表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
118/638

何で俺だけ「力が欲しいか?なら、くれてやる!」

 コレに俺はお約束のあの言葉を思い浮かべる。そしてそれをここで絶対に言わなければ!と妙な使命感を持ってベルガーンヘと言い放つ。


「ベルガーン、問おう。力が欲しいか?子供達を守り抜ける、そんな強大な力を。」


 コレにベルガーンは訝し気な目で俺を見てきた。だけども正直にこの質問に答えてくる。


「欲しい。俺はあの時、奴らに殺される所だった。俺があの時死ねば、奴らはきっと子供達を殺していただろう。力が、欲しい。死んでたまるか。俺はもうあんな思いは御免だ。運良く助かった、それは良い。だが、今後もまた助かる保証は何処にも無い。俺は、俺は生きて子供達の所に戻る。守り抜きたい、だけど、死ぬ気は無くとも奴らに負ければ当然俺は殺されるだろう。だから・・・力が欲しい。強くなって、子供達の成長する姿を見届けたい。・・・得られるのならば、だが。」


「よっし!それじゃあ今あるポイント全部ぶっこみで!あ、ソレ!じゃんじゃんばりばりーっとな!」


 俺はベルガーンの強化項目に指を添えて連打する。ピコンピコンと可愛らしい音がこの時鳴っているのだが、どうやらこの効果音は俺にしか聞こえていないらしかった。

 どうにも俺の動きが妙だとゲブガルもマイちゃんもこちらを注視してくるが、それは短い時間だ。

 そう、ベルガーンの強化が終わったのだ。運が良いのかどうなのか、今までに稼いだポイントで最大強化まできっちりと済ませる事ができた。


「はい!終わったよ!コレで君はプレイヤーたちに簡単に負ける事は無くなった。あ、そうだ。プレイヤーたちが光の粒を纏ったのを確認したら即座に逃げて来る事。その状態になると負ける要素が爆上がりするからね。死にたくなかったらこの事をしっかりと頭の中に刻んでおくように。それじゃあ今日はもう子供達の所に戻っていいよ。事情説明をちゃんとしてあげてね。子供だからって知らないままなのは駄目だからね。ちゃんと説得するんだよ?あ、それじゃあマイちゃん一緒に行ってあげて。」


 ベルガーンの強化で俺の次の封印解除は遠くなったかもしれないが、後悔は無い。こうして新たな配下が死なないようにするのは後々にしっかりと響いて来るだろうとの判断からだ。

 このゲームを長い目で見れば、封印を解くのも遠い。ならば他の部分で楽しめる所を見つけた方が建設的だ。


「プレイヤーを狩るのは自分の判断で行動していいよ。そうだなあ。三日分働いたら、一日休む的な?あんまり気張り過ぎないように、それでいてちゃんと自分が無事だって言うのを子供達に見せるために城に帰ってくるんだよ?」


 雇うからには福利厚生はしっかりと、休息をしっかり取らせる事もまた責任である。

 余りにも根を詰め過ぎるのも効率が悪い。いつもモチベーションを高く保っているようにする為には定期的な休息は必要である。


 これにはベルガーンだけでは無く、ゲブガルもマイちゃんもポカーンとなっていた。

 俺はこれを気にしない。だって俺の中の常識とこのゲーム内の世界観とは掛け離れているのだから。

 それに俺は曲りなりにも「魔王」であるから、部下の顔色は一々気にしないでいくつもりである。

 そうで無ければやっていられない。今の俺の現状はシミュレーションゲームをしているのと変わらない。

 自分がこうしたい、と思った事をやっていないと楽しくもなんともないのだ。ならば、ここで俺の事を「珍獣」でも見るかのような目をするベルガーンも無視するのだ。


 こうして新たな配下が加わった効果は翌日に現れた。俺が予想していた形と違う形で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