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陰の支配者2-天使+死神=?-  作者: ミコト
初めての都会?生活
7/36

入学準備とご飯ご飯

--セニア--

路上ライブしたりしながらちょっと寄り道をしつつ入学試験を受けるための準備と手続きのために、学園にやってきました。

今は学園の前の門の前にちょうどたどり着いたところです。

路上ライブは、度胸試しにちょうど良いし、歌うのは好きだし、好評だったらお金だって手に入るとても良いものです。

これこそ、一石二鳥ってやつですよね。

何でしたっけ?

石を一個投げたら運良く2羽とれた!ってラッキーってことでしたっけ?

まぁそんなのはどうでも良いけど、さっき路上ライブしてた途中からなんかいつもよりなんとなく気持ちがというか、のどがと言うかなんかすごい歌いやすくなったんだよね。

なんなんだろうね?

まぁいいや。





「えぇっと・・・お嬢ちゃんたち、ここになんのようかな?ここの学生という感じではなさそうだけど」

学園前の門に立ってた門番のおじさんがそう訪ねてきたので素直に応える。

「今度の入学試験を受けたいので詳細を確認したかったのと、その手続きをお願いしたいのですが。」

「あぁ、もうそんな時期か。」

「え?早い方だとすでに手続きをしている人は少なくないと思うのですが?」

だって今で1ヶ月切ってるし、父様が早いやつは3ヶ月前とか1年前とかに申請してたりするって言ってたし。

「まぁ、そうなんだが、君たちみたいに受験生だけで手続きをしに来るような子は滅多にいなくてさ。それにいたとしても親同伴なんだよ。」

「あぁ。」

確かに。

入学試験を受けるのであって、入学出来るとそこで決まるわけじゃないし入学出来ない可能性だってあるけど、親というモノはそんな曖昧なタイミングでも自分の目で偵察はしたいモノ。

だから、そうして一緒にやってくるのが多いんだとか。


え?

私たちはどうなんだって?

ないよ?

だって、母様も父様も2人ともこの学園でトップレベルだったらしいし、そのお付きのアルナさんもそうだたし。

リンちゃんとティーちゃんのどっちの保護者も年齢的に時期はずれてるけど通ってたわけだし。

しかも、母様なんてこの学園である意味伝説を作ったらしいし。

なんか、入学試験のテストを20分足らずで満点合格をたたき出したとか、

入学してから卒業するまですべて満点以外をとったことがないとか、

Sクラスだったから勉学は自習だから別として、実戦訓練の時なんてありとあらゆる人が喧嘩を売ったり模擬戦をお願いしたりしても全員まとめて殲滅したとか、

当時虐められていた落ちこぼれのアルナさんをこの国トップレベルにまで育て上げ、虐めてた側を自分でやり替えさせたとか、

入学していながら休みの日には、大型スタンピートの殲滅から、違法組織の完全壊滅まで片手間にやらかしたとか、

何十年以上も学園長として君臨しているすごい魔法使いのおじいちゃん直々に次期学園長としてスカウトされたとか、



そう言えば、母様とセイさんとユウさんって、一応この学園の臨時教師でもあるって聞いた気がする。

かなり不定期らしいけどそれぞれの分野で鍛えており、結果はきつい分しっかり出てるので評判は良く、たまにもんぺってやつが現れても身分と物理と威圧で全員黙らせ、下僕にして社会的にたたきつぶしていろんな意味で平和にしたとか(強制)

後は、信者が再度増えたとかなんとか?



