何で俺だけ「効果が見たい」
この友好関係は直ぐに動き出した。付き人の四名のドワーフが俺の所に来てくれる事になったのだ。あの鍛冶勝負の後はそのまま城に残って鍛冶仕事に従事して貰う事に。
彼らには弟子を取って貰い、その代わりに大量のうちで採れた様々な鉱石をドワーフの国へと輸出する。
ぶっちゃけ、城の裏にある鉱山、めちゃクソ鉱石が掘れる。もろクソ色んな鉱石が有り余っているくらいである。
これらの鉱石がドワーフの国で様々なモノへと加工され、プレイヤーの手に渡ると言った事も在るだろう。
そうなればその事に因ってプレイヤーがパワーアップする事にも繋がるが、それ以上に俺はこのドワーフ四名がウチに来てくれた事の方が大きいと思っている。
彼らには例の武器を作って貰っている。あの色んなエンチャントに変えられる汎用性抜群のプレゼンしてきた剣である。
アレを部隊毎に意匠を多少変えた物を作って貰っているのだ。もちろん取って貰った弟子にも協力させての大量生産だ。
コレで装備規格を一律にし、整備や保守などをやりやすくさせている。この剣は末端が持つ武器として揃える事にしてある。
俺が持っている「刀」は一定の地位を持つ者用の特別な武器として少ない数作り、配る事にしておいた。ぶっちゃけ幹部用と言うやつだ。
(あんまりにもアレはやり過ぎだからな。こんな武器を末端まで揃えて持っていたらプレイヤーが幾ら束になって掛かって来ても軽くあしらえるよ、マジで)
魔王軍が次々にプレイヤーを光へと変えていき、戦場を誰も居ない野の如くに蹂躙、進撃していく光景が簡単に想像できた。
さて、ドウゴンと言えばドワーフの国に戻っていた。彼がそもそも今回の交渉の代表者であったからだ。報告義務もある。
あの勝負の後のドウゴンはずっと大人しく、交渉によって取り決めた事にも何ら意見を口にする事は無かった。
俺の最初の予想はそもそもが当たっていたようで、鉱石をこうして俺の所からドワーフ国に輸出する事になったからには、別に文句は無いんだろう。
ドウゴンは国へと戻る際には「自分を見つめ直す」と言ってアダマンタイトを詰め込んだ袋を担いで城から出て行った。
「で、だよ?軍備増強ができてうれしいんだけどね?訓練の成果というモノが見てみたくなる訳だ、そうなると。何かいいアイデアとか、無い?」
俺はこの様にしてミャウちゃんに相談をしてみた。いや、上司としてこの様な無茶ぶりはイケない事だと、部下から嫌われるものだと分かってはいたのだが。
「ならばこうしてはどうでしょうか?」
ミャウちゃんから提案されたその話を俺は「うーん?どうしよう?」と悩む。
「じゃあさ、こちらの被害も、相手の被害もゼロで敵味方死人無し、怪我も重傷者無し、はどう?って、コレはいくら何でも実現は無理・・・」
「魔王様がそうお望みになられるならば、このミャウエル、必ずや実現をして見せまする。」
「いや、無理を言わないで良いよ?流石にハードル設定高すぎるし・・・」
「それくらいの事を軽くこなせるようになれなければ、プレイヤーどもを一人残らずこの世から消す事は達成できませんので。」
過激なミャウちゃんはもうこうなると止まらない。俺はミャウちゃんのこの言葉に「あ、はい・・・」としか言えなかった。
こうして作戦は決行される運びとなった。