親戚?にご挨拶 ※挿絵
--セニア--
とりあえずクラリティ王国に到着しました。
で、騎士さんが私の母様がフリージアだと知った直後から忠実なる下b・・・異常なほど親切な人になったのでそのまま門からお城まで案内してもらうことになりました。
「セニア・・」
「・・・ん?」
ぼんやりと騎士さんの後ろをついて行きながらお城の中を眺めてたらリンちゃんがそっと声をかけてきた。
「あなたはやっぱり、身分もチートってやつなんだね。」
チートって確か、ものすごく強い人のことを言うんだよね?
物語の百戦錬磨の英雄的ポジション
「えぇ・・」
「だって、フリージア様の娘ってだけで全員下僕じゃん。」
他人事みたいに言ってるけど、リンちゃんのご両親も母様並みにあちこちで英雄扱いされてるじゃん!
むしろ、セイさんなんてリアルに女神扱いされてるし、実際に女神として崇めてる村や町は結構な数があるって母様に聞いてるんだからね!?
「ま、まぁ・・母様がすごいのは知ってたけど正直予想以上だった。」
「フリージア様って普段は、ぽやっとした幼女なのに。」
確かに。
そこで、嬉々として撫で回してるのは専属メイドのアルナさんというのがいつもの光景。
その光景は誰がどう見ても、妹か娘を溺愛する母親か姉にしか見えない。
アルナさんは、母様より3歳くらい年上なんだけど、美魔女ってやつだと思う。
母様が27だから少なくとも30歳くらいのはずだけど、20台前半で普通にいけそうな見た目である。
まぁ、セイさんたちはアルナさんよりは年下だと思うくらいの容姿だって言っておく。
正直年齢不詳状態。
まぁ、おじいさまと母様も年齢不詳だけど。
「ははっ、当然ですよ。姫様はいろんな意味で特別ですから。」
案内してくれてる騎士さんが私たちの会話の補足説明?をしてくれた。
「そうなんですか?」
いや、すごいのは知ってるけど名前が出るだけで態度がほぼ全員ころっと変わるくらいの代物なの?
「あのお方の本当にすごいところは、手数の多さなんですよ。そして、勤勉であり努力家である部分です。」
「と言いますと?」
わかるようなわからないような。
「まず、姫様の十八番は魔法反射もそうですが、軍勢を呼び出し、自在に操ることになります。」
「見たことはありますが、正直母様は出しても数十体くらいでしたが・・。」
正直母様が本気で戦っている姿を私は見たことがない。
「すごいですよ?最大サイズであれば20体。最小サイズであれば10000まで同時に呼び出し、操れますから。」
「いちまん・・・」
予想以上に多かった。
「しかも、数人が同時に話しかけてもすべてを完璧に理解出来るんです。」
あ、それは記憶があるかも。
10人くらい同時にいろんなのをしゃべってるのに普通に理解してたから。
「それを、そのすべての影の人形を経由して可能なんです。」
それはすごい・・。
「しかもそれを、ご自身が別のことをしながらでも対処可能なんです。その特技を使い、仕事を行い、周囲の索敵を行い、魔道具の開発や修理を行い、刺繍や編み物をしたり、勉強を行い、冒険者と模擬戦を行います。あのお方が1人いるだけで一気に何千人分の仕事を請け負うことが出来るんです。しかも1つ1つの仕事も丁寧で早いので非常に優秀です。」
さりげないところで気付かれにくいけど母様は予想以上にすごかったようだ。
「おわかりいただけましたか?あのお方は普段は何もしてないように見せかけて裏では影の人形を使い予想を上回る量の仕事やアドバイスをしているのです。先ほど申しましたことを行いながら相談もアドバイスも行っているのですよ。何せ、魔法の天才でもありますから魔法関連の確認やアドバイスに忠告まで可能としておられます。」
「母様は私が想像している以上にすごかったのですね。」
「えぇ。すべては国民皆の平穏な生活のために。それが、あのお方の目標ですから。・・決して口には出しませんし姫様はご自身のためにしているからそれはついでだとおっしゃいますが、我々は行動で姫様のお心を存じています。故に、我らはあのお方を慕うんです。」
だからこそ、身分的には王族ではないのに、母様を姫様と言って慕うんだと騎士さんは言う。
すごく優しい笑みでそう言う騎士さんと近くに備えていたメイドさんや執事さんも当然だと頷いている。
「まぁ、実際戦闘面でも非常に優秀ですので、スタンピートも単独でいくつも壊滅させ、国の腐敗も気の向くままに殲滅したこともありますし、指名手配犯の巣窟を遊び感覚で何十どころか何百と滅ぼしてるのでリアルに英雄ですよ。」
その代表例が、悪魔スタンピート事件ですからねと言う騎士さんに納得する。
2万超えの大群プラス、SSSランクは軽くある大型ドラゴンの殲滅をたった1パーティで行った今も尚、伝説となっている母様の最大の功績のため、その町のある大陸ではまさしく英雄扱いされてるから、母様はリアルに生きた伝説。
そっか。
母様はずっと頑張ってきた。
その頑張りを周りの人は常に見ていた。
だから、愛されてるし慕われているんだ。
それならば。
「ならば、私はその期待を裏切らぬように日々精進を続けるのみです。」
母様の娘としてふさわしくあるために。
「えぇ、それでこそあのお方のご息女です。到着いたしました。こちらの扉の向こうへ陛下と王妃様がいらっしゃいますので、お待ち下さい。」