「そういうことなら良いぞ。たぶんネルさんが空いてると思うからそこまで連れてくからついてきてくれ。」

3人「はぁい」



ネルさんのところかぁ。

思った通りだ。

母様と父様とアルナさんからも非常に優秀な人だと聞いてるし、のんびりするのが好きだから入学手続きをするのと詳細を聞くとほぼ確実にネルさんの元に案内されるっておじいさまに言われたとおりだった。

後次に考えられるのは、好奇心旺盛な学園長が相手をするかの2択らしい。



「って、その感じだとネルさんを知ってるのか?」

「私たちの両親は皆、ここの卒業生でしたので。」

「あぁ、なるほど。とりあえずこっちだ。」

おじさんの後ろをついて行きながら周りを見回す。

校舎と思われる大きな建物や、訓練するための建物にグラウンド、眺めが良さそうな塔に、のんびりとひなたぼっこ出来そうなベンチ。


ここで、母様や父様たちが学生として過ごしたんだ。


そう思うと母様たちの思い出巡りをしているように感じてわくわくする。

リンちゃんやティーちゃんも同じように感じているらしく好奇心旺盛という表情で周りを見渡す。


そして、校舎の角っこにある外から入れる扉のついている部屋が開かれた。

そこには、眠そうというか、穏やかというか、非常にのんびりとした雰囲気のおじさんがいた。

服装は、確か和服の着流しって呼ばれるやつだったと思う。

けど、私の直感がこの人は強いと言ってる。

そんな感じの考えを合わせると根無し草というか、世界を放浪してる旅人といった方が似合う感じの人だ。


あぁ、この人がネルさんだ。

母様が言ってたとおりだ。

「んー?どうしたん?」

「この子たちが受験したいと言うことでしたので。」

「あぁ、了解了解-。」

「じゃあな、頑張ってくれ。」

「案内ありがとうございました。」

「気にするな仕事だ。」





「さて、改めて俺はネル。ここの教師で、基本のんびりとするのが好きな怠け者さ。」

あぁ・・母様から聞いてたとおりのまんまの人だ。

けど、このくらいの方が気楽に接することが出来て良いかも。

「私はセニアと言います。こっちは、私の幼馴染みのレリンスとティアーネです。」

「よろしくねー。とりあえず、さっくりと説明するね。」

「お願いします。」


「まず受験日は今日からだとちょうど20日後。受験資格としては、保護者が受験する際の手続き時に同伴すること。これは、問題ないね。次に、受験料が銀貨1枚。これは、受験するための準備とかでかかった費用だね。裏話するとただで受けられると軽い気持ちでここに来る受験生とかがいるから意識改善だね。次に、受験内容はざっくりと幅広い知識の確認のために筆記試験、実力を知るために基本的に何でもありの模擬戦。それから、その2つが合格ラインを超えると面接。まぁ、軽く俺みたいな誰かとお話しするんだ。」

「では、ここでお金を渡したら受験出来ます?」

「出来るね。」

「じゃあお願いします。」

私たち全員分だから銀貨3枚だね。

「はい、確かに。で、この指輪は受験生の証。一度つければ自分の意思で外そうとしない限りは外れないから安心して。受験が終了して、面接を受けるかどうかの結果を聞いた段階で全員回収。」

受け取った黄色っぽい指輪を適当に指にはめるとするりとちょうど良いサイズになった。

「当日は、何か持ってくるモノはあります?」

「その指輪をつけていたら何もいらないよ。まぁ、用意はされるけど筆記用具とか最低限の武装はするべきだね。」

その辺りは、受験するんだし当然とも言えるね。

とくに武装は、その装備を着慣れてるか、装備に着られてないか振り回されてないか、使いこなせているか、どんな戦術をメインとしているかなど見ればわかる人は瞬時に察することが出来るから自分のアピールチャンスでもある。

まぁ、わざわざアピールするつもりはないけど、何よりも母様からの贈り物で宝物だからこそ常に身につけてるんだし。


「とりあえずざっくりだけど説明は、こんな感じ。質問ある?」

「お昼はどうしましょうか?」

「合格すれば午後は実践試験だし、持ってきてもここの学殖でもどっちでも良いよ。まぁ、受験生という立場だと学食だと目立つからそういうのが面倒だったらお弁当を持ってきた方が楽だね。通りすがりに見たあの塔があったでしょ?あそこに登ってそこで食べたら良い感じだよ?」

