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鉄壁ヒーラー(ガストン視点)

「い、一体何が?」


クリフがあのヴァンパイアを殴ったのか?

というか、クリフのあの赤い鎧は何だ?


『君達の心に反応して出てきたのよ。』

「うぉ!?何だ?頭の中に声が響いてくる!?」


急に頭の中に女の声が響いてきた。


『それにしても、彼が間に合うとはね。まぁ間に合わなかったとしても彼女は大丈夫だったけど。』

「それはどう言う意味だ?」

『私が守ろうと思っていたからね。』


言われて目を凝らすと、カーラ達を囲む様に薄い膜の様なものが張られていた。


「こんなのでか?」

『あら、見た目だけで判断しないでくれる?試しに斬りつけてみたら?』

「いや、俺じゃ間に合わなかったし、それをあんたが補助してくれたのなら感謝しかねぇ。」

『男の割に殊勝なのね。良いわ、手を貸してあげるから守りたい人達を守ってあげなさい。』

次の瞬間には、俺は黒い鎧に身を包まれていた。

そして左手には巨大な盾、右手には禍々しい形のメイスが握られている、が不思議と重さは感じない。


『私の名前はゲンブ。こんな見てくれだけどジョブはクレリックよ。あっちの赤いのはウォーリアで白いのはガンナーね。』


暗黒騎士かなんかじゃないのか?


『聞こえてるわよ。』

「心が読めるのかよ!?ずるいぞ!」

『まぁしょうがないわね、以後気をつけなさい。それじゃ、この女の人を治すわよ。』

「治す事ができるのか!?」

『クレリックだからね。』


見てくれはどっちかというとネクロマンサーだけどな。


『あぁん!?いっぺんぶっ殺してから蘇生させてぇのか!?』

「すいませんでした。」

『それじゃ気を取り直して、杖を向けて相手の怪我が治るように念ずれば癒やしの力が発動するわ。』

「詠唱は要らないのか?」

『詠唱なんてナンセンスよ。口が弱点になっちゃうでしょ。』

「だが通常は…確かにな、それじゃやってみるか。」


魔法の常識を説こうとして、やめた。

既にいくつも常識の埒外の事が起こっている。

俺はカーラ達に向き直った。

「カーラ、エリー、無事で良かった。」

「お父さん、お母さんが…」

「すまない、まさか町中に魔物が出るなんて…」

「そりゃそうだ。俺達だって寝耳に水だ。」

「それにしてもあんた達のそのカッコはどうしたんだい?」

「俺にもよく分からん。ちょっとじっとしてろ。」


カーラの傷付いた足にメイスを向け、傷が癒えるよう念じてみる。

すると盾が淡い光に包まれ、盾の前面から光がカーラに向かって放射された。


「…盾から出るのかよ。」

『うぷぷ、メイスから出ると思った?ねぇ、杖っぽいメイスから出ると思った?折角カッコつけてメイス構えたのにねぇ?』


ちくしょう、完全に図星だ。

これで回復まで嘘だったら海に沈めてやる。

と思ったが、無事カーラの傷口は急速に癒えていった。


「まさか、俺が回復魔法を扱う日が来るとは…」

「そうだな、しかも不思議と足全体が癒えているような感覚だ。壊死してずっとズキズキしてた部分も痛くない。」

「本当か!?それなら欠損も…」

『それは流石に(現時点では)無理だよ。』

「そうか…」


てっきりそれだけの力があると思ってしまった。

人生そこまで甘くない、か。


『…(いつかできるなんて言ったら頑張り過ぎて早死にしそうな雰囲気だものね)』


「いや、でもこれは凄いぞガストン。足がもの凄く楽になる。一日一回頼みたいくらいだ。」

「ゲンブ、頼めるか?」

『お安い御用よ。』

「よしっ。それじゃそれをやるためにも、ここを何とかしないとな。」


振り返ると、ちょうどクリフがヴァンパイアを再びふっ飛ばした所だった。

ヴァンパイアは不格好に着地すると、


「貴様ら、さっきから調子に乗りおって!!もう良い、まずは女子供から死ねぇ!“サイクロン”」


こっちに向かってでかい竜巻が向かってくる。


「風って盾で防げるのか?」

『問題ないわ。』


半信半疑ながらも盾を構えた。

竜巻はまっすぐにこちらへ向かってきて、盾に当たると思った瞬間、消えた。


「ん?竜巻は?」

『ね、問題ないって言ったでしょ?』


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