何で俺だけ「思わぬ出来事」
今後の話をしようなどと言ったのだが、三名がこの玉座の間に戻って来た時に「ピロリン」と運営からのお知らせが入った。
俺はこれをすぐさま開いたのだが、驚きの事が書いてあった。
「へ?武術大会を開催する?このタイミングで?もしかして、俺のやった「武闘会」って監視されてた?いや、偶然?」
どうにもこうにも、このタイミングでこの様な発表が運営から出されるとは思ってもみなかった。
俺のジョブは魔王なので、こうした「プレイヤー」へのイベント告知は基本来ないのだが、こうしてコレが来たと言う事は。
「もしかして、俺が参加できる?・・・訳じゃないみたいだな。ドレドラ・・・?・・・!?」
ソレは運営からの協力要請だった。書いてある文言、その求められている役割をまじまじと読む。
「魔王様、如何なされましたか?」
ミャウちゃんが俺の様子が変なのでそう問いかけてくるのだが。
「いやー、参っちゃうな?コレは面白そう。けどなー?誰に行かせればいいんだ?」
俺はこの内容を読んで運営からの公式な協力要請に悩む。どうやら以前からメインストーリーに絡めた元々考えてあったイベントであったようだ。
しかし俺がこうして魔王となった事で四天王を動かせる権利は俺が得てしまったので、こうして運営は一々俺へと協力要請という形でこのイベントに別の形で参加して欲しいと言う事である様だ。
以前のスタンピードのイベントの時もこう言った裏側があったと言う事である。
「まあ、そうか、この場に居る三人に行って来てもらえば良いかな?じゃあ、ちょっと説明をしようか。」
俺はこの運営からもらったお知らせの内容をちょっとだけこのゲームのストーリーに変換してこの三名へと伝える。
「えーっと、プレイヤーたちは自分たちのさらなる強化、力を磨くため、武術会を開くそうだ。そこに三人には出向いて貰って、最後の優勝者がどれくらいの強さかを確認してきて欲しい。それで、その優勝者他、上位に入賞した奴らがそこで脅威だと思ったら、疲弊しているそいつらをその場で潰して欲しい訳だ。あ、命大事にだから、もしかしてそこで余計な邪魔者が入ってきたり、もしくはプレイヤーが何故か突然その場で強くなったりしたらすぐに撤退ね。うん、撤退だよ?まあ、そうだなあ。今のプレイヤーたちはそもそも三人には実力は到底及んでいないし、ちょっと弄ぶ感じで、消さないでもいいからボッコボコにしたら戻って来てくれればいいよ。」
そう、どうやら運営はメインストーリーにプレイヤーの「負けイベント」を仕込んでいたらしい。
ここでは必ずプレイヤーは乱入してきた魔王側の勢力に勝てない。しかしこのイベントの後にはプレイヤーがパワーアップするという感じのテコ入れを、と言った形にするそうな。
どうやら運営は「熱血少年漫画のノリ」みたいな事をしたいらしい。
俺のこの説明には三名ともちょっとだけ疑問の表情を取ったのだが、直ぐに「畏まりました」と言った返事が返ってきた。
でもマイちゃんだけはちょっとだけまだ外に出るのが怖いらしく、どうにもモジモジとして迷いを生じているッポイ。
俺はそれを察する事ができたのでちゃんとここでマイちゃんの意見を聞こうと声を掛けた。
「マイちゃんはまだ外に出向くのは無理っぽいかな?うーん?そこまであのプレイヤーたちは深い心の傷をマイちゃんに与えたって言う事だよなあ。もの凄いイタイ一撃だよ、全くなぁ。」
「あ、あの、その!が、頑張ります!な、なので大丈夫です!魔王様の御心遣い、痛み入りますが、わ、私、負けません!」
マイちゃんがここまで言うので、俺は励ましと念押しの言葉を贈った。
「よし、そうまで言うなら頑張って来てね。あと、何度も言うけど、無理しないで、駄目だと思ったら直ぐに撤退してくるように。マイちゃんだけじゃ無くてゲブガルも、ミャウちゃんもね。」
こうして本日より一週間後に武術大会は開催される事となった。