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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「銀狐と獅子」

「えーっと、ライドル聞こえてる?それで、そのー?大丈夫、なのかね?」


 あの顔合わせから翌日のログイン。俺は今ライドルに通信をして予定の件を訊ねている。その際にシャールが何故ライドルに会いたいと言ったのかのその理由、中身を一緒に話をしていた。

 で、ライドルから反応が無い。無言だ。たっぷりと10秒近く沈黙が続いてから口を開いたライドル。


「シャールは確かに私の遠い親戚にあたります。まあ、血という観点からして、もう別物ではありますし、銀狐の容姿を強く現出させているので、上手く力の融和が成ったと言える成功例でしょう。」


 この言葉をきっかけにライドルは経緯を話し始める。曰く。


 過去に自分の先祖が銀狐族と親しかったと。そしてその時に獅子族の男性と銀狐族の女性が恋に落ちて子がなされたそうだ。ロマンスである。

 男性の方が銀狐族に婿養子みたいな感じで入る事になり、それはソレは互いの部族の平和を繋いだそうな。

 そして遠く年月が過ぎ、その繋がりも薄くなっていき、交流はその内に自然と消滅する。

 この話は両部族に受け継がれてはいた物の、再び交流という流れには至らず今となっているらしい。

 そしてどうやら銀狐族は獅子族の持つ「力」をしっかりと自身の血に混ざり合わせてより強い力を得られたと言う事で。


「そんな昔話・・・素敵じゃん!やべーな。また今回の事をきっかけに交流ができるといいね!」


 俺は呑気な事を口走ってしまったが、どうにもライドルは話し方が先程から何だか苦い感じだ。


「あー、私はその、性に合いません。銀狐族は以前はソレはそれは、そのー、美しい大人の女性の姿が特徴的でして。私の部族の長老に聞いた話によれば」


 確かにシャールは「おこちゃま」な見た目である。実際に俺は子供だと思っていたのだが。


「どうやら私が以前に噂で聞いた話では、銀狐族は獅子族の血を、力を取り入れて「変化」をその身に、いや、部族全体に起こしたという事なのです。それが・・・」


 いやいや、まさか?とこの時に俺は思った。しかし真実は残酷だ。シャールが長としてあの場に来ていた事で俺はこの先の話を直ぐに理解した。


「獅子族の血が銀狐族に広がり、その力を得た代償に、かの部族の者たちは成長し、大人になっても子供の姿を保つそうです。そして銀狐族は長寿、見た目が子供であれども、その真の年齢は定かでは無いのです。」


 俺はこのライドルの説明に「オオゥッフ・・・」と絶句してしまう。そういう設定ヤバい、と。


「魔王様、そのシャールは見た目はどうでしたか?子供ではありませんでしたか?私は小児性愛者では無いのです・・・」


 コレは参った。ロ●コン大爆発である。イエス◯リータ!ノータッチ!の前提が崩れてしまう。ロリババアだ。

 このゲームのプレイヤーたちに捕まったら銀狐族がどの様な目に合わされるか分かったモノでは無い。


「緊急指令!緊急指令!皆!銀狐族の保護を!プレイヤーたちに一切バレる事無くウチの城に連れて来て保護するよ!この通信を聞いている者たちは全員今やっている仕事を直ぐに中断して!銀狐族の捜索、及び保護を先ず最優先!かの部族がプレイヤーたちに狙われる前に全員の安全の確保を!コレは魔王からの絶対命令である!魔王は今を持ってして銀狐族の庇護者となるから!今外に出られる者たちは全て出てこの命令を追行して!」


 俺はライドルからの話を聞いて直ぐにこの指令を出した。初めてかもしれない、これほどまでにハッキリと命令だと言って部下たちに指示を出したのは。

 この世界はゲームだ。だから、幾ら何をした所で犯罪者にはならないかもしれない。けれどもそれは如何なものか?

 精神的、という観点からして見れば、銀狐族に手を出すようなプレイヤーが居れば、既にその時点でそいつは野放しにはできない「犯罪者」である。

 プレイヤーの事を俺が管理できる訳も無いので、難易度的に見ても銀狐族をこうして集め保護、庇護する方がよほど現実的だ。


「はぁ~、一先ずはコレで良いとして。ライドル、御免ね、いきなりちょっと取り乱しちゃったよ。それで、今回の案件についてなんだけどさー。どうしようか?お断り、入れておく?俺から?」


「・・・いえ、その様な申し出を銀狐族の長から口にしたのです。何かしらの事情があるかもしれません。過去のそう言った話の事もありますし、正直、個人としては協力してやりたいという気持ちもあります。保留と言う事にしておいて頂きたく。」


 ライドルはどうやら優しい、懐が深いようだ。感心させられる。


「分かった。じゃあシャールからライドルへの婚姻の申し出話は俺が預かって置く。その事も彼女には俺から伝えておくよ。」

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[一言] マイウエルの時の悲劇を繰り返してはならない
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