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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「早速また増えた」

 翌日のログイン、そして玉座の間。俺の目の前には跪いた五人の魔族。俺はこの展開を予想していなかった。

 一人はベルガーン、残る四名の内訳は男の魔族が三名、女の魔族が一名である。


「こいつらは俺と境遇が似ている奴らだ。俺が誘ってここに連れて来た。この城においてやって欲しい。」


 ベルガーンがそう言葉にする。今日はこうしてゲームに入ってすぐこの展開だったので俺はポカーンとさせられてしまった。昨日とは逆の立場である。


「・・・仕事が早いなあ。まさか一日でこんな事になるとはなー。あ、うん、いいよ。この城を自分の家だと思って寛いでくれて構わない。あ、もしかして彼らも小さい子供を連れてたりする?」


 ベルガーンが守っていたと言う子供の数は五名だ。そしてこの追加スカウトで四名の魔族が配下になるのだが、この彼らも自分たちに連なる子供の魔族を守って秘かに暮らしていたらしいその場所を、プレイヤーに見つかって逃げてきたと言う。

 そしてそれをベルガーンは探し見つけてこうして引き込んだと。子供の数は追加で九名がプラスされて全部でいま「14」となっている。


「あー、マイちゃん、ゲブガル。二人で子供達の教育、オネガイシマス・・・一気に学校シミュレーション?もしくは育成?やべえな?」


 俺がすんなりと四名の新たな魔族を受け入れ、しかもその口調が「魔王」とは懸け離れているものだから新入り四名はびっくりした顔を見せていた。


「えー、ここで編成の話をしようか。ベルガーン、君がこの四名を配下としてプレイヤー叩きをしてきてくれ。あんまりプレイヤーを追い詰めると逆襲が怖いからホドホドに。倒した時に入るポイントが溜まったら、順次彼らを強化していこう。あんまり気張ってポイント稼ぎしないで、気長にのんびりとやっていこうか。あ、君たち、魔王軍に入ったからにはちゃんとこれだけは守らないといけない、って言う命令があるんだ。それはね。」


 俺は四名に「命大事に」の命令をしっかりと説明し、受け入れさせる。そしてそれが終わると指示を出しておく。


「じゃあ今日は特別に俺から指示を出すからそれに従って動いてね。じゃあ、この五人で纏まって動いて、プレイヤーを一人倒してきてください。今日は軍の運用の試しだと思って気楽にね。翌日からは君たちで自由に行動を決めて動くように。別にノルマとかは決めたりはしないで良いよ。必死にプレイヤーを見つけようと無理したりもしないように。あくまでも気負わずに活動してね。」


 俺がこの様な気の抜けた命令を出すのでこの場に居たゲブガルもマイちゃんも「はい?」と言った困惑顔になっていた。

「魔王は腑抜け」などと思われてしまっているのかもしれないが、そもそも、この「ゲーム」が終わってしまえば、俺も一緒に「終わり」なのである。

 長くこのゲームを楽しむのであればこれくらい緩い感じでいる方がよっぽど長い時間遊べるというものだ。

 早くこの魔王でこの世界をあちこち回って見てみたい、と思ってはいたが、こうして自分の部下が増えるのだ。この魔族たちがプレイヤーたちに殺されないためにも、俺はこうした「縛り」などが全く無い命令を出す事に躊躇いは無い。

 彼らを生かすも殺すも俺次第であるのだ。無茶ぶりを出してゴミみたいに部下を無駄死にさせるつもりは無いのである。


「では、行ってくる。」


 ベルガーンは四名を連れてこの部屋を出て行った。その時にゲブガルはちょっと何か言いたげな顔をしていた。

 どうやらこのベルガーンの言葉遣いがなっていない部分をどうにかしたいと言った感じで眉間に皺を寄せていた。

 別に俺はこの事を別段気にしたりはしていないのだが。俺がこんな喋り方なのだから、部下の話し方に一々ケチを付けるような気にはならない。


(ミャウちゃんならきっと注意をしてるだろうなぁ。あ、ミャウちゃんの方はどうなってるのかな?)


 今日は城にミャウちゃんは居ない。今彼女はスカウトに行っていてまだ一人も見つけられていないと言う事だった。


「ミャウちゃんがまだ見つけられてないのに、ベルガーンは直ぐにこうして四人も連れてきちゃったよね?何かしらのチェインイベントか何かなのかな?まあ、気にする事は無いか。」


 チェインとは「鎖」、要するに、このベルガーンを仲間に入れたと言う条件が満たされて追加で四人新たに魔族が仲間に入ると言うイベントが「確定」と言った感じだ。連なっていると言う事で「鎖」である。


「ゲブガルとマイちゃんは今日は子供達の教育をお願いね。ベルガーンたちが戻ってきて交代でスカウトに行く感じで。あ、それと、二人も適度に休日を作ってしっかりと身体も心も休める時間を取るように。魔王軍はホワイトを目指します!」


 俺のこの宣言で、二人についてこれていないのが丸分かりの「ポカーン」と言った表情をさせてしまった。

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