ステータスの確認とセニアの歌
--セニア--
ギルドに向かい、ギルドカードを無事に受け取りました。
そして、お城で王様であるおじいさまの弟さんと王妃様であるおじいさまの妹さんと挨拶も、
リーリスさんというお洋服屋さんのオカマさんともお話ししました。
そして、今はお家でステータスの確認をしてました。
さて、後はティーちゃんのですね。
男の娘
肉体的には男だけど、アソコを隠せば裸だったとしても女の子にしか見えない種族
どんな服も可愛く着こなせ、家事全般が上手になりやすくなる。
結界師
結界を行使することに特化した職業
結界に関するワザと知識が向上しやすい
結界
指定した場所を守ることに特化している
結界の種類は特訓次第ではどんなモノでも守ることが出来る。
【固定型結界】
自身を中心とした半球状の結界を張る
広さは魔力練度に依存する。
発動した場所で固定させることで全方位からの攻撃に対抗出来る
【浮遊盾型結界】
指定した場所へ浮遊盾を発動する。
サイズは発動時に都度考える必要があり、移動と発動個数は精神力に依存する。
一カ所を守ることに特化しているため、硬度は固定型よりも高い。
【感情強化】
感情の強さに合わせて、自身と敵対する相手に対しての魔力の威力が上がる。
【魔力強化】
魔力を込めることで、込めた箇所が強化される。
魔力量によって威力が異なる
【結界強化】
魔力を継ぎ足すことで自身の結界を強化することが出来る。
魔力練度と精神力に依存する
【指定強化(結界限定)】
自身が指定した結界の効果を強化することが出来る。
また、結界へ自身がイメージした結界により守る設定を追加することも出来る。
魔力練度と精神力に依存する
【投擲】
狙った場所へ投げ飛ばすことが出来る。
【射撃】とほぼほぼ同じだが、飛ばす速度は身体能力に依存する。
【射撃】
狙った方向へ飛ばすことができる。
ターゲットと方向を決めるだけのため、魔力以外は何も必要がない。
込めた魔力量に合わせて飛ばす速度が変わる。
集中すればするほど狙い通りにあてることができる。
【気配探知】
一定範囲に存在する生物を感じ取ることが出来る。
魔力練度と集中力に威力と効果範囲は依存する。
【魔力感知】
一定範囲内の魔力を感じ取ることが出来る。
魔力練度と精神力に威力は依存する。
【料理】
自身が作る料理にささやかながら食材が持つ栄養価を高めることが出来る。
【並列思考】
一度に複数のことを思考し、行使することが出来る。
【思考加速】
頭の回転速度を向上させることで時間短縮。
【騎乗】
あらゆる生物に乗っかる際、安定しやすくなり、乗っかる対象との絆が強ければ強い分安定し、振り落とされる可能性がぐっと下がる。
その状態で移動している最中、向かい風などの影響を一切受けなくなる。
【精豪】
夜のバトルでガス欠がなくなるよ。
やったね。
加護
賢神の加護
英雄賢者である月神桜華による加護。
扱う魔法を使用する際にかかる負荷を減少させる。
流星姫の加護
流星姫であるペチュニアによる加護
魔法発動時にかかる脳への負荷が軽減される。
能天使(始祖)の加護
精神系への害悪への耐性が強化されやすくなるのと、
魔力操作が鍛えられやすくなるというモノです。
称号
理想の嫁
世の男が理想とする嫁に求めるスキルであればどんなワザでも習得出来、そのワザの練度を向上させやすくなる。
身につけた技の量と練度に比例して魅力が増す
男の娘
体は男でも男にモテやすくなる。
守護者
守りたいと願った際、守ることに関係した自身のワザとステータスが上昇する。
そのときの感情の強さで威力が変化する。
リンちゃんと違って守ることに特化した感じだね。
後は、家事とかの理想のお嫁さんスキル?が上手になりやすいみたい。
なんというか、ティーちゃんは女の子に変化させようとしている節がステータスから感じる・・まぁあえて言わないでおきましょう。
「セニアは、大抵のことは出来そう。」
「まさしくスピード系で、基本は万能型、戦術次第では後衛でも前衛でも出来るな。」
「リンちゃんは護衛なしOKな後衛って感じだよね。やろうと思えば前衛でもいける感じのパワー戦。」
