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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「一粒で何度でもオイシイ」

 それから一週間が経った。ドウゴンの方も勝負の件についてこの城の一角に厳重な防備、火事などが起きても被害が広がらない場所に鍛冶場を作ると言う事を了承している。

 その時には「ワシが腕を振るうのだ。当たり前の事だ」とふんぞり返っていた。

 付き人ドワーフはと言うと、彼ら四人だけで鍛冶場の建設をし始めており、ドウゴンはコレに参加していない。

 鍛冶場の建築にはこちらから人手を出してドワーフの彼らに監督をして貰う事にした。そして建築資材、炉を作る上での素材もこちらで用意している。


「アダマンタイトをふんだんに使用して溶岩蛙の火皮ですか・・・我が国で使われる炉の材料より二段は高い質です。作りがいがあります。それにミスリルまで使用するとは贅沢ですね。これが完成すればドワーフの誰もが持っていない、今までにない程の超高温が出せますよ。いや、これは参りましたね。」


 建築に関して何が必要なのか分からなかったので、俺は一旦玉座の間にソレっぽい物を集めて来てくれと頼んでこれらをドワーフの彼らへと引き渡したのだ。

 取り敢えずはうちで出せる火耐性の高い素材を大量に、種類も豊富に用意してドワーフたちに炉に使う物を選別して貰った。その際に使う鉱物なども一緒に出す。もちろんアダマンタイトもである。

 何をどれだけ使ってもオッケーといておいた。コレにドワーフの彼らが「ウチにも欲しい」と呟いた。


(いつの間にかミスリルとか超有名な魔法金属がうちにあった事に驚くんだが俺は?)


 一体そのミスリルが何に使用されるのかは俺には想像が付かない。そこら辺はドワーフの彼らに全て任せてしまって良いだろう。俺が頭を悩ませる必要は無い。

 で、まだ建設途中なのだが、炉は完成していて仮設ではあるが勝負が始められると言う知らせを受ける。

 俺はこの一週間でウチのプロジェクトチームにどんな剣を作って貰いたいかの情報を細かい所まで調べた資料を渡して念入りにミーティングをしていた。後は挑戦をして貰うだけである。

 ミーティングの際に使用する素材はドウゴンと調整をした。どんな鉱石を使用してもオッケーであり、何でもありにしておく。

 使用する素材を両者同じにしても良かっただろう、公平という意味では。

 しかしここで俺は「お互いに自由に作って良いじゃない」と、そうドウゴンに申し出た。ウチの出す代表者の作品がドウゴンの物に敵うとは思えないから、とおだてて。

 これに炉の建設中ずっと酒を飲んでばかりいたドウゴンは上機嫌で乗って来て「ワシの作る剣にひれ伏すがいいわ!がははは!」と簡単に了承してきた。

 もちろんコレは俺がウチのプロジェクトチームに作って貰いたい「ロマン」を追い求める為に申し出た事である。

 そう、ロマンだ。俺の事を知っている奴らからしたらきっと予想が簡単に付いていただろう。

 ぶっちゃけ「日本刀」が作りたかったのだ。ファンタジー素材をふんだんに、贅沢に使用したガッチガチの「日本刀」を。

 そのためにネットで調べたその材料、製造過程、製造工程をみっちり資料化したモノをゲーム内で書き上げた。

 ネットから取り込んだデータをゲーム内に読み込んで反映させられたらソレが一番簡単だったのだが、それは叶わなかったのでゲーム内で紙に一生懸命に俺が書き上げた。

 後は配合やら打ち鍛えるのにウチのプロジェクトチームが納得のいく物ができるまで試行錯誤を繰り返すだけだ。

 一応はそこら辺のヒントは既に俺が作り上げた資料を読み込んで彼らは当りはつけているらしい。優秀な部下たちである。安心して全てを任せられるというモノだ。

 後はその出来上がりに対して銀狐族に「エンチャント」を掛けて貰う計画である。そこら辺のシステム的なモノは一切俺は分からない。なのでここも彼らに丸投げである。

 そこでのミーティングもかなり「ロマン」を追い求めた説明をしてある。刀の部分だけでは無く、鍔に持ち手の部分、それを保護する巻き紐に鞘などなど。

 細かい部分に分けられている各パーツに、それぞれにエンチャントを掛けて、それをバランスよく組み上げてバッチバチにパワーアップさせられないかな?と俺の欲望をぶつけてある。

 要するにコレは「オレガカンガエタサイキョウノブキ」製作プロジェクトなのである。我ながら幼稚な考えだなと呆れた。

 しかしこれほどにこのゲーム内で贅沢ができるのはこの「魔王」ぐらいしかないのではないかと思うのだ。

 ならばそれを全力でくだらない事に使うしかないだろう。楽しまねば損だ、それは。


「さて!出来上がりが楽しみだな!ちゃんとこのプロジェクトが上手く行ったら軍備増強って言うのは嘘じゃ無いしな!」


 一石二鳥といった事は言わないが、ここで失敗してもそれはプロジェクトメンバーのしっかりとした経験にもなる。

 ソレは今後のこの「魔王軍」の発展に貢献する事にもなるだろう。こうしてドワーフから「最高の炉」とまで言わしめる物もこうして完成したのだ。良い事尽くめである。ならば何も問題は無いだろう。


 こうして製作勝負は二週間という長い猶予期日を持ってして開始された。

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