルからの反応が無い。俺の方が開いているメニュー画面では「通信中」と言う表記がベイルの名前の横に出ていて繋がっている事は確定しているのだが。


「今君がもし、俺と敵対しようとする行動を取っているのなら、思いとどまって欲しい。もしそれを現実のモノとしてしまえば、俺は少なからずエルフの国に文句を付けなくちゃならなくなる。俺としてもソレは避けたい。どうか直ぐにでもこちらに戻って来て弁明をして欲しい。決して敵意を持って行動した訳では無いと。」


 諦めずに俺は語り掛け続けたのだが、それがとうとう実を結んだ。


「我らは誇り高きエルフ!森の民!王と名乗っておきながら部下の行動を制御できない者の言葉など誰が信じるか!エルフを馬鹿にするのも大概にしろ!」


「あ、やっと喋ってくれたな。とは言え、耳が痛いです。その言葉はそのまま胸に胸に刻んでおきます。それはそうと、馬鹿にしてるつもりは無いんだけどなあ。正直な俺の今の考えなんだけど。あ、それにベイルは何しようとしてるの?その怒り具合だと説得は通用し無さそうだ。」


「クッ!ふざけた事をつらつらと抜かすから思わず怒りで応えてしまった!だがもう時間は充分稼いだ!我が国の戦士たちが既にこちらに向かって来ている!貴様の首を刈り取って国へと凱旋してくれる!その汚い首を洗って待っているが良い!」


 駄目だった。どうやらいつの間にかベイルはエルフの国と連絡を取っていたようで、この城の敷地内へとその自国の戦士たちを入れるように手引きをしていたらしい。


 そもそも、この魔王城、門があるのは正面だけ。こう聞くと「おかしくね?」と思うだろうが、もっとおかしなところが、ぶっ飛んだ所がある。

 絶壁、それがこの城の広大な敷地範囲を囲っているのだ。正面は門とそれに繋がった綺麗に整った防壁が結構長大に何処までも延びているのだが。

 ふとした部分から突然30m近い巨大な「絶壁」」にソレが変わるのだ。RPGであるあるの「最終ダンジョンの周囲を徒歩移動で超えられない壁で囲われている」と言った具合だ。

 そこへと入るには「空中移動ができる方法」を取得してからと言った具合である。飛行船か、気球か、或いは空飛ぶ城か、もしくはドラゴンの背に乗ってか。

 大抵のゲームで、フィールド移動に関しての最終局面で手に入る手段であるこれらは。


「抜け道かな?あるいは・・・あーそうか。精霊魔法で空を飛んでその壁を飛び越えるとかできるのかな?それにしても過激派なんだねぇベイルは。ねえ?錬金術とか得意なエルフを招致したいんだけど、うちで誰か教えを説いてくれるエルフ居ない?あ、攻め入るならソレはそれでいいけど、罪の無い住人には危害を加えたりしないでね?お願い。」


「何処までもふざけた態度をぉぉぉぉ!その余裕は何だ!私の精霊魔法が効かなかった位で偉そうにしてぇ!」


 どうにもそこら辺の部分をベイルは根に持っているらしい。精霊魔法に余程の自信と信念とかがあったのかもしれない。癇癪を起している。


「ミャウちゃん、お客様が団体で来るみたいだから、そこの森から撤収ね。案内役も残さないで良いよ。ベイルがやるからソレは。そのままエルフの団体さんを俺の所まで素通りさせてあげて。」

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