「わかりました。」

「まぁ、君たちだと必ず持ってきた方が良いね。絶対目立つから。あはは。それに、君たちは必ず合格出来るだろうしね。」

「わかるんですか?」

「直感みたいなモノかな。3人とも実力はそこらの冒険者よりも圧倒的に強いのはわかるし、ただ腕っ節が良いだけなワケがないだろうしね。それだけ優秀な装備を着慣れてるんだから。」

やっぱりこの人はすごい。

見た目では決してわかりにくいけど実力は確かだ。


「ご期待に応えて頑張りますね。」

「頑張ってねー。それにしても君たちは、なんか誰かに似てると思うんだけど、ご両親がここの生徒だったりしない?」

「します。」

「同じく」

「右に同じ」

「やっぱりかぁ。まぁ、今その辺りをアレこれ追求するのはめんどくさいだろうし気楽に当ててみるよ。」







それから私たちは、他愛ないことを話して学園を出ました。

「父上と母上が言っていたとおり、気を張らずに済む人だった。」

「うん。それに、実力も確か。」

「母様から、ここの学園長の弟子だからこの学園のナンバーツーらしいし。ナンバーワンは学園長らしいけど。」

「あぁ、どうりで。とりあえずは、冒険者として依頼をこなしつつ、勉強と特訓かな?」

「だね。油断せずに行こー」

「おー」

「緩いなぁ・・おー。」



「とりあえずこの後どうする?」

「適当なとこでご飯。それから依頼?」

「で良いんじゃない?」

「ある程度ランク上げないと受ける依頼がしょぼいらしいし」

「けど、偶然を装って倒したのを換金は出来るらしいからいざとなればランク詐欺扱いで無視してもいいらしいけど。」

母様がその筆頭だったらしい。

それで、普通に単独パーティで高ランクの魔物とかスタンピートとか潰したらしいし。



「あぁ・・・父上たちもそうだった。」

「依頼は面白そうなのをチョイス。訓練ついでに倒した魔物でお金ゲット」

「それでいいんじゃない?ランクは高くても低くても父上たちはどうでもいいらしいし、フリージア様たちも同意見っぽいし。」

「だねー。あ、とりあえずここに入ろうよ。」

「だね。」


適当に見つけた食堂に入る。

「いらっしゃい。3人かい?」

良い感じに体を鍛えてるっぽいおじさんが言ってきた。

「はい」

「んじゃああっちの席に適当についてくれ。頼むものが出来たら声かけてくれ。値段とメニューは壁に書いてあるからそれを見てくれ。」

「は~い」



「はいお水。お嬢ちゃんたち決めたかい?」

「じゃあいいですか?」

「はいよ。」

「僕は、鳥の丸焼きとサラダ大盛、後、気まぐれスープ3人前とパンを一斤」

「私、サラダ大盛、気まぐれスープが4人前、牛っぽいやつのステーキ500グラムにご飯特盛」

「私は、サラダの大盛と気まぐれスープが3人前と、豚っぽいやつのステーキ600グラムとご飯大盛に、パンを一斤。で、食後にフルーツ盛り合わせを6人前下さい。」

果物は私たち3人分です。


「あ、このグランドフィッシュの姿焼きを1つも。後、飲み物は、果実水をジョッキで3人前下さい。」

グランドフィッシュっていうのは、白身のお魚で、サイズは全長1メートルはあり、胴回りは通常の魚よりも丸々としている非常に身の多い魚だ。

一応魔物ではなく普通の魚になるけど、肉食の魚でもあり、魔物未満と魔物とかろうじて認定されていない魔石を持たない魔物だと言われています。


「お・・おう・・見た目にそぐわずよく食うんだな。お金は大丈夫かい?」

「父様からの餞別で多めにもらったので。」

