何で俺だけ「生き残った」
生き残ったプレイヤー三名は現状把握を直ぐに済ませると立て直しを徹底する。
「耐えたな!直ぐに回復!アイテムでも魔法でもいい!あいつが余力を残しているかどうかは関係無しに直ぐに体勢を立て直すぞ!」
そう叫んだ時、小さな火の玉がその彼らの丁度中心に飛んできた、ゆっくりと。そして。
「やれ」
と言った短い一言が響いてプレイヤーたちは灰と化した。その言葉と同時にその火の玉が一気に膨れ上がり、生き残りのプレイヤーたちを一息で呑み込んだのだ。
もちろんこの攻撃はマイウエルが行った。発動タイミングを指示したのはゲブガルである。
四天王二名はこのプレイヤーたちと戦っていた魔族を助ける事を決めたのだ。そして彼らが立て直しのために回復に意識を向けている隙をついて魔法をその場へと放り込んだ。
「ふむ、見事に綺麗に消えたのぅ。やはりお前さんの魔法は見事だな。」
「ホッとしました。もしかして一人だけでも生き残るんじゃ、何て警戒していたので。」
プレイヤーたちを消し飛ばす事ができたのはその前に食らっていた魔法のダメージが大きかったからというのもあるが、もし回復されていたとしてもマイウエルの強化されている魔法では耐える事は出来なかっただろう。
それをゲブガルは分かっていたが、マイウエルは自分の魔法にはそこまでの自信を持っていない。
なのでこうして警戒を怠る事が無い。それは良い意味も、悪い意味にもとれるが、今ゲブガルはその事には追及しないで置いた。
「さて、こやつの事じゃな。ほれ、死んでおらんか?・・・魔力が底をついて立てんだけか。ならば少しの間、我々の話を聞け。」
ゲブガルは倒れている魔族の事を心配するが、それは死んでいるか、いないかだけの表面上のものだった。
そして立ち上がれないだけで意識がある事で先ずはここに自分たちが来た用事をこの魔族へと手っ取り早く聞かせる事にした様子だった。
「あ、あんた、たちは・・・なに、者、なんだ?」
途切れ途切れでまだ息が整っていない倒れている魔族はこれに不審な目を二人に向ける。
コレにマイウエルが安心するようにと告げる。
「私たちはあなたの敵じゃ無いですから。安心してください。ここまで来るのに他にプレイヤーたちは居ませんでしたから。もう気を緩めても大丈夫ですよ。もし来たら私たちが守りますから。」
このマイウエルの言葉で多少は力を抜いた魔族だったが立ち上がろうとする。
「す、すまない。礼を言う。助かった。もう、大丈夫だ・・・ぐっ!」
魔力がまだ戻らないのに無理をしようとする魔族をマイウエルが止める。
「寝ていてください。どうやら傷は浅いようですが、体力がかなり落ちていますね。ゲブガルさん、彼を城に連れて行って安静にさせてあげた方が・・・」
「ふむ、まあいいだろう。こやつが先ずは一人目と言う事だな。おぬし、立てるか?戦闘をしていたのならば魔力回復薬でも体力を上げる妙薬でも何でも用意しておけば良かったのぅ。」
ゲブガルは未だ立ち上がれずにいる魔族を見ながらそうぼやく。これにマイウエルは肩を貸して魔族を立ち上がらせようとするが。
「すまない、助けて貰っていてこれ以上は心苦しいのだが、頼みがある。聞いてくれないか?俺の事はどうでもいいんだ。」
魔族は自分が助かる事以上にこの二人に頼みたい事があると言ってきた。