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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「掲示板の中、反応は」

「何を言っているか分からねーと思うが、俺も何をされたのか解らなかった・・・いつの間にか俺の見ていた景色がぐるりと回転したんだ。その後は直ぐに始まりの街に戻って来ていた。」


「いやソレ、やられてんじゃん。」


 こんなコントが掲示板に流れ始める。それは魔王の城の門の前に「観光」をしたプレイヤーたちが中心であった。


「目の前で仲間が殺されたんだ。敵の姿すら見えなかったけど、その時は「ここに居たら確実に殺される!」と思ったよ咄嗟にね。正しくケツの穴に氷柱を突っ込まれた気分ってああいう事なんだな、って実感した。」


「あー、俺も同じ体験した。それは炭酸飲料を飲んだら確実にゲップが出る、って言うくらいにこの場に居たら殺されるって分かったな。」


「キラッと光ったんだけどさ、只単に木々から漏れた光が目に入ったんだと思ったんだよね。だけどその次にはそれ、何のホラー?って感じでさ、目の前に居た他のプレイヤーの首が「コロッ」と落ちたんだよね、地面へ。」


「俺は咄嗟に何が起きたのかを理解して仲間をかばおうと思って「逃げろぉぉぉぉッー!」って叫んだわー。後々で考えたらスゲー恥ずかしい。俺は何かのキャラにでもなったのか?って。」


「ソレ死ぬ方?生き残る方?どっち?あ、ゴメンゴメン、君は真っ先に開幕で殺されるモブだね。」


「自分の仲間が死なれるのは迷惑だぜっ!この俺はっ!」


「バッファー乙。仲間がいなけりゃ戦闘できない金魚のフン野郎が。」


「お前は一生この先バフを掛けて貰え無いまま死んでいくんだな・・・哀れな野郎だ。」


「まだレベル最大まで上げて無かった私が魔王城の前に行くのは十年早かったんじゃないかな?」


「全ては己の弱さを認めた時から始まる。そんな俺も瞬時に首を落されましたが。何アレ?一切何も感じずにキルされましたわ。」


「恐怖を克服する事が生きる事だと・・・いや、あれは無理です。目の前で他のプレイヤーたちの首がどんどんと落っこちていく光景はもう二度と目にしたくないです。」


「俺は即座に逃げ帰ったね。あんな死地にはもう二度と足を踏み入れないと誓う、この場で。」


「そんな事言って、喉元を過ぎて熱さを忘れたアナタがまた城の前に居る光景が目に浮かぶ。」


「無理です。もう城には絶対近づかない。「妖怪・首置いてけ」とは遭遇したくはない。あんなの絶対に回避とか無理です。」


「無理だと?このゲームの中では無理な事ばかりをしてきた。無理だとか無駄だとか言った言葉は俺たちには関係無いし、聞き飽きたぜ。」


「どれだけドエムなんだよコイツ。まさかその壁を越えた先にある栄光が快感だとかぬかす頭のおかしい奴なのか?」


「真っ先に逃げ出したプレイヤーたちはどうにも見逃されたみたいなんだよねー。直ぐに警戒態勢を取ったり武器を抜いたり、無差別に周囲に攻撃しようとしたプレイヤーから狩られていっていた印象。遠目から見ていて。」


「それが早く分かっていれば俺も真っ先に逃げたのに・・・何で誰も教えてくれなかったんだぁ。」


「もうてめーには何も言う事は無い。憐れ過ぎて何も言えねー。しいて言うなら、お前がそこに居たのが悪い。」


「生き残れなかったのはお前が攻撃を見切れなかったからだ。キルされたのは自身の力を真っ当に把握できておらずに身の程を弁えておらず、それで真っ先に逃げ出さなかったから。泣いた者の敗北なのだよ。」


「辛辣ワロス。今までのツケの領収書を受け取ったと思えば軽い軽い。でも、それでもかなりのトラウマと言う御釣を無理矢理渡された感が・・・」


「城の周囲に居たプレイヤーが次々と狙われてたよね確実に。しかもどいつも観光目的だったはず。確か城の周囲の森の中で魔物と戦闘していた奴らは何もされてなかった。」


「ただ魔王の城をまだ見た事無かったから見に行っただけなのに、タイミングばっちりで速攻でキルされた俺の悲しみは何処にぶつければいいですか?到着した瞬間に始まりの街に戻らされたんだが?」


「あー、特にガイドで観光案内をしていたプレイヤーも、観光のその客も関係無くキルされてたな。あ、出店を出してた奴も真っ先に首チョンパされてたから何かと決められた基準があったのかも?」


「実を言うと俺その時、偶然に攻撃を避ける事に成功してたんだよね。そこで俺の脳内には三択問題が。


 その①・イケメンな俺は反撃のアイデアを思いつく。

 その②・他のプレイヤーが同じく生き残っていて協力してこの場を脱出する。

 その③・次の攻撃は避けれない。現実は厳しいのだ。


 もちろん俺が丸を付けたかったのは①か②だったんだけど・・・」


「お前には悲しいけど、自力で何とかする事もできなかったし、悲しい友情運も無かったと・・・」


「今度奴らが襲ってきたら、俺たちがぶっ倒す!」


「いや、お前だけでやっていてください。巻き込んでこないでマジで。」


「私たちが失った経験値は大きい。しかしまた稼ぎ直せば良いじゃないか。」


「お前は真っ先に逃げ出したクチだろ?そう言う俺も仲間を盾にして逃げたけどな。だって皆が熱血ノリで「敵を討つ!」とかアホぬかしやがるから・・・」


「で、掲示板の皆的にはこの先、不用意に魔王の城に近寄らない、って事で纏まった感じなの?」


「出来得る事なら近づかない。用事も無いのに家の前で騒がれたら流石に勘弁だろお前らも。そんな感じじゃね?今回は。」


掲示板はおおよその結論をはじき出す。しかしこの結論が出た後にもちょくちょくとプレイヤーが城へと近づいて来るケースがあった。

しかしその尽くが首を一撃の下に落とされ続けた事で城へと不用意に近づくプレイヤーの姿は消える事になった。

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