「まさしく。」
「ティアは僕と違って守ることに特化してるな。後は、戦闘以外でも良さそうだ。」
「まぁ・・色々ツッコミを入れたいこともあるけど悪いことじゃないからまぁ・・気にしないことにする。」
「私たちって、ガンガン系ではあるけどパーティバランスは良いよね?」
「癒やしは僕が、戦闘は僕とセニア。守りはティア。いざというときはセニアが全体のフォローも出来る。・・うん、良いね。」
「私は守ることしか出来ないから申し訳ないけど。」
「何を言ってるのさ。」
「そうだよ。ティーちゃんが守ってくれるから私は周りを気にせずにガンガン戦えるんだから。」
「僕もそうだ。本来癒やし担当である僕は誰よりも治すために死ぬわけにはいかないけど前衛で戦うことは多くなる。それでも気にせずに戦えるのはティアが守ってくれるからだ。そうじゃなかったら僕は光栄で癒やす以外では前衛で戦おうなんて思わなかったよ。」
「うん・・ありがとう。もっと頑張るね。」
「無理しないようにね。ティーちゃんの結界は、野営の時でもすごく便利そうだし、戦い以外ですっごいお世話になると思うから気にしないで良いよ。」
ひょいと後ろからティーちゃんに抱きついてほっぺにチューしながら励ます。
「うん、ありがとう。」
ちゅっとお返しに私のほっぺにチューしてくれた。
えへへ//
チューするのは好きだけどされるのも好き。
基本的にする側ばかりだからもっとうれしい。
「ったく・・2人で僕をのけ者?」
「そんなことないよ♪」
真正面からリンちゃんに抱きついて口にチューしてあげる。
「そうそう。」
そして、ティーちゃんがリンちゃんの後ろから抱きついてほっぺにチューした。
「うぅぅ///いきなりは卑怯だ。」
「あ、顔が真っ赤だ。」
「そりゃあなるでしょう!お返しだ!」
私とティー「きゃー♪」
それから、リンちゃんに捕まってたっぷりとあちこち揉まれたりしました。
ティーちゃんはほっぺをむにむにされたり抱き枕にされてました。
「まったく・・僕が百合になったのはセニアのせいだ。」
「えー、じゃあ私がキス魔なのはリンちゃんのせいだー。気にしてないし、開き直ってるけど。」
「って、僕が被害者じゃないか・・そしてセニアが加害者・・。」
「仲良し3つ子だから問題なしだね。」
「ねー♪」
ティーちゃんがおいでって両手を広げるから抱きつく。
そして、頭を撫でられる。
ティーちゃんのなでなでは母様の次に気持ちが良い。
その後は、ティーちゃんに膝枕されながら撫でてもらうのがいつもの流れ。
「はぁ・・まぁいいか。僕も2人のことは好きだし。」
ちなみにこのじゃれ合いは、いつものことです。
「ほら、次は僕だ。セニアおいで。」
「ほら、リンが気持ちよくしてくれるって、行っておいで。」
「はぁい。」
なんだかんだ言いつつも、リンちゃんは毎日私たち3人以外誰もいないとき限定だけどいっぱい甘やかしてくれるから大好き。
抱きしめてくれたり頭を撫でてくれたり、顔を赤くしつつもチューもしてくれる。
まぁ、正しく言うとリンちゃんは可愛いものが好きで、私も好きだから甘やかしてあげるというよりは甘やかしたいからおいで!っていうのがリンちゃんの本音だったりするんだけど言っちゃうと恥ずかしがるから言わないの。
だから私が甘えん坊で良いんです。
そして気付くと翌日でした。
まぁ、お風呂入ったりベッドで3人並んでゴロゴロしながらいちゃついてたら気付いたら全員寝てたって言うのが本当だけど。
で、私はどうやら途中からリンちゃんではなくティーちゃんを抱きしめていた模様。
それで、リンちゃんは珍しく私を後ろから抱きしめてる状態で、ティーちゃんは私と抱き合う形になってる。
それで数秒ほどの違いだけどティーちゃんが先に起きた。
私も目を開けようかどうしようかとほわほわと考えてたらティーちゃんの声が聞こえる。
「ほら、セニア起きて。ご飯作らないといけないから。」
んーどうしようかなぁ♪
このまま寝たふりをしたらどうなるかちょっと気になる。
とくに今日は急ぎの用事はないから多少の寝坊は問題ないはずだし。
「ほら起きて・・・起きないとイタズラしちゃうよ?」
お?
