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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「残りの一週間」

 ドウゴンは既に鍛冶場には入っていない。その代わりと言っては何だが、他の四名のドワーフが鍛冶場に入って作業をさせてくれと言って来ていた。

 自分たちも鍛冶をしたいと。これを俺は別に断る理由が無かったので了承した。

 この城で鍛冶に使える材料があれば大盤振る舞いをするとも言って、好きに作品を作っていいと言っておいた。

 彼らは只、酒が飲めないだけで地位が低いドワーフだ。鍛冶の腕前はそこそこに高いと言う。

 俺はコレにスカウト、ヘッドハンティングできないかな?なんて思ったりもしたが、今はまだそのタイミングでは無いなと思い直した。


 さて、品評までの残りの一週間で俺は何をしていたのかと言うと、別に何ら特段変わった事はやっていなかった。

 いつもの日課を熟すだけの日々である。もちろん勝負の日を待ち侘びてソワソワし、待ち遠しいと言った感じでミャウちゃんとの格闘訓練をしていてちょっとしたハプニングはあったが。

 そう、ミャウちゃんから良い感じの蹴りを入れられてしまったのだ。思いっきり顔面に。

 普段なら躱す事が余裕でできる、ミャウちゃんがそう加減をした攻撃をしてきてはいてくれていたのだが。その時には俺はちょうど試作として作られた刀の事に思いを馳せてしまっていた。

 そこから本番で作った刀はどれだけの物になるだろうと言った妄想で意識が横にズレていたのだ。


 この後は土下座どころでは無い、切腹しそうな勢いて謝り倒してくるミャウちゃんを説得して普段通りに戻ってもらうまで、かなりの時間を要すると言った感じでめちゃくちゃ大変だった。

 その時の説得も俺が他の余計な事を考えていて一撃を食らってしまったと言ったのだが、ミャウちゃんはコレに。


『魔王様の配下を自負するなら、その様な事にも考慮して動くべきでした』


 などと斜め上な発言をされて「どんだけだよ」と引いた。こっちが咄嗟に別の事考えるのを読むの?エスパー?などと言った感じで。

 最終的にはこの失態?はプレイヤーを狩り尽くしてポイント大漁ゲットで雪ぐ、と言った事を口にするミャウちゃん。

 これを止める事は魔王の俺でもできなさそうだと思って「ほどほどにしておこうね」と言った事くらいしか言えなかった。

 ミャウちゃんともし遭遇してしまったプレイヤーが今後いれば「合掌」するしかない案件である。その時にはプレイヤーには無事全力ダッシュで逃げ切って貰いたいと思う。


 こうやって日は過ぎて行く。その間にプレイヤーたちの動向もちょっとくらいは調べたりもしていた。

 調べると様々なタイプのプレイヤーが居る。


 最前線とか攻略などと言ったメインストーリーを中心にゲームを遊ぶ者たち。

 自らが「サイキョウ」を目指すために様々なスキルやレアジョブなどを探して彷徨う者たち。

 生産、武器防具アイテムなんでもござれ。何かしらを生み出して、それをプレイヤーへと売ってゲーム内通貨を稼ぐ者たち。

 純粋に対人戦がしたいと言う事でコロッセオと言う特殊施設に集まって闘争の日々を送る者たち。

 様々なゲーム内の事象などを検証する事に熱意を燃やす者たち。

 特殊クエストなどを見つけたり、貴重な情報を取得してソレを売ると言う商売をしている者たち。

 テキトウにあっちにフラフラ、こっちにフラフラと何ら目的無くこのゲームを観光で楽しむ者たち。

 などなど、もっと探すと事細かにあるだろうが。


「楽しそうで良いよな。各地へとその足で移動できるのが素晴らしい。俺なんてこれだもんな。」


 俺はこの玉座の間からまだ一歩も出る事が叶っていない。封印が完全開放されると恐らくは出られるようになると予想するのだが。


「この一週間で稼げたポイントは微々たるものだよ。それも俺の封印に使わずに、配下のパワーアップに順番に振り分けてるしなぁ。」


 戦闘訓練も続けている。そしてその訓練が無駄では無く、確実に「魔王軍」を強化していると言うのはゲブガルから報告を受けている。

 しかし、やはり上げておいて損は無い。ポイントを使って強化をした方がかなりのステータスアップに、強さの上昇になるのだ。

 部下が死なない様にする為にも、もっともっとポイントは注ぎ込んでいきたい。俺がこの部屋を出れずにいたとしても。


「俺が只この部屋から出られないのと、軍の一人の命を天秤にかけたら、それはやっぱり命の方が重いしな。」


 このゲームでプレイヤーは「復活」はできる。しかし魔族は、その他の種族はそうでは無い。死んだらそれっきり。生き返らない。

 もしかしてこちらの方にも蘇生の方法が存在して生き返らせられると言った事も在るかもしれないが、それはまだ見つけられていないし、ヒントも得られていない。

 この間の闘技大会で優勝者に賞品として出したあのアイテムは勿体なかったか?とも思えたが今更遅い。

 ならば今はできるだけの事をしておくべきである。後々に後悔しても遅過ぎるのだから。


「さて、明日だ。楽しみだなあ。」


 鍛冶対決の勝敗は明日決まる。発表だ。俺はワクワクしながらログアウトをした。

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