何で俺だけ「今後の事を考えないと」
「邪魔が入ったか。ならば撤退だ。」
ミャウちゃんのその一言で三人はその場を飛び上がり、空へと消えていく。するとどうだろうか?プレイヤーたちが纏っていた光も消えてしまい、後には静かなコロッセオが。
空は直ぐに青空へと変化していき、先程迄の激しい戦闘が嘘のように晴れ渡る。
脅威が去った事でプレイヤーたちの誰もが安堵の溜息を漏らしていた。俺はここで見ていた映像を切る。
「さて、運営はこの後にアップデートのお知らせを入れるんだろうな。後で俺も掲示板を覗いておこう。」
今すぐにしないのは一仕事終えた三人に労いの言葉を掛ける為だ。ここに直ぐに戻って来る事だろう。
アップデートの内容は別に逃げたりしない。今すぐに知った所でどうしようもないし、後で確認しても別に何らその内容が変わる訳でも無い。
「あ、お帰りー。皆ご苦労さん。ちゃんと俺の命令を守ってくれたみたいで良かった良かった。」
三人が玉座の間に入ってきて俺の前で跪いてきたので、俺は無事に戻ってきた安心を言葉にした。
「はい、我ら三名、無事に戻りまして御座います。しかし・・・」
ミャウちゃんが代表で何か言いたげな様子を見せた。その表情は硬い。
「奴らプレイヤーを始末できなかった事は情けなく感じております。それも途中に神の使いが邪魔を・・・」
「あー、いいよいいよ。正直に言って、プレイヤーの方もかなり踏ん張ってたしね。一息に始末できずに粘られたのはしょうがない。それと横やりを入れられたのも、まあ、別段気にしちゃいないから。ほらほら、そんな深刻な顔しないで?」
このイベントには運営からの「調整」が入っていた可能性がある。あのコロッセオはどうにも「別」に用意されていたと見ていいだろう。
プレイヤーたちが一戦ずつ戦うたびに運営は彼らを全回復させていた。ならばこの「天使降臨」イベント用に先程の戦闘はプレイヤーが死亡しない様にされていたとしてもおかしくは無い。しかも、不自然にならない様に。
マイちゃんの魔法が強力な事を俺は知っている。強化は最大値にまで上げ切っているから。
その魔法一撃で本当だったらプレイヤーは死亡して光に変わるだろう。でも、この件においてはそう言ったやられてしまうプレイヤーは一人も出なかった。
八人もいて、一人も消えた奴がいないと言うのはどうにも疑いをかけるに充分だ。強化されたマイちゃんの魔法の威力にはそれだけの信用を俺は置いている。
「よし、それじゃあ皆立って立って、楽にして。今後のプレイヤーの変化に関しての話し合いをしようか。あの光を使えるようになるために、おそらくはプレイヤーたちは今までよりも必死になってそこらじゅうを動き回って探すと思うんだよねぇ、それをゲットの為に。だからさ、こっちもそれなりに動かないと。一方的にプレイヤーたちの好きにはさせていられないからねー。」
俺は今後の動きを相談しようと言って皆を立ち上がらせる。そこで早速マイちゃんが質問をしてきた。
「あの、それはどうやって、ですか?えっと、そのー、私たち以外の魔族は好き勝手に動いてプレイヤーを見つけたら戦闘を仕掛ける、みたいないい加減な場当たり的な事しか今までしていません。現在のプレイヤーの強さへと対抗するには魔物だけでは抑えきれないかと。散っている魔族を一纏めにして奴らにぶつける、と言った方法で無ければ厳しいと思われるのですが・・・」
俺はここで初めて四天王以外の魔族がどの様に今まで動いていたのかを知って呆れてしまった。
確かに今までにも多少は「四天王以外にも魔族いるよね?」などと疑問を持ってはいたのだが、それらは魔王専用メニュー画面を幾ら探してもそれらの事を詳しく書いてある項目が無かったのでスルーだったのだ。
ポイントをいかにして効率よく回収する方法は無いかと、そう言った部分に大きく意識が割かれてしまっていて、どうせ今分からない事はどうしようもないと思って放って置いたのだ。