「なら安心だ。ちょいと待ってくれ。量がちょいとあるからできた分から順番に持ってくるな。」

「ありがとうございます。」





で、周りからごそごそと聞こえだす。

「おいおい・・まじであの量を食うのかよ・・。」

「普通にかわいい子たちなのに・・以外だ。」

「あぁ・・・なんだろう。すごい懐かしい感じがする。」

「え?何お前似たような光景を見たことあんの?」

「おう・・・10年以上前だがな・・あのお方は見た目はかわいい幼女なのに食う量は普通に10人前を余裕で通り越してたしなぁ・・。」

「え・・何その幼女・・」

「この国じゃあすごい有名なお方だ。最近は、領主としてのんびりと過ごしてるらしいから滅多に本人の姿を見せなくなったがな。・・狂信者がうじゃうじゃいるから下手にあれこれ言わない方が身のためだ。」

「お・・・おう。」



ちなみに、”本人の”と付けて言っていた理由は、母様お得意の影さんだけを、この国に飛ばして魔術騎士団長としてお仕事を数日に1回行っているからであり、母様本人がこの国に足を運んだことは、私を産んでからは一度もないらしい。

「ねえねえ。周りが言ってる幼女ってさ・・」

「うん・・セニアが思った通りだと思う。」

「だよね・・都で一番食べるもんね・・あのお方は。」

やっぱり母様のことだ。

やはり当時からよく食べてたらしい。


「あの方の影響で僕たちは大食いとは思ってなかったし、周りも特に気にしてなかったから気づかなかったけど、思った以上に僕たちは大食いだったみたいだ。」

「同感。あの方の前だと、霞むから気づかなかった。」

「だよねー。それに、よく食べることに関しては父様が笑顔でいろんなの作りながら餌付けしてくるし。」

「あぁ・・・グリム様って何というか、お世話をするのが・・というより、自分で作ったのを食べてもらうのが好きだからね・・僕もよく食わされた。」

「同じく。グリム様のご飯はいつもつい食べすぎる。」

「そして、気づくとこの量が普通だっていうね。母様が前に言ってたし。」

「何を?」

「胃袋って伸び縮みするんだって。」

「つまりは、常日頃から食べる量が少なければ胃袋が縮んで限界値が減少して、いつも大量に食べれば胃袋は伸びるから限界値が上昇していくと?」

「らしいよ?だから、当時はパンが1つで限界だったのが、しばらく続くとその量がちょうどよく感じるようになるんだって。」

「あぁ・・・言われてみればお腹が受け付ける量が前よりも増えた。」

「わかりやすい。」


「はいよお待ち!」

おぉ、思った以上に早かった。

「ありがとうございます。」

「おぉ、おいしそう。」

「うれしいこと言ってくれるね。まぁ、たんと食えや。」

「はぁい。」





「味付けがシンプルでおいしいね。」

「うん、食べやすい。」

「余計な味付けをしてないところが良い。」

で、パクパクと食べてるわけだけどなぜか周りから注目され、驚いた表情になって凝視してる。


まぁ、放っておいていいか。



で、全てきれいに食べ尽くし、おやつの果物の盛り合わせをパクついてたら、コトンと3皿ほど追加でやってきた。

中身を見ると、プルンとした白い物体。


「牛乳のプリン?」

「いや、牛乳の豆腐だ。」

「甘いの?」

「甘いやつだ。」


「・・で、なぜにこれを?頼んでませんが。」

「あぁ、なかなかいい食いっぷりだったからさ、試作品の試食をしてもらいたくってな。」

「私たちでよろしいのですか?」

「おう。舌も超えてそうだし、身なり的にも良いとこのもんだろ?」

良いとこ?


