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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「繰り返させないために、繰り返す」

「くっそ!上手く行くはずだったのに!何だよいきなりアレはよぉ!」


 そう叫ぶプレイヤーは再スタート地点で地団太を踏んでいた。幾らシステムを使って痛みを完全遮断していても、四肢を断ち切られて地面に何もできない様にされて転がされる事が如何に恐ろしい事かを彼は今回で身を持って知った。

 そして直ぐに死亡判定で消えない状態のままに自分のパーティー仲間が同じ状態にされるのをその目にしていたのだ。


「何だよあの理不尽はよ!あんなの絶対に勝てっこないじゃねーか!」


 そう叫ぶが誰もコレに反応する者がいない事に気付いていない。先に消された他のプレイヤーが居るはずなのにここには自分以外に人っ子一人居ない事に。

 最後に残された六人の内、一番最初に死亡したのはそのプレイヤーだった。なのでそこで最初にリスポーンするのは分かってはいた様だが、それ以外の事に気が回っている様には見えない。

 そうして順番に再スタート地点へと仲間が順次現れた事でイラつきは最高潮になる。


「どうなってやがるんだ運営の野郎!おい!お前らも苦情入れるぞ!」


 全員揃った時点でこの場で早速彼らは運営へと苦情を申し立てようとしている。自分たちの行った事が失敗したのは運営のせいなどでは無いのにもかかわらず。

 だがここでその内の一人が気付いた。どうにもおかしいと。


「なあ?何でここには俺たちしかいないんだ?他の集まってた奴らも消されたんだし、そもそもここに誰かしらいるはずなんじゃないか?」


 確かにこの始まりの街以外に再スタート地点を設定しているプレイヤーも居るだろう。

 あの五十という数で自分たち以外の全てが別の場所を登録していたとは考えにくかった。


「ああ?何だよそんな事。もうここから移動くらいはしてんだろ。俺らが最後だったんだから。それくらいの時間はあるだろ。」


 気にしない、と言った感じで単純な回答が帰って来る。疑問を呈したプレイヤーも確かにそうだとコレで思い直した。彼らには先に消えて行ったプレイヤーたちが「強制ログアウト」をしていたなどと言うのは知る由も無かった。

 そしてまた運営へと魔族が強過ぎてどうにもならない、という情けない苦情を入れようとして、またハタと気づく。


「なあ?なんか変じゃないか流石に?周囲に誰も居ないじゃん?」


 再スタート地点は大きな広場だった。ここは別に始まりの街の中心地点では無い。それでも、人がここまで居ないと言う事はありえなかった。

 自分たち以外が人っ子一人居ない事を今更気づいて不安が一気に上昇していくプレイヤーたち。


「おい、運営に文句付けてる場合じゃ無いんじゃ?早くここから移動した方が良いぜ絶対に。」


 この言葉に直ぐに動き出す六名。だが、既に遅い。というか、最初からもう彼らに逃げる手段など与えられていなかった。


「おい!どうなってんだコレ!?見えない壁で先に進めねーぞ!一体こんな仕様にいつなったんだよ!?」


 この広場から出ようとした時、それは阻まれる。透明な壁に行く手を遮られて。しかしこれは運営が彼らに施した処置では無い。


「お前たちは徹底的に処刑する。あのような外道を行った元凶の末路などはより厳しいものになるのは当たり前だろう?」


 この声は上空から聞こえてきた。それは魔力障壁の使い手。魔族ゲブガルである。

 この六名をこの広場から出さない様に閉じ込めているのはこのゲブガルだった。


「なに、安心しろ。この場所の周囲へは被害が出ない様にしてある。お前たちは思う存分、自分たちのやった罪の重さを実感して貰う。その身を以てしてな。」


 この再スタート場所の周囲には確かに家屋は建っている。しかしそれらには被害は出さないとそのゲブガルは言う。


「お前たちに罪があり、その他のこの場所、周囲に住む者たちはこの件に関係は無いからな。私たちは今回、この街を襲撃しようとして訪れた訳では無い。」


 唖然と宙に浮いているゲブガルを眺めてプレイヤー六名は言葉が出ない。最悪の未来を思い描いてしまったからだ。

 そして「私たち」という点に疑問を持った時に、その魔族はゲブガルの背後に現れた。

 ソレは既にその容姿の可愛らしさで一躍プレイヤー間で有名になった魔族。マイウエルだった。

 マイウエルは別の意味でも有名で、主に「高威力、広範囲魔法」の事で名を馳せていた。

 そしてこの登場はプレイヤーたちのこれから受ける「罰」がどの様なモノであるのかを想像させる。


 次の瞬間、マイウエルから炎の球がその六名の真ん中へと放たれ、そして一瞬で彼らを灰と化した。

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