ティーちゃんのイタズラってなんだろ?
無難にくすぐりかな?
「はぁ・・。後で色々文句言わないでよね?」
そして、何をされるかと思いきや、ほっぺをむにむにされました。
「・・でも起きない。」
むにむに。
「んー、他には何をしよう?」
むにむに。
「あ、そうだ。」
お?
何をするの?
って、むにむにしながら悩み続けてるのも構わないけどそんなに気に入ったの?
構わないけど。
で、何をされたかというと尻尾をこれでもかとモフられました。
で熱烈にモフられて意識が飛びそうになりつつ、頭の端っこでは、ティーちゃんって絶対モフモフマニアってやつだよねって思ってたり。
「もう起きてるんでしょ?起きて。」
「うぅぃ。」
どうやら、私が起きてるのを知っててモフってたようだ。
「ったく・・ご飯作るから早く準備してよね。・・怠けたいけど」
「はぁい。けど、怠けたいのに率先して家事をしてるからティーちゃんって矛盾してるよね。」
「家事は趣味だから別枠。それに、迷惑をかける怠けは嫌だから全部終わった後で怠けるのが好きなの。」
「ふぅん。」
怠けるのも大変なようです。
ティーちゃんはと言うとふりふりエプロンを着けて朝ご飯を用意してくれてました。
ちなみに、このエプロンはティーちゃんの母親であるアリスさんの趣味です。
幼い頃からこのエプロンを着けさせられていたことでそれが普通の男性だとおかしいと言う考えは存在しない。
他にもそんな感じでアリスさんによる刷り込みされてる部分は結構多い。
でも周りも気にしない。
だって、ティーちゃん可愛いもん。
「あぁ・・朝からいきなりアレは精神的に応える・・。」
「えへ。」
「セニアは何をしたの?」
「え?おっぱい揉んで手足を揉んで、ほっぺを揉んで、脇腹を揉みました。」
「全身を揉みまくったと・・。」
「うん。なんか、面白いことになってた。」
なんか、マッサージ感覚で気持ちが良いのか、くすぐったいのかこってるところだったせいで微妙にいたかったのかすごい複雑そうな顔になってました。
「それは是非見たかった。」
「あんな起こし方は今後はやめなさい。普通に起こしてくれれば起きるから。」
「はぁい。」
「まぁ、僕たちの仲は産まれてからずっと一緒だし考えるだけ無駄か。・・とりあえずこの後軽く勉強と特訓してから学園に顔出す?」
イタズラもセクハラも私たち3人同士だったら全く問題にならず、ただのいちゃつきの延長戦扱いで終わります。
「で良いんじゃない?」
「賛成。時間に余裕があれば短時間で出来そうな依頼を受けても良いかも。」
「そうだね。せっかく冒険者になったから何か受けたいよね。まぁ、それは明日して残りの時間はいちゃついても良いけど」
「セニアの言いたいこともわかるけどほどほどにしないとね。」
「はーい。」
きちんとオンオフは切り替えてるよ。
朝の分のお仕置きとしてずっとリンちゃんのひざの上で抱きしめられてる状態だけど。
お家を出るまでずっとです。
まぁ、お仕置きと言うより私からするとご褒美だけど。
そして、隣では私の尻尾を堪能してるティーちゃん。
これもいつものこと。
「そう言えば今更だけど、合格したら学費も生活費も稼がないといけなかったな。」
「だね。実際父様たちからのお小遣いで全部足りてるけど。しばらくは普通に何もしなくても過ごせる。」
「まぁ、私たちが合格しないのはあり得ないって言われてるし大丈夫と思うし、悩むとしたら凡ミスをしないようにするのと生活費を稼ぐために冒険者のランク上げをしたり休みの日に特訓ついでに狩りに行く感じ。」
「そんな感じかな。ねぇ、リンちゃんそろそろ離して?お勉強と特訓しないといけないから。」
「ダメです。これはお仕置き」
「えー。じゃあ、チューしてあげるから。」
「それはご褒美にしかならないでしょ?」
「むぅ。」
むにむに
「おっぱい揉んでもダメ。」
しょうがない、このまま勉強しますか。