あぁ、お金のある家ってことか。

「まぁ、そうですね。お金に困った家庭ではないですし、母様が食べるのが好きなのでいろんなのは食べてますね。」

いや、ホントに。

母様が食べるのが好きで、大食いなのはすごい有名だから結構な人がお土産代わりにあちこちの地域の名産品とか特産品とかいろいろもってくるんだよ。

で、それを父様が調理して食べるから結構いろんなのを食べてる。

おまけに、母様に試食を頼む人は都内だと結構多いからその経緯もあって試食の評価は実は結構慣れてたりする。

「だろ?なら、色々食ってるんだから良い評価くれそうだったからな。この分は試食だから金は頼んだ分だけだ。」

「そういうことならありがたく。」



で、食べました。

「プリンよりあっさり?プルプル感も若干さっくり?」

「素朴?けど、食べやすい。」

「普通のプリンよりも個人的には好きかも?けど、味の濃いのを好む人だと反応が微妙かも?」

「あぁ、かも。後は、デザートは砂糖が多い方が良いとか考えてる人だと物足りないとかいうかも?」

「質より量を選ぶ人は好まないよね?私たちは普通に好きだけど。」

「うん。食べるのが純粋に好きな人限定で良いんじゃない?」

「食べられればいいとか、デザートは甘いのが当たり前だとか思ってる人には食べさせる資格なし」

「だねー。でも、これはこれ以上改良とか余計な追加はしない方が良いよね?」

「うん。したら逆効果。プリンに追加するのはありだけどこっちにはだめ。」

「シンプルイズベストってやつだな。」

「うんうん。」


と、言いたい放題言いながら食べてたら隣で聞いてたおじさんはメモしながらうんうんとすごい納得してた。

「なんとなく方向性は理解できた。なら、出す相手はこっちで選んだ方が良いな。後は、メニューのところに注意書きしとくか?」

「それが良いと思います。どういう人向けとか、どういう人は向かないとか」

「そんな感じだな。うん、ありがとうな。思った以上に良い評価だった。」

「似たようなことはけっこうしてましたから。」

「お?そうなのか?」

「母様への貢ぎm・・・餌付k・・・母様は食べるのが好きなので周りがいろんなところから仕入れてきた食材を食べたり、都j・・・ご近所の人が試食を結構な頻度で頼みに来ますから。」

「お・・・おう・・なんか、すごいセリフが飛んでた気がするぞ?」

「気のせいです」

「そうか?・・こう言ったらなんだが、お嬢ちゃんたちもそうだが・・そっちの狐ちゃんは俺が思った以上に身分がやべぇのか?」

どう反応しようかなーと思ったらティーちゃんが暴露した。

「ん。セニアは領主の娘。」

「・・・」

「ついでに言うと、セニアとリンの2人は、貴族の中でも上位貴族。」

「・・・」

「あ、私は平民」

「ティア・・他人事みたいに言ってるけど、貴方の父君は、セニアの祖父の懐刀と呼ばれてるでしょう。それに、母君は短期間とはいえ、この国のギルドマスターを務めた経験もある猛者でしょうに。」

「おいおいおい・・・・まじで何者だよ・・。予想した以上にえぐいセリフがポンポン出てきたんだが・・ていうか、俺は正直冷や汗をかいてきたぜ・・。」


で、周りで聞き耳を立ててた人のうち1人のお姉さんが私をじーっと見ながらフリーズしてた。

そして、その様子を心配して近くにいたお兄さんが声をかける。

「おい・・大丈夫か?」

「え・・えぇ・・大丈夫よ?えぇ・・私は大丈夫よ・・そうよ。大丈夫なのよ。」

「それ大丈夫じゃないだろ。どう聞いても自分に言い聞かせてるだろ。」

「そうよ・・気のせいよ…絶対気のせい・・・気のせいよ気のせい。うん・・気のせいに決まってるわ。」

「おいおい・・・・落ち着けって。いっそのことここで言いなよ。ため込んでたら余計にきついぞ?」

「で・・・ですが・・・」

なぜか敬語になったお姉さんが私を凝視してる。


で、さすがに誰ことをで頭を抱えていたのか視線を追ってさすがに気づいたらしい。

「あの狐ちゃんがどうしたんだ?知り合いか?」

「・・・・あの・・大変申し訳ございませんが、もしや、”あの”都出身ではございませんか?」

すっっっごい低姿勢だな・・大丈夫?

