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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「そう上手くは行かないのもので」

 この提案に最終的に残ったのは五十名。そう、最初に集まってきていた人数の半分だ。

 その中には打算で残っている者たちも居た。そして中には「本気」でこの人質があれば魔族撃退で一躍有名になれると思った者たちも。


 打算で残っている奴らは「ここまで来たし」「お祭りだな」「ホントに魔族撃退できるなら」などなど、中途半端な覚悟、と言っていい考えでここに残っていた。


 本気でレイドを組もうとしているプレイヤーたちの心情はそのまま「どんな手を使ってでも」といった腹の据わった者たちが多い。


 こうして「連合」などと呼べなくも無い数のプレイヤーたちがバランスを考えて組み合わせを決めていたのだが。


「んん?おい、アレを見ろ!何だ?六、七、八、九・・・早速来たぞ!皆戦闘態勢!」


 一人のプレイヤーが気付いて空を見上げると、そこにはここへと近づいて来る魔族の姿を見つけて声を上げた。


「おいおい、騒ぐんじゃねーよ。落ち着けって。奴らには手出しができねえ。何故なら・・・こっちには人質が居るんだからな?」


 人質が居る、それだけで優位に立っていると自負していてふんぞり返っている今回の発起人となったプレイヤーは慌てる周囲を諫める。

 コレに気を抜く者、警戒を怠らない者、オロオロとするだけの者など、そんな言葉だけでは纏まらない様相をしている。


「良くも我らの同胞を・・・薄汚い真似をしてくれるな、きさまら。それがお前たちのやり方だというのか?直ぐにその子を解放しろ。そうすれば見逃してやる。」


 とうとう魔族はプレイヤーたちの上空に辿り着いた。そして宣告する。


「ああ?見逃すだぁ?お前ら魔族は一人残らずぶっ殺すに決まってんだろうが?この子供も、魔王もなぁ?さて、ほれほれ、俺たちを攻撃して見ろよ?大事な大事なこいつが一緒に死んじまうだろうけどなあ?」


 人質の魔族の子供に剣先を向けてにやにやしているプレイヤーはそう言って自分たちに「交渉」を仕掛けてきた魔族を見上げる。


「解放をするつもりは無い、という事か?なら、決裂だ。その判断をこの先、一生後悔するといい。」


 そう言って魔族は来た方向に飛び去って行く。コレにプレイヤーたちは大いに盛り上がった。本当に「撃退した」と。


「言っただろう?あいつらは人質が大事で俺たちには手を出せねえ!勝鬨を上げろ!」


 この一言にプレイヤーたちは盛り上がる。本当に魔族を気にせずにこのままこのゲームを攻略できるのかと。

 だが、この高揚は一瞬で無に帰す。それはそこに居たはずの魔族の子供、人質が消失していたからだ。

 一瞬の出来事。先程迄いたはず、そこに。しかし、人質を見張っていたプレイヤーがほんの一瞬、そう、勝鬨を上げた次に視線が戻った時にはもうそこに人質は居ない。

 勝利を確信したその時、意識が完全に人質から無くなった直後、忽然と魔族の子供は消えていた。


「は?」


 この事実に気付いたプレイヤーは極僅か。浮かれていた気分は一瞬で吹き飛ぶ。


「おい!人質が消えたぞ!どうなってんだよ!?」


 咄嗟に叫ぶ者が居た事でその事実は直ぐにプレイヤーたちの中に広まるのだが、その後にすぐ現れたのはこれまた巷で噂のその存在だった。

 その存在の話は最近になって暫くは聞かなくなっていたのだが。


「お前たちは万死に値する。畜生外道の者たちよ、許されざる行為をその少ない脳味噌に刻み付けて消えるがいい。」


 ソレは仮面を被った「正義の味方」のミャウエルだった。

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