表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
125/638

何で俺だけ「この度集まってもらったのは他でもない」

 この大草原に多くのプレイヤーが集まっていた。誰もが重装備、強力な装備を揃えており、どんな存在が来ようとも迎撃できる、討伐できると自負していた。

 その数は百名近い。どうしてここにこの様にプレイヤーが集まっているのかと言うと。


「なあ?コレで来るのか?いくら何でもちょっと稚拙過ぎやしないか?」

「それにさー、ちょっと乗り気にならないんだけど。呼ばれたから確かにこうして来はしたけど。」

「そうも言ってられ無くね?だって俺たちがいつ狙われるのかも分からないんだぜ?」

「あーそうだな、確かに魔族は今の内に封殺しとけれるならやっておきたいよ。」

「こんなこれ見よがしに見晴らしの良い場所にとか、来るか?あり得無くね?」

「いや、有り得ねーのはこれを考えた奴の頭の中身と運じゃね?なんだよ?あの「魔族の子供をとっ捕まえた」って。」

「あー、それは思った。けど、見当たら無くね?それらしいのって?」

「ソレを囮にして人質作戦を思い付くとか、よっぽどの外道じゃん?」

「いや、ここに居る時点でお前らも俺も同じ外道だけど?何一人で良い人ぶってるの?」

「俺はやるぜ?だって実際にやられてレベル下げられたからな。この恨み、晴らさでおくべきか!ってな。」

「ここにはそう言う奴多そう。それと、名声求めてる奴と野次馬根性の馬鹿。」

「お前はじゃあ何だって言うんだよ?それこそ、ここに集まった奴らはロクで無しだろ?この時点で誰も文句言える権利ねーわ。」


 騒々しい会話がずっと続いている。集められたプレイヤーの中に、その肝心の張本人がまだ来ていなかったからだ。

 そんな中で指定された集合時間にキッチリと現れた六名のプレイヤーが居た。


「諸君!この度集まってもらったのは他でもない!最近噂になっている魔族の事についてだ。」


 この一言にこの場に集まっていた誰もが「何を偉そうに」と心の中だけで突っ込んで言葉には出さなかったのだが。


「俺たちはその魔族をこれから迎え撃って奴らをぶっ倒す!コイツを使ってだ!」


 その叫んでいるプレイヤーの背後から随分と殴られた跡で顔を腫らした一人の少年が引っ張り出された。縄で縛られて身動きが取れていないばかりか、その口には猿轡がされていた。


「こいつを人質にして奴らの動きを封じて俺たちで一斉に攻撃して魔族を潰すぞ!」


 先程からこの喋っているプレイヤーが信用における人物なのか?プレイヤーたちは疑いの目を向けている。

 それと追加で「本当にこんな子供を人質に?」と、本当に外道を行おうとしているこのプレイヤーに不審な目を向けている者も居る。

 ここに来てやっと「囮」を見せられたプレイヤーたちの中からこの場からいきなりログアウトする者たちが現れる。

 勢いでここまで来てしまった者たちだ。お祭りだと思ってテンション高めでやってきたは良いが、本当に魔族とは言えこの様な「子供」を人質に取るような汚いマネをするというのをこの目と耳にして一気に冷えたのだ。

 本当にこの様な「悪役」のするような事を自分はするのかと、加担するのかと怖気づいたと言っていい。

 自分はそこまで堕ちてはいない、そう冷静さを取り戻した者たちだったそれは。いわゆる「まだマトモ」と呼べるプレイヤーたちは早々にこの場から去った。


「はっ!ログアウトした奴らは臆病者だ。放っておけばいいさ。」


 ここで残った者たちから質問が飛んでくる。


「おい、そいつを使えば本当に魔族の動きは制限できるのか?人質事俺たちを攻撃するなんてやって来ないだろうな?」


 ここに居るプレイヤーたちは「魔族」といった響きだけで、その存在を「冷酷」だと決めつけていた。コレは只の偏見でしかない。

 このゲームの中の魔族は仲間思いであり、そして子供という対象を大事に扱っている。

 しかしその事実を知らないのだからしょうがない。彼らにとっては魔族とは打ち倒すべき対象でしかなかった。


「保証する!もう既に実験は済ませてあるぜ!ここに来るまでに三名一組の魔族が近づいて来ていたが、奴らは俺たちを見るなり撤退していきやがった!ザマアねえぜ!きっとあいつらはこの子供がいるせいで攻撃をしてこれなかったんだろう。掲示板ではいきなり奇襲を仕掛けてくると言った傾向があると書かれていたけどな!コレでもう俺たちは無敵な訳だ!あいつ等にはもう俺たちを害する事は出来ねえ!」


 そのプレイヤーは気を大きく持っているのか、もの凄く浮かれたようにそう断じた。


「そうだ!この「切り札」がある限り奴らは手出しできねえ!この数が揃えば俺たちは奴らに何て幾らも邪魔される事は無いって事だ!そして!ここで提案だ!レイドを組まないか?コイツさえあれば魔族の邪魔を今後とも排除できる。そうなれば俺たちは一躍トップに躍り出れるぜ!」


 ここに集まった者たちでレイドパーティを組み、魔族関連に一切煩わされずにガンガンとストーリー進行ができるとこのプレイヤーは集まった者たちに勧誘を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