何で俺だけ「恐れるのは未来予想図」
何て言って様子見している場合じゃ無かった。次々に現れるプレイヤーたち。もちろん城の門の前にワラワラと観光目的でどうにも集まってきていると言うのだ。
「どういたしましょう?奴らはどうにも城の前に出店を構えて商売を始めた者も居る始末です。魔王様が様子見をするとおっしゃられたのでこちらから何も手出しせずにいたのですが・・・」
ミャウちゃんが玉座の間に報告に訪れてそう現状を説明してくれた。
「うん、プレイヤーたちを潰そうか。早急に城の前にプレイヤーが集まって来ない様にする為に徹底的に狩り取ろう。商売まで始まったらもうヤバい。」
人が集まればそこに対して商売を始めようとする者が現れ、それがより一層に人を集める。
集まれば集まる程に、そこは賑わい、その内に定住する者が現れる。そう、出店なんてモノを始めた輩が出たらもう見過ごせない。
「城の前をプレイヤーの溜まり場に、それこそ村か町か、どうでも良いけどそんなものまで作られたら堪ったものじゃない。」
魔王城の手前に存在する村とか、確かにRPGのゲームにあるあるだ。そこで最終決戦前にセーブをして記録をとっておき、再開するなんてお決まりである。
そんなものは冗談では無い。城の真ん前にプレイヤーたちの村が出来上がるとか悪い冗談を通り越して悪夢だ。
魔王とプレイヤーは敵対しているはずである、設定上は。ならばここでこのプレイヤーの動きをスルーし続けるとろくでも無い状況に変化するだろう。
今ここで解決しておかねばならない問題である。出店なんてモノが出始めたりしなければ、まだ見逃していたのだが。
「全軍でプレイヤー狩りをしなきゃいけないな。城の周囲に来ているプレイヤーを全滅させよう。あ、派手に殺すんじゃなくて、隠密行動を基本にプレイヤーを潰していくように。なるべく静かにね。」
俺はこうして今城に居て動ける軍を全投入をするといった命令を出した。しかも「暗殺」まがいの行動指針で。
これには訳がある。あんまりにも派手に動いてプレイヤーの注目を浴びない様にする為だ。
やられたらやり返す、それが目に見えて派手であればあるほど、人目に付けば付くほどに、プレイヤーたちは盛り上がりを増すだろう。
そうなればもっと城の前にプレイヤーが群がる要因と化す。ならば静かに奴らを片付けるしかない。
城に近付くといつの間にか「消される」くらいの噂が出る位に、静かに、確実に、プレイヤーを刈り取った方が「近づかない方が身のため」としてプレイヤーは城に近付かなくなってくれるだろう。
そうなれば直ぐに静けさを取り戻せるに違いない。
「では、最近発足させたばかりの「暗殺部隊」の訓練も兼ねてプレイヤー共を片付けさせましょう。」
「え?そんな部署いつの間に作ってたの?つか、誰をヤるつもり?殺意バリ高じゃないですか・・・」
いつの間にか俺の知らない間にめちゃんこ物騒な部署が発足していた。コレに俺は戦慄を覚える。
「魔王様は何も心配はいりません。我々が敵対勢力を魔王様の手を煩わせる事無く全て「掃除」してご覧に入れまする。」
「え、ミャウちゃん怖い。いや、無理しないでね?その気持ちだけで俺は嬉しいから。と言うか、マジでその暗殺部隊は動かす時には俺の許可無く勝手に動かさないで?ビビるから。」
魔王軍が俺の知らない間に肥大化して俺の意思など関係無く勝手に暗殺とか始めだしたりしたら、コレは明らかにホラーである。
こうして今回は特別としてその暗殺部隊にプレイヤーの始末の仕事を頼む事になった。