何で俺だけ「リスポーン、リスポーン、リスポーン・・・」
繰り返し何度も何度もリスポーンをさせられる六名。彼らは抵抗を途中で諦めていた。今はもうコレが何度目のリスポーンになるのかももう数えてはいない。
敵は空中、こちらが最初から不利。そもそも四天王に反撃をしてもその攻撃は届く事は無い。通用しない。
魔法の一撃で全員が同時に死亡させられ、そして同時に復活すればまた攻撃魔法を再び放たれて即座に死亡させられる。
彼らは必死に逃げようとしたのだが、ゲブガルが作り出す壁に阻まれてリスポーン地点から他の場所へと移動する事が不可能だった。
マイウエルの魔法はその壁の範囲全てを覆いつくしてプレイヤーを一人も逃さない。彼らは全員同時に復活し、そして同時に再び死亡させられるのを繰り返した。
マイウエルの魔法はゲブガルの魔法障壁によって周囲への被害を出さず、プレイヤー六名だけを消し飛ばし続ける。
その光景はまさに地獄絵図。その広場周辺の住民は既に退避をしてこの場所周辺には一人も居ないのだが、しかし野次馬根性を持つその他のプレイヤーがこの広場に数名が覗きに来ていた。
今回の事に全く関係しなかったプレイヤーはこの始まりの街には存在する、当然に。そのプレイヤーたちは今、目の前で起きている異常は何なのかとじっとこの「処刑」を観察し続ける。
しかし一切手出しはしない。自分がとばっちりを食らうのを避けるために。薄情と言う訳では無い。助ける義理が無いだけだ。
そしてとうとう二十数回目のリスポーンが終わる頃には六名のプレイヤーは意気消沈して全く動こうとはしなかった。
「これでお前たちがどれだけの事をしたのかと言うのが身に染みて理解できただろう。お前たちをこれ以上殺し続けても神から最低限の復活を保証されているお前たちを完全消滅させられんからな。さらばだ。」
ソレはその六名のレベルが「1」となったと言う事。幾らこれ以上このプレイヤーを死亡させ続けても必ずそのレベルが「1」で復活する。
なのでもうここまでレベルを落とせば処刑は終了と言う事だ。完全消滅と言う事は神、運営からアカウント停止を受けてログインできなくなると言う事である。
幾ら何でもそれを魔族のこの二人ができるはずも無い。なので「処刑」を終了したとしてゲブガルとマイウエルはようやっとこの場を去ったのだった。
残された六名はもうリスポーンさせられていないのにもかかわらず、全くピクリとも動かない。
そこへ陰からこの処刑風景を見ていた野次馬たちがその六名へと近づいて声を掛ける。
「おいおい、お前ら何やったんだよ一体?こんな真似を魔族からされるって、相当ヤバいことしたんだろ。」
「おおコワ!逆鱗に触れるとはこの事だな?これだけ徹底的にやられたらもう俺心が折れるよ、マジで。」
「テメーは魔族を怒らせた。それがテメーの敗因だ。」
「さっきの光景は映像で撮ってたんだよね~。しかも生配信しといた。コレで俺も有名になるかな?」
「ソレは笑う。お前が有名になるんじゃなくて、この一件が有名になるんじゃん?お前は所詮モブ。モブ乙!」
「いやー、俺はモブでいいや。こんな目に合うくらいなら。」
「うん、それは同意。こんな仕打ち受けるような事を俺はやらないし、やれないと思うけどな。」
「魔族怖い・・・徹底し過ぎでしょコレ?いや、それだけの事をこいつらはやったって事か?」
「あーそれ、後で調べてみようかな、掲示板。多分載ってるっしょ。経緯が。」
そう言って野次馬プレイヤーたちは直ぐにその場を離れて解散していく。今回のこの光景を生み出した経緯をそれぞれが掲示板で調べるために。ゆっくりできる場所へと移動するために。
野次馬が立ち去った後、その六名はやっと気を持ち直したのか、ログアウトをしてこのゲームから現実へと戻て行ったのだった。