「そうですよ?ね、リンちゃんティーちゃん?」

「だね。」

「”あの”がどれを指してるかわかりませんが、確かに僕たちは都出身ですよ。」

「・・・・・で、貴方様の母君は領主様・・・」

お?

父様ではなく母様が領主だとよく知ってましたね。

「ん?父親の方じゃないのか?」

「狐の嬢ちゃんどうなんだ?」

「そうですね。母様が領主ですね。父様は貴族当主としてのお仕事があるのでそっちがメインになるので。」

「あぁ、上位って聞いたし、そうなるのか。」

「で、嬢ちゃんたちの故郷ってここから近いのか?」

「馬を全力で走らせて1日くらい?余裕をもって2日くらいですかね?」

「近いっていえば近いな。」

「だな。・・・・・・・ん?なぁ」

「どうした?そんな冷や汗かいて。」

「この国から近い”都”ってさ・・・」

「都っていえば・・・え・・嘘だろ?」

「え?何々?・・アレ?あそこ以外に都って、あったっけ?」

「・・・記憶にないな。」

「だよな・・。」



「な、なぁ・・いや、あの?大変申し訳ないが、お嬢ちゃんの名前をフルネームで教えてくれないか?主に俺たちの心の平穏のために。」

平穏?

まぁいいや。

特に隠してないし。

「構いませんよ?セニア・クラリティ・エトワールと、申します。」


そう言った瞬間全員が凍り付いた。


「で・・・では・・・まさかあなた様の母君って・・まさか・・クテン様!?」

「はい。魔境姫のフリージアって言ってすごいかわいいですよ?」

ちなみに、可愛いって言うところが最重要ポイントです。

全員「・・・」


あら?

また固まった。

「やべぇ・・どうしよう。すっごいため口でしゃべっちまったよ!?」

「俺なんて、かなり慣れ慣れしかったぞ!?」

「私失礼なことしてないよね!?ね!?」



あらまぁ・・・

「なんかすごい大混乱。」

「そりゃあ、フリージア様は超有名人だもの。しかも、この国だと拍車がかかるだろうし。」

「世界最強の魔法使いの名は伊達じゃない。知名度と身分、実力どれも一級品。」

基本的に母様は、クテン様か魔強姫、そして夜叉姫のどれかで呼ばれることが有名ですが、クラリティ王国では、世界最強の魔法使いと呼ばれていることがほとんどです。

と言うのが、母様はそれだけの実績を残してますし、世界でトップクラスの実力国家であるこの国でそう呼ばれると言うことは、世界中でも最上位と言っても過言ではないという意味でもあります。

それだけ、クラリティ王国でそう呼ばれているというポイントはとても影響力が大きいのです。

「確かに、とりあえず、セニア。落ち着かせないと。」

「だね。あぁ・・とりあえず落ち着いてください。私も母様もそういうのは全く気にしませんから。むしろどうでもいいですから。母様のことをご存知でしたら、わかると思いますが、私も母様も身分自体どうでもいいと思ってる筆頭ですから。」