特訓は魔力操作をしながらやればそれでいいことにしましょう。
一応私が羽目を外してやり過ぎたのがいけないし・・リンちゃんのリアクション祭りを堪能出来たから後悔はないけど。
「さて、学園に行こうか。」
「うん」
「おー」
「あ、どうせだからちょっと寄り道してもいい?」
「いいけどセニア、何するの?」
「ちょっと度胸試し。」
「歌うの?」
「うん。」
「良いね。久しぶりにセニアの歌聞きたい。」
「ティアの意見に賛成。セニアがどのくらいの腕前なのかわかるね。」
「確かに。都だとトップレベルだったけど、都の外でやるのは初めてだし、これでセニアの歌の実力がどれほどなのかはっきりする。」
そして、私は【空歩】を使い、この国の中央くらいにある大広場にやってきた。
ここは、良く吟遊詩人の方があちこちで場所をとって歌い、路銀を稼いだりしている場所だ。
で、私が空中で普通に立っていると思った通り注目される。
「なんで、空中で停止してるの?」
「羽も翼もないけど、アレどうなってんだ?」
「スカートじゃないのか・・・ちっ。」
「太ももの絶対領域・・尊い。」
「飛行系の魔法か魔道具か?にしても可愛いな。」
「狐ちゃ~ん!こっち向いて-!」
「アレ?なんか見たことがあるような・・。」
「なんか1人追っかけのファンみたいになってんだけど?」
「じゃあ私2号になる。」
「って、同性かよ」
「なによ?良いじゃない。同性でも良いものよ?」
「おい・・なんか、すっごい含んだ言い方してるけどそれを具体的に言うなよ?」
「ふふふふ」
なんか一部で妙なことになってる気がするけど気にしない。
たとえ、その1人のお姉さんがうっとりして私に視線をロックオンしてたとしても。
さて、良い感じなのかどうかはさておき、そこそこ注目されだしたので、歌いましょうか。
そして、30分後
最後に、翠から教わった中で私のお気に入りの歌を歌い終わると、大歓声という形でたくさんの拍手をもらいました。
「なんでだろう、まるで自分のことのように感じる。」
「ぐすっ、感動で涙が止まらない」
「恋ってこんなにも切なくて愛おしく思うのか。」
「空想の人物だとわかっているのに!・・歌詞の一部だとわかっているのにそんな健気な子を応援したくなるではないか!」
「この言葉に出来ない心が締め付けられるほど苦しいのに、それでも会いたいと思ってしまうこの気持ちはなんだろう・・これが、恋というモノなのか・・。」
「俺の心はもう枯れ果てたと思っていたのにまだそう感じることが出来たのか・・」
「こんな恋を出来る日が来るのかな・・」
「こんな恋をしてみたい。」
ラストに恋を題材にした感じの歌だったからなのか、そんな感じの感想が多かったように思います。
と言うよりも、私が恋を題材にした歌を気に入ってるから似たような歌詞の歌を多めに歌ってたりするんですけどね。
だって、楽しい気持ちも切ない気持ちももどかしい気持ちも全部あわせることで1つ1つの感情が互いに高め合って、結果として楽しい気持ちやうれしい気持ちが通常の何倍も膨らむのがすごく好き。
ただ楽しいだけの歌よりもずっと気持ちが高まるんだよ?
これが、ギャップ萌えだっけ?
後は、スイカに塩をかけたら普通よりも何倍も甘く感じるってやつの親戚かな?
たぶんスイカの方だね。
スイカってアレだよね?
周りが緑と黒のしましまで、中が赤くて種がたくさんあって、自ら弾んで移動して近くにいる生物を丸かじりするやつだよね?
たまに、グルメなやつがいて特定の年齢と性別だけを狙うのもいるらしいけど。
なんか、過去にそのスイカを見て「これがスイカだなんて信じねぇ!!」って言った、異世界の人が数多くいたらしいけど。
ちなみに、普通に食べておいしいしお野菜扱いですが、アクティブスイカって名前の魔物だけど、ただのお野菜で存在を確認したのは世界で片手に収まる程度と結構少ないらしいですよ?
