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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「波及効果」

 俺の目の前には獣人の長が五名居る。牛、馬、鹿、鳥、狼だ。それぞれがその動物の特徴の一つを持っている。

 獣人と言えどもここに集まった五名は基本の見た目は「人」であったりする。


 牛の獣人の長は何と女性でその胸部はかなりの一品である。どうしてもそちらに目が行きそうになるのを堪えるのが苦しい。

 俺も男である。いつもは出さない魔王の威厳だけれども、ここで悪戯に落とすのもどうかと思って必死に視線を向ける事を我慢している。


 鳥の獣人も女性だ。しかしその背中からは巨大な翼が生えている。魔法で風を操るのが得意だそうだ。それで翼に風を当て宙を自在に舞うという。

 馬の獣人は言うなれば脚がもの凄い。どうやら走る事に関してはかなりの速度と持久力があると見られた。ケンタウロスじゃ無いんかい!と心の中だけで突っ込んだのはここだけの話だ。

 鹿はこめかみ部分から「バランスどうなの?」と思えるくらいに立派な鹿の角が生えており迫力満点だ。重さは大丈夫なのだろうか?首がヤバいんじゃないの?と思ったが、しかし本人は平気そうである。


 そして狼、なのだが、普通の青年だった。コレに俺は「え?もしかして変身する?」とちょっとワクワクした。

 説明を聞くとどうやら戦闘の際には手足の爪が鋭く伸びるのだそうだ。嗅覚も犬のそれと同等に、瞬発力も高くなり、勘も鋭くなるという。


「あー、で、受け入れは大丈夫なんだけど。キリアス、どう?」


「はい、まだ城の土地には若干の余裕が御座います。彼らを受け入れても問題は無いかと。しかし今以上に増えるとなれば内部では手狭に。」


 とうとう受け入れが増えすぎて限界に迫る勢いになろうとしている。俺はコレに思った。


(駄目だな。コレはまだまだ他にどんな種族がいるかも分からない。まだ見ていない種族も、もしかしたらどんどんと増えるかもしれないぞ・・・獣人だけじゃない)


 まだまだ様々な種族がこのゲームには実装されているはずである。ファンタジーには欠かせない有名所でエルフやドワーフ、他にも考えると精霊種とか妖精種とか言うのもあり得る。

 もっと考えればマーメイドやら半魚人などの水棲系の魔物だってあれば、トレント、と言った樹木系もあり得る可能性が。

 吸血種と言ったドラキュラ、何てのも定番であろう。珍しいという感じでは「蟲人」なんかもあり得なくも無い。


(ヤバイ・・・コレは早急に何かしら考えておかないと直ぐにパンクする!?)


 この五名の獣人種の長はどうにもこの間の魔族大移動の目撃者である様で。その移動はそもそも俺が銀狐族の保護を名目に命令を出していたものだ。

 しかし彼ら種族はこれを「魔族が攻めてきた」と言った捉え方をしたようで。しかし魔族が自分たちの住処を襲撃などせずに素通りしていく事で安堵をしたものの、どうにも攻め入られて殲滅をされるような事になる前に「服従」を選んだようなのだ。

 しかし情報を即座に集め始めて分かった事が銀狐族の保護であったと分かった時に、こうして自分たちも保護して欲しいという結論に至ったそうだ。


「あれほどの力を持つ軍を我々は迎え撃つ力を持ちません。ならば逆に、その力に守られたいと思うのは弱者の道理でありましょう。我々が差し出せるモノはいくらでも出しまする。その代わりに我らに安寧を与えて頂きたい。」


「・・・分かった。君たちを受け入れるよ。先にここで生活していた者たちと仲良くやって行ってくれ。喧嘩や諍い等は起こさないでくれよ?」


 この俺の言葉に獣人たちが感謝の言葉と共に深く一礼してこの面会は終了した。


 しかしどうにもこういった事は連鎖するモノであるらしい。彼ら獣人族が玉座の間を出た後、直ぐに入れ替わるようにしてベルガーンが入ってきた。そして。


「勝負を持ち掛けてきた者たちが居る。魔王に会わせろと。通しても大丈夫か?」


 変わらぬぶっきらぼうな喋り方のベルガーン。そして誰が一体そんな事を?と言った疑問はさておいて俺は反射的に「連れて来て」と言葉にしてしまっていた。

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