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デュエル

「ここにいますよ。私です。」

「カジノのオーナーか、妥当だな。まさかお前が戦うというのではあるまい。護衛でも何でも呼ぶと良い。」

「そうですね…それでは、軽く揉んであげなさい。」

「はい。」


アズミ率いる4人が前へ。


「多勢に無勢だがこちらも商売がかかっているのでな、異論はないか?」

「人の子が何人群がった所でどうということはない。いくらでも掛かって来い。」

「ゲン、シュウ、コウ、修行の成果を試す時だ…行くぞっ!」

「「「おぅ!」」」


4人がそれぞれ散開、相手を翻弄するように立ち位置を変えながら攻撃を仕掛けていきます。

前衛三人が囮となり、魔法を効率よく当てていったものの、どれも当たる直前で掻き消えてしまいました。

その中で、闇属性の魔法だけは自分の意志で避けたように見えました。


「魔法は効果が薄いようだ、次は物理攻撃をするぞ!」

アズミが指示を出す。

闇属性を使いこなす魔法使いは少ない、コウも初級魔法が精一杯といった所です。

ならば先に物理攻撃が効くか試す必要があります。

今度は補助魔法で身体強化を行った三人が飛びかかって行きました。

アズミが囮になり、ゲンとシュウの二人が浅く斬りつけていき、焦らず確実にダメージを蓄積させていく作戦のようです。


「人の子にしてはやるようだ、この姿では勝てんな。ならば、私の本当の力を見せてやる事としよう。」


突如、男の周りの空気が揺らいぎました。

三人も攻撃を止め、一旦距離を取ったところ、


「ハァッ!!」


男を中心に爆風が巻き起こりました。

店内のゲーム台が倒れてしまう程の衝撃。

風が止んだとき、男はローブを脱ぎ捨てていました。

白銀の軽鎧に槍、そして男の背中には翼が生えていました。

男の周りがほんのりと光っているように感じる神々しさ…先程とは纏うオーラがまるで違います。


「神に仇なす存在は、例え可能性の種でも摘み取ってくれる。そして、この姿を見た者を生かして帰すわけにもいかない。貴様らが抵抗しなければ、貴様らだけですんだだろうになぁ?」


強い…彼らでは相手は難しそうです。

正直師匠にお任せしたいくらいですが、私がどうにかやってみる事にしましょう。


「ここからは私がやる事にします。皆はお客様が避難するまでの間、被害が出ないようにお守りしてください。」

「ボス、私も戦う。あの姿になってから退魔刀が反応している。」


退魔刀が?という事は…


「魔物か、魔族ですか。」

「恐らく…」

「神の使徒たる私を魔物呼ばわりとは…覚悟するが良い!」

「ならば名乗ると良いでしょう。私はここのオーナーのジャンと申します。」

「…神の使徒フェリエル。覚えずとも良い、どうせ数分後には死ぬのだからな。」


アズミは退魔刀・桜花を引き抜き逆手に持って構えました。

私は決闘盤を顕現させ、私は腰ベルトのカードホルダーからデッキを取り出し丁寧にシャッフル。


「神の認定外武器とカード魔法…タイプBとタイプCの邪教徒か、いよいよ貴様らを生かしてはおけなくなった。関係者もまとめて処理してやる。」


私達の武器を見て、目を爛々とさせています。

どうやら彼にとっては私達の存在こそが処分対象だったのでしょう。


「私の運命をデッキに託します…セット!“血闘モード起動”」


デッキを決闘盤にセットし、決戦用の機能を発動。

通常戦闘の時とは違い、結界が包むのは私とアズミの二人のみです。

デッキから5枚のカードを引き出し、


「さて、いきますよ!私のタ…」

「カード使いの弱点は、その遅さだっ!」


フェリエルが一気に距離を詰め、槍を振りかぶりました。

すかさず横からアズミが斬りかかり、彼は一旦距離をとりました。


「…女の割に剣筋が鋭い、中々できるようだな。」

「初動で仕掛けてくるだろうことはお見通しだ。」

「ありがとうアズミ。私のターン、ドロー!“臆病な門番”を召喚!更に2枚のカードを伏せ、ターンエンド!」


モンスターを召喚し、相手の攻撃に備えます。


「たった一体だけ雑魚を召喚した所で、壁の役割を果たしてくれると思うのか?その思い上がりを修正してやる!」


再び突進してくるフェリエルに、アズミが再び牽制をしようと一歩前へ出た瞬間、彼はアズミに向き直り思い切り槍を横薙ぎにしました。

避ける事ができれば満点だったのでしょうが、先程よりもスピードのある一撃をアズミは受け止めてしまいました。

踏ん張る事ができずに遠くの壁までふっ飛ばされるアズミ。


「もうお前を守ってくれる仲間はいないぞ、覚悟するが良い。」


フェリエルの眼光に恐れをなしたのか、私の前で盾となるはずのモンスターが逆に私の後ろに隠れてしまいました。


「フフ、召喚したモンスターにまで愛想を尽かされるとはご愁傷様だ。せめて苦しまないように一瞬で首を落としてやろう。」


フェリエルの槍が振り抜かれ、私の首筋を寸分違わず通り過ぎました。

結界を見届ける事なく、フェリエルはアズミが飛ばされた方向に向かって歩きだします。


「首と胴が離れてしまえば、これ以上煩わしく囀る事もあるまい。ただ、あまりに弱すぎて拍子抜けしてしまったがな。さっきの娘もまだ戦意が残っていると良いのだが…」

「私のターン、」

「な!?」

「ドロー!“ネズミ騎士”を召喚!」

「確かに手応えはあった…何故生きている!?」

「貴方の攻撃が大した事なかったからでは?更にカードを1枚伏せ、ターンエンド!」


実際は、彼の本気の一撃を喰らっていたら、私の首は体にくっついていない事でしょう。


「どんな手品を使ったのか分からないが、それならば死ぬまで滅多刺しにするまでだ!」

「伏せカードオープン!“身代わり地蔵”」


身代わりとなる地蔵を串刺しにして、尚も突き進んでくるフェリエル。


「お前達カード使いは連続攻撃に弱い!そのまま穴だらけになるが良い!」


確かに。

私の戦い方はいちいちターンを設けているので、それをお構いなしに攻撃され続けると非常に痛い。

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