しかも、そいつを倒してとれる種を育ててもそいつが産まれてくると言う他のお野菜魔物みたいにただのお野菜にはならないんです。
だから、スイカ農家さんは、常に農業しながら実践形式で鍛えられてます。
しかも、やり過ぎたらスイカが粉砕されて食べられるところがなくなるからやり過ぎてもダメという非常に扱いに困るお野菜で、難易度は非常に高い。
おまけ情報として、土に栄養をたくさん与えたり良いお水をあげるとよりおいしくより大きくなりますがそれだけ凶暴になるし、強くなるからおいしくて大きい=レベルの高い農家さんが必要という非常に困った相手だったりします。
まぁ、たまに野生化して城壁にかじりついてるスイカの群れを目撃することもあるけど。
「ふぅ♪満足」
「お疲れ様。相変わらずセニアの歌には引き込まれる。歌うのがうまいと言うよりも感情を歌に乗せるのが抜群に上手いよね。」
そう言えば、偶然やってきた吟遊詩人とかの歌うことをメインとした人たちからもよく言われたなぁ。
何でかなと自分なりに考えてふと思い出した。
私は基本的に感情豊かで素直だ。
泣きたいときは泣くし怒りたいときは怒るしうれしいときは笑う。
で、母様は知っての通り感情豊という言葉と最も遠い存在だ。
ぱっと見は無口無表情で、大抵のことはスルーするから頷くか指をさす程度。
そこがクールだと言われる理由の一つだし、そんな母様も可愛いと思うけど、幼い頃は私自身のようにどうにかして満面の笑みで笑い、周りが見えなくなるほど泣いたりと喜怒哀楽をもっとはっきりさせたいと子供ながらの自分勝手なことを考えて色々試したことがあった。
結果として、ほんのりと笑顔を作らせるので精一杯で、何ヶ月か何年か続けたときに自分で母様の魅力を実の娘が受け入れなくてどうすると結果として自己解決させたのでその後は母様を喜ばせたいという思いだけでそれを続けた。
そのときに偶然習得した技が歌に感情を乗せると言うことだった。
普通の会話よりも歌の方が気持ちは通じやすいと相談に乗ってくれたり私の歌のアドバイスとかをくれた通りすがりの吟遊詩人(2~3ヶ月に数回都に薬草茶を買いにやってくる)に教えてもらってただの会話よりも多くの数の歌を歌った。
楽しい歌も悲しい歌も恋の歌もどんな歌も歌った。
そして、気付くと私は息をするように歌どころかただの言葉にすら感情を乗せることが得意となっていた。
で、そのときのやらかしがきっかけで、都で定期的にみんなの前で歌うことになったんです。
今では歌うのは趣味だし、好きだから問題ないんだけどね。
「確かに。それに加えて、セニアの声ってすごく透き通っててしかも、よく通る声なんだよ。どこで聞いててもうるさくないのにしっかり聞こえる。」
それも、しっかり聞いてもらうために習得した技です。
「だからこそ、セニアの歌はどんな歌い手よりも心にダイレクトに響く。」
そんな感想もあり、なにげに都では物語の読み聞かせは大抵の大人がするよりも私にして欲しいという要望が意外と多かったりします。
なんか、結構な人が私が読んだ方が物語の風景や光景が、物語の人物が頭の中で鮮明に浮かび上がり、感情移入しやすいとかなんとか言う人が結構多い。
後、時折、都にやってきた吟遊詩人の人が歌に感情を乗せる技術を学びたいから是非歌って欲しいとか、弟子にしてくれとか言ってくる人がいたりします。
当然弟子入りなんてお断りです。
歌ってあげるから勝手に学んで下さいと言って放置してます。
それから、定期的にやってきてはこれを読んで!とか、これを歌って!とか言いながらやってきます。
ちなみに、その人たちは私の歌を聴いた後は、公共のお風呂に入り、薬草茶を購入して果物を買い食いしながら帰って行くのが、決まった流れです。(都で何か購入することでささやかに、報酬代わりのお礼扱いにした模様)
「うん。それに、セニアの歌ってなんというかすごい感情が振り回されるというか、セニアの気持ちに引っ張り込まれる。」
後にわかるのですが、【心の歌】をメインに使っているため、私の気持ちに合わせて歌の歌詞にそった感情移入がされやすくなり、【天使の誘惑】によって感情移入の部分は更に強化されていたことが判明したりする。
まぁ、歌のレッスンはおじいさまにしてもらってたし、時折都にやってくる吟遊詩人の人にもレッスンしてもらってたから歌に感情を乗せる技術はそこそこ自信がある。
