何で俺だけ「この先の交流」
その翌日もログイン。別段コレと言って仕事も順調で自分がしてきているルーティーンは崩れていない。
時折仕事で緊急が入って定時前上がりができない日なんかも稀にあるのだが、今の所そう言った気配も仕事場には流れていない。
「で、エルフとの交流に関してなんだけど。エルフたちから一方的に搾取するような事は一切禁止ね?なんか奴隷扱いの立場とか言ってるけど、それは俺が最も望んでいない形だからね?ちゃんとお互いに利益の出る交流をしましょう。」
俺は今ミャウちゃん、ゲブガル、マイちゃんを呼んで今後のエルフの国との関係性を説く。
「で、どうだった?ベイルは何かやりたい仕事とかは?」
俺は昨日のベイルがあの後にこの城でどの様に過ごしたかを知らない。一応は客人扱い、賓客として持て成してくれとキリアスに言ってあったのだが。
コレにミャウちゃんが報告をしてくれる。
「一応は意見を聞いたのですが、本人は「まだ混乱が酷くそこまでの事は考えられない」と言っていました。城の中、及び敷地内を自由に動いて良いと言ってはありますが、その際には迷子にならぬように案内を付けるようにと伝えてあります。部屋で未だに精霊を帰還させていない模様です。何やら風の精霊でこの城の中を探らせている様子。・・・よろしかったでしょうか?」
「うん、ミャウちゃん、構わないよ。あ、食事の方はちゃんと食べてくれている?食欲が無いとか、或いは食文化が違っていて食べれる食事が少ないとかは無かったりしないかな?」
俺がベイルにそこまで気を遣う事に何やら不満が見えるミャウちゃん。しかし俺が賓客扱いを今はまだベイルにしてやってね、と言うお願いに従って何もそれ以上は文句も言わないし、態度にも出さない。
「エルフは基本的に森の恵みを採る事を大事にします。だからとて、この城で出される料理が食えぬと言う物でも無いはずです。その点は問題は無いかと思われます。」
ゲブガルがそう言って俺の心配を解消してくれる。どうやら出された食事もちゃんと食べてくれているらしい。
その点はキリアスが確認してくれていた。食器を下げる際に部屋を訪れた時には、料理は全てキッチリと平らげてあったそうだ。
「森で採れる美味しい野草とか、或いは珍しい薬になる素材とか、そう言った知識が欲しいね。取り敢えずはそう言った部分からエルフとの交流を徐々に始めよう。その内にウチにも錬金とか、製薬とかの部署を設けて、そこでベイルに所長とかして貰う感じで。エルフの国から人材派遣とかもお願いしたい所かなその時は。それに教育とかもどんどんしていきたいね。」
俺はエルフとの交流の未来を語る。最初の接触の仕方が「侵略」みたいな最悪な始まりになってしまったりしたが、それでも明るい未来をお互いに描けるようにと願いを込めて。
「ああ、それと、俺さ、精霊魔法とか興味あるのね。それで精霊召喚とか、契約とか、儀式とか?そう言ったモノを知りたいんだけど。誰か知らない?きっとベイルにコレを聞いても教えてはくれなさそうなんだよねー。」
きっとその点はエルフの大切にしている部分なのだと言うのは昨日のベイルの態度で分かっている。
なので本人にこの話を聞く時はもっと仲良くなってからになるだろう。だけども今、俺は興味のままにこの事を知っておきたい。ちょっとでも。
「あの、少しだけならご説明を出来ます。踏み込んだ部分は私も詳しくは分からないのですが、それでも構わないでしょうか?」
ここでマイちゃんが俺の聞きたい事に少しだけなら答えられると一歩前に出て来てくれた。