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決闘者の末裔(ジャン視点)

本当は別の伏線を回収したかったのですが、

本編の進行状況を考えてこちらを先にします。

「それじゃ、僕らは上の店を見てきますね。」

「それでは師匠、行ってらっしゃいませ。」

「ジャンさん、いい加減その師匠ってのやめない?あとその言葉遣いも…」

「いえ、私が師匠を師匠と呼びたいだけなのです。この言葉遣いは以前までの私への戒めのようなものです。」


師匠…ローガンと名乗る少年と会ってからおよそ2週間。

あの日から我々の日常は一変してしまいました。


彼は、倉庫に眠っていた用途不明のマジックアイテムをあっという間に鑑定すると、続けていとも簡単に起動させてしまいました。

元々、実家で使い方が分かっていたのはスロットマシンのみ、この国の鑑定士ならば分かるのではないかと持ってきたものの結果は惨憺たるものでした。

結果、倉庫を圧迫するだけの代物となっていたのですが、まさか役に立つ日が来るとは。


しかもその景品交換機というのがこのカジノの方向性を一気に変えることになってしまいました。

景品は魔石やポーション、しかもこちらのリソースを全く削らずに補給が可能。

師匠からは人から漏れ出るエネルギーがどうのと説明をしてもらいましたが、何を言ってるのかさっぱりでした。

何にせよ、一定数の客がいればこっちが世話する必要は全くないという、メリットしかない魔道具だと言う事だけで十分です。


しかも景品の魔石がこれまたすごい。

最低のものでもゴブリンやスライムの落とすゴマ粒のようなものとは全然違います。

親指の爪ほどあるそれは、魔法のランタンなどの冒険者必須のアイテムの燃料として最適。

あれだけでも、冒険者相手にそれなりの価格で売る事ができます。

地上に作ったゲーセンと言う方は、日銭をそれで稼ごうという一般人や、駆け出しの冒険者が詰めかけて大盛況。

地下カジノもレートの高い景品交換機が置かれた事により、地上と地下の客に差別化が生まれて借金まみれの鉄砲玉が紛れ込むという事が少なくなりました。


おかげで我々は大きく利益を得る事ができました。

その利潤を師匠に渡そうとしたら、


「そんなんいらないからさ、ゲーセンの清掃員としてここらへんのスラムの子を雇ってあげてよ。日雇いで交代交代とかでさ。」


そんなわけで今日も2人程が働きに来ています。


「ジャンさーん。」


ちょうどその内の一人がここまで来ました。


「どうしましたエル?またセブが?」

「それもあったけどセブはもう出禁だからね、入口でのびてるのを捨てて来るだけだからなんて事ないよ。それより今は別件だよ、何か責任者を出せとか喚く客がいたから連れてきたんだ。じゃ、僕は戻るねっ。」

「あんたが責任者か?」


エルと入れ替わりで入って来たのは黒いローブを纏った金髪碧眼の青年でした。


「ええ、そうです。何かご用でしょうか?」

「この魔道具は何だ?」

「私の地元近くのダンジョンで発見された娯楽道具ですよ。」

「最近この辺りで妙な魔力反応があった。この魔道具からのものだった可能性があるが、確証が無くてな。」

「はぁ…それで?」

「とりあえずここの魔道具を全部破壊して、それ以降不審な点が無ければそれで良し。あればそいつを叩くだけだ。とりあえずお前らは下がっていろ、邪魔さえしなければ殺したりはしない。」


青年の纏う雰囲気が一変。

素人でも分かる程の殺気を撒き散らしながら、手で人を追い払うようにシッシッと振りました。


「いきなりそれは…」

「それはちょっと物騒過ぎる話だな。」


止めようとした所で別の人間が割り込んできました。

さっきまでスロットマシンに座っていた冒険者達です。


「ここは冒険者や貴族が使っている施設だ。いきなり破壊だなんて事をしたらお前一人で責任とれんのか?」

「おい、あれって…」

「B級の…」

「なんとかドッグとか言う…」


野次馬がヒソヒソ話しているが、彼はどうやらB級の冒険者のようです。


「関係無いな、貴様等人間が勝手に作った階級や枠組みなど。我々はもっと高尚立場から物を言っている、それが分からんのなら分からせてやっても良いが?」

「小難しい学者先生か何かと思ったら…ただのアホだったか。まぁ良い、このB級冒険者アンダードッグが性根から叩き直してやる。行くぞっ!“ファイアーボール”」


魔法が発動するのを確認する事もなく、冒険者が低姿勢で走り出しました。

そして直後に魔法が発動、ちょうど火の魔法と冒険者が同時に青年に襲いかかるようなタイミング。


「上からは魔法、下からは斬り上げ!これがお前に」「ふん。」「ゴハッ。」


冒険者は真上から頭を踏みつけられ、地に倒れ伏してビクビクと痙攣しています。


「発想はまぁまぁだが、パワーも速さも足りない。そして魔法も、躱すまでもない。」


火の魔法は男に命中しそうな所でかき消えてしまいました。


「さて、もう邪魔する者はいないな?」


青年が辺りを見回しました。

それでは、ここの責任者として落とし前をつけさせないといけませんね。

筆者のカード知識は千年杖辺りで止まっています。

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