その歌に感情を乗せる技術が先ほどのワザで強化されまくり、結果として相手をいとおしく思う歌であれば、切ない気持ちもうれしい気持ちもまるで自分のことのように感じてしまうほどの威力になったのだという。
そのおかげで密かに都の歌姫とか言われてたりするけど気にしない。
で、好きな人を愛おしく思う歌から、楽しい歌まで歌った結果、足下にはものすごい小銭が集まってた。
全部であわせると銀貨34枚と銅貨が675枚だった。
都でも、こうしてよくいきなり歌ったりしてましたがそのときはお金ではなくお菓子とか果物とか主に食べ物が渡されてました。
まぁ、私も食べましたが消費期限的な部分の関係で大半は母様のお腹におさまった・・というより収めてもらいました。
人数も年齢や性別もバラバラでしたが結構な人数が集まってました。
そう言えば、一番感動してたおじさん(豪華な服を着てたからたぶんどこかの貴族)は満面の笑みで銀貨を数枚置いて、私にサインを求め(一応書いてあげた)、足取り軽く帰って行きました。
ちなみに、サインを書いてあげた理由としましては、お金が多かった分もありますが、歌う歌をリクエストしてくれたからそのお礼も兼ねてます。
こういうところでの観客からのリクエストというのは、注目を浴びたり自身の腕前を見せる際に意外と重要だったりします。
一応無茶ぶりの一つに入るから・・ですかね?
例えば、決まった歌だけ練習してたからいきなり言われた歌を歌ったら下手だった・・となると、歌い手としてはプロとは言えませんからね。
そういうところのすごさを見せるという部分は大事なんですよ?
まぁ、たまにサクラを用意してワザと仲間にリクエストさせて、さも無茶ぶりに応えましたって人もいたりしますけど、わかる人にはわかるらしくそう言う人はそのときは良くても長期で見るとゆっくりと脱落していくんだそうです。
あ、一応言っときますけど今回はホントに偶然だったんですよ?
「・・・セニアの歌はやっぱりすごかったんだな。」
「だね。すごい集まってる。戦わなくても歌だけでも十分生きていけそうな勢い。」
「気持ちはわかる。セニアが歌うとさ、すごく歌の歌詞の光景がまるで自分のことみたいにすごくはっきりと感じ取ることが出来るんだ。」
「わかる。恋愛系だったら相手をすごく好きなのに会えない切なさから、好きで好きでたまらないって気持ちでいっぱいになるし、悲しい歌だったら涙が止まらないし、楽しい歌だったら楽しくて踊り出したくなる。」
「まさしく、自分が物語の登場キャラになったような感じになるよね。」
「それはあるし、何度それを体験したことか。」
「うんうん。それもあって、セニアには悲しい系の歌はお願いされない限りは禁止って言ってるしね。」
「じゃないと、周囲一帯が涙を流す人であふれて別の意味でヤバいし、下手すれば丸1日気持ちが落ち込み続けることになる。下手な洗脳よりも効果的。」
「確かに、おまけに下手な魅了よりも天然物で可愛いし」
「うんうん」
「ティーちゃん、リンちゃん。どうだった?」
「すごく良かったよ。」
「相変わらず自分の世界に引き込むね。また引っ張り込まれて歌詞の通りの世界が鮮明に頭の中で広がったよ。一瞬自分の周りの景色が変わったように錯覚したほど。」
「よかったぁ。ちょっと前に吟遊詩人の人が、歌うときは自分の感情を歌に乗せるのも大事だけど歌詞の光景をしっかりと思い浮かべることでより歌詞に込められた気持ちが更にあふれ出すんだって。」
「うん、その通りになった。」
「さて、満足?」
「うん。またやりたいな。」
「今度ね。」
「うん!とりあえず、お待たせ。学園に行こう?」
「賛成。」
で、2人と並んで学園に向かいながら頭の端っこでは、以外と冒険者として戦わなくてもこうして歌って路銀を稼ぐ形でもどうにかなるかもなぁとか思ってたり。
まぁ、母様と目指しているので冒険者として腕を磨くのは決定事項なので歌うのは趣味の範囲にとどめるつもりではあるんですけどね。
でも、歌うのは好きだから趣味です。
ちょっぴり、ステータスに副業として歌手とか吟遊詩人とかでたら良いなぁと思ってたり。
だって、それがでるってことは歌い手としては認められたってことでしょ?
ね?
あ、学園み~っけ!