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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「注目の的」

「と言う訳で、皆、どうやら自称魔王が現れた。警戒はしても良いけど、無用な緊張はしない様に。あとミャウちゃん、殺意と一緒に魔力が全身から漏れてるよ。はい、落ち着いて、落ち着いて。」


 俺は掲示板で今回の「魔王」の話をかき集めた。そして現在その内容を説明して注意を払うようにとここに主要人物を集めて説明をしている所だ。

 人数が多くなって部隊を細かく作ったは良いのだが、俺は全部を把握できていない。ミャウちゃんやゲブガルに実を言うと丸投げ状態だ。

 二人からは「魔王様の御負担にならぬよう」と、その全ての仕事は新たにできた部下たちに割り振られている。

 些事はこちらで全部片づける、と言った事を言われており、俺の仕事はこれだけの魔族が集まっているのにもかかわらず「無い」。


 この場には四天王全員とベルガーン、他にも後から入った魔族が十名程いる。名前を全員まだ覚える事ができていない。

 名前を憶えられていないこの十名は部隊長である。まだまだ軍団長、などと言える大人数が集まっていないのでしょうがない事ではあるが。

 しかしこの先まだまだ増える予定である魔族の数に思いを馳せると頭が痛くなりかける。

 これ以上の増加となれば、その戦力も大幅に増える。そうなれば確かに「軍」と言える形になるだろう。けれどもお次はそうなれば「戦略シミュレーション」に早変わりだ。


「魔王を自称する魔族は放って置いていいよ。これからもプレイヤーたちを引っ掻き回して貰うとするから。そうだなあ。その「魔王」にもし遭遇したら敵対などはしないで。もし勧誘なんかされたら間者としてその魔族に取り入って貰ったりもするかも。で、新たに情報とかは無い?」


 俺のこの決定にミャウちゃんは少々の不満が見られた。雰囲気だけだが。その表情は静かなものだ。しかしその身から漏れ出ている漆黒の魔力が不機嫌なのを如実に物語っていた。


「はい、奴はどうやら遭遇したプレイヤー共を手当たり次第に攻撃しているようです。しかもその時に「復活しても城から出られない魔王などに頼らずにプレイヤー共を自身の手で根絶やしにすればいい」と言っているのを確認しております。」


「脳筋?まあ、そうだよなあ。そいつはどうやらプレイヤーからポイントが自力で得られるッポイし?」


 実験してみたのだが、どうやら魔族は普通はそんな真似できないらしい。そいつ、自称魔王だけがそれができるようになったと。

 それで直接「魔王」に頼らずに自力で強くなって自分で「魔王」を名乗ってプレイヤーへと対抗し始めたと。


「俺は別にその「魔王」を批難したり、馬鹿にしたり、怒ったりしてないから。ミャウちゃんも抑えて抑えて。他の魔族たちが怯えて怖がってるから。ちゃんと抑制して?」


 やっとこの俺の求めでミャウちゃんは漏れ出ていた魔力を抑え込む。そこでホッと胸を撫で下ろしている十名の魔族。


「魔王様、我々はどの様に致しましょう?」


 この言葉を口にしたのはライドルだ。彼の本来居るはずの場所は今は部隊を出して防衛をして貰っている。

 こうして集まって貰わなくとも魔王通信という便利システムで連絡を入れればいいのだが、たまにこうして謁見したいという四天王からの求めがあって定期的に直接の顔合わせの機会を設けていたりする。

 そして我々というのは「四天王」と言う事だ。その他の魔族たちは先程言ったように勧誘されたら敵対態度を取らずにスパイとしてその「魔王」について貰うかもしれない。


「いつも通り、これまで通り、何も変えなくていいよ。そうだなあ。「魔王」が来て配下になれとか言い出したら断って。その答えで敵対してくるようであれば迎撃。無関心になられたらそのままで。協力を要請してきたりしたら「考えておく」とだけ答えておいて。」


「そ奴を始末してしまってはいけないのですか?」


 俺のこの判断に今度はバイゲルが質問をして来る。バイゲルの領域である屋敷の方はと言うと、先日にバイゲルに褒美として与えた「人形」が守りを固めていると言う事である。

 バイゲル曰く「最高傑作」であるそうな。想像はしない方が良い部類だと思った俺はそれ以上は深くは聞いていない。


「その「魔王」が暴れている間にこっちはこっそりと隠密に動こう。その暴れっぷりの陰で静かに動いて目立たずポイント回収。それと同時に魔族の勧誘、保護も一緒にしていこう。この城に入りきらなく・・・なるような事態にはならないだろうけど。人数が増えたら増えたでバイゲルやライドルの守護領域に人を派遣して働いて貰うとかもできるようになりそうだし?」


 たった一人で拠点を守るというのが最初からおかしな話だったのだ。こうして人が増えれば一層にその拠点周辺の守りも固める事ができて万全の迎撃態勢がとれるようになるだろう。

 幾ら魔物が拠点周辺に生息していて天然の迎撃システムになっていたからと言って、それらは今レベルの上がっているプレイヤーたちからは既に敵として見られていない、機能していない。


「さて、何だかやる事が増えて行ってるような気がする。気がする。大事な事だから二回ぼやいてみた。さあ、動こう皆。やるからには徹底的に行こう。」


 こうしてド派手にプレイヤーの目を集めてくれる魔族「自称魔王」の裏でこちらはこそこそと動くのだった。

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