そういうと一応落ち着いてくれたらしい。


「あぁ・・失礼いたしました。」

「初めの頃のようにしていただいて構いませんよ?そうしてもらった方がこちらも助かります。」

「ま、まぁ・・そういうなら。・・とりあえず、身分がえぐいことが分かった。特にこの国だとその名は最狂さいきょうの切り札になる。」

「母様の知名度はそれほどでしたか。」

「当たり前だろう・・あのお方に敵認定されたら国丸ごと巻き込んで消滅させられちまうよ。・・冗談抜きで。・・過去にガチで国を消滅させた実績があるから。」

あぁ・・・確かに聞いた話だといくつかの国を潰してましたね・・母様と父様2人がかりで手軽に。

まぁ、どの国も愚かな国だったので周辺国からは後に感謝の言葉と報酬代わりのいろんなのが届いてましたけど。

「あぁ・・・私は母様ほど過剰じゃないですよ。・・・似たようなものですけど。」

母様ほどじゃないけど、私も似たようなモノです。

国とかはまだつぶしてないけど、スタンピートとかうちの都を狙ってきたどこぞのバカの集団の殲滅はティーちゃんたちと連携してってますし。

「最後の一言がすごく不安を掻き立てる・・・。」

「母様よりましですよ。それに、愚かなことをしなければ良いではないですか。この国だと当たり前なんでしょう?」

「まぁ・・なぁ・・クテン様は特にその辺りに敏感というか、すごかったからなぁ。」

どうやら、悪をつぶすのはこの国の習慣でもその中でも母様はぶっちぎりで、その影響は強いようです。



それから、周りをなだめ、なぜかサインを求められ、書いてあげたりしてとりあえずギルドに向かいました。

サインは、なぜかアルナさんに練習させられたのでかけるんですよ?

何の依頼を受けようかなー?

あ、お金だけどなぜか周りの人が全額支払おうとするからどうにか交渉して半分だけになった。

・・自分たちが食べた分を支払うために交渉するのも変な気がするけど。

でも、普通においしかったしお店の人もあのおじさんを含めて過ごしやすい感じでいいとこだったなぁ。

また行こう。






で、ギルドにたどり着いたのですが・・・

「なんか騒がしすぎない?」

「だよね。」

「基本的にクラリティ王国のギルドは鬱陶しい連中も嬉々としてつぶされてるから安心安全だって母様から聞いてたんだけど・・。」

なんというか、無駄に暑苦しい男連中の群れがギャーギャー騒いでるんですよ。

それに、身につけてるモノは高そうなモノが多いけど、実用性に欠けていて、無駄にジャラジャラ、ギラギラしてる。

無駄に自分は金持ちだーって見せつけるだけの役に立たない装備で、おまけに着こなせておらず、装備に着られてる状態。



それに、そいつの関係者らしきうざいオーラ全開の人たち以外はというと、男女それぞれ2名の1グループだけで、お金がないのかそこそこの装備。

けど、きちんと着こなせているから低ランクでもきちんと基礎をおろそかにしてない人たち。

こういう人たちは、石橋をたたいて渡るタイプだから、ゆっくりでも確実に上位ランクに上がれる人たちだって母様たちから聞いてる。


で、そのグループと目があったのでそっとその人たちの元に近づいて状況を聞いてみる。

「あの・・何かあったんですか?」

「この国のギルドは悪いというか鬱陶しい人はいないと聞いてたのですが・・」

「だよね・・私たちもそう聞いてたんだけど、あの連中、どうもよそからやってきた高ランクでおまけにどっかの貴族らしいんだよ。」

あぁ、なるほど。

「ナルシーで傲慢で鬱陶しい塊だと。」

「うん・・つまりはそう。」

「それで、何をあの連中は言ってるんです?」

全員がよってたかって受付の人に言ってるから何言ってるのかよくわからん。

「なんか、書かれてる依頼と内容が違って、大変な目に遭ったから報酬金と買取額を10倍にしろって言ってるみたい。」

は?

「あり得ないでしょそれ。」

「だよね・・この国だったらそう言う点も調査済みのはずだし、そう言うトラブルはあり得ないんだけど・・」

私の目から見て、そいつらは嘘の”匂い”がする。


「セニア・・どう?」

「うん・・・あの連中から嘘の匂いがする。」

「やっぱりか・・」

「おいおい・・さっきからこそこそと。俺らに何か文句があるのか!?あぁ!?このブライズ様に文句があるか!?」



うっわぁ、うざいのが絡んできた。

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