「えぇ。」
少しでも母様のすごさを知ることが出来てすごく幸運だ。
母様は、基本的にそういうことは教えてくれないから。
なんというか、自分自慢の範囲に収まりそうな部類は面倒なのかなんなのか聞いてもスルーされるし。
それから、扉は開かれ、謁見の魔に座ってるおじいさまと同じ白銀の髪をした美中年と美女を目にした。
あぁ、やっぱりおじいさまのご兄弟だ。
年齢不詳で美形。
あ、やべ。
跪かず、頭を下げてなかった。
で、しようとしたらしなくて良いと言われたから辞める。
「ふむ・・フリージアと同じ顔立ちだな。」
「纏う雰囲気はグリムに似てるわね。」
「聞く限りでは内面はフリージアのまんまだな。」
「そうね。」
「お初にお目にかかります。母様・・フリージアの娘のセニアと申します。」
「うむ。兄上であるイリス殿の弟のルイスだ。」
「初めましてセニアちゃん。イリスお兄様の妹、アイリスよ。」
「よろしくお願いします。あ、こちらは私の幼馴染みのレリンスとティアーネと申します。」
「よろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします。」
と、2人が頭を下げて挨拶をしたらなぜか2人は固まった。
視線はなぜかリンちゃんにがっつり。
「ん?なぜにリン?」
「リンちゃん心当たりある?」
「あるわけないでしょ。」
だよね。
だって、私と同じでこの国に来るのも初めてだもん。
「シリル?なぜお主がこの世界にいるのだ?」
「へ?」
「そうよ、シリル?どうしてそんなに幼くなっているの?」
「え?え?」
なぜかリンちゃんはシリルシリルと呼ばれてる。
だれそれ?
「あの・・申し訳ありませんが、私はレリンスと申します・・その・・シリルという名ではないのですが・・・。」
「む?」
「え?・・・あら?そう言えば、素の声が女の子っぽいわね。」
「言われてみればそうだな。それによくよく見ると体のシルエットが異なるな。あやつは、もっと細くはあったががっちりとしていたな。」
「ごめんなさいね?あなたがシリルにすごくそっくりだったからつい。」
「い、いえ・・」
「その・・」
「おじいちゃんでもお兄ちゃんでも好きに呼んでくれ。フリージアは実際我らをお兄ちゃんお姉ちゃんと呼ばせているからな。」
えぇ・・
すごい良い笑顔・・。
「では、お兄様と呼ばせていただきます。」
見た目がどうしても祖父扱いするには若すぎる。
するとすごい良い笑顔で頷かれた。
「それでどうした?」
ちなみに、王妃様をお姉様と呼んだら同性でも見惚れそうな笑顔が返ってきました。
「いえ・・そのシリルという方はどなたなのかと思いまして。」
「そうであったな。シリルはかつてフリージアの弟子をしていた異世界人だ。今は、フリージアが開発した儀式魔法によって故郷に帰っている故におらぬがな。」
あぁ・・聞き覚えがあると思ったら母様の元弟子だったか。
「たしか、母様の弟子で音の支配者と呼ばれていた非常に優れた吟遊詩人だと伺ってますが。」
「うむ。すごかったぞ?腕はフリージアの弟子故に当然優れていたが、あやつは虹色の声の持ち主だったからな。」
「虹色の声?」
「うむ、性別も年齢も性格もすべて無視してありとあらゆる声を表現出来たのだ。おまけに演技力もすさまじかったが故に今も尚吟遊詩人の中では伝説の1人とされておるぞ。」
それはすごい。
「たしか、ルナールの都にある図書館で流れている音楽の大半はそやつがかつて歌っていたモノを録音したモノだぞ?」
「え!?」
「アレのほぼ全部!?」
一部母様のピアノとか混じってるけど、数も種類も聞こえる性別もバラバラだったのに!?
「すごいであろう?故にファンも多かった。知っておるかは知らぬがシリル親衛隊というクランも存在する。今はその崇拝対象がいないが故に、かつての伝説を守り、慕い、シリルを目標とする吟遊詩人のサポートを行っているらしいがな。」
吟遊詩人のバックアップクランって感じになってるらしい。
まぁ、悪いことしてないからまぁいっか。
「そう言えば今更だけれど、レリンスは・・男性にしては何か違和感を感じるのだけど・・そちらのティアーネもそうだけれど。」
おぉ、さすが王族で、おじいさまのご兄弟。
鋭い。
お兄様も頷いてる。
「リンちゃ・・レリンスは女性で、ティーちゃ・・ティアーネは男性です。」
「!?」
「あらまぁ・・言われないと気付かなかったわねぇ。」
実際近くで備えている騎士さんとかメイドさんたちが目を見開いて2人を見てるし。
「ちなみにその服なのには理由はあるのかしら?」
「リンちゃ・・」
毎回名前をいつものように言っちゃうから直そうとしたら苦笑していつも通りに話して良いとお兄様に言われたのでそのまま言う。
「リンちゃんは、男装が趣味とかではなく、ただ純粋に動きやすさとか効率性を優先した結果、そうなっただけです。髪の長さも同じ理由です。
それと、ティーちゃんの場合はご両親・・と言うより母親の趣味です。一応スカートは嫌がるのですが、それ以外はどうでも良いらしくされるがままです。」
おかげでズボンなのにふりふりふわふわ衣装を着てるし、髪もアリスさんの趣味で伸ばさせているから今は肩を普通に通り越してるし。
そして見事に女の子にしか見えない男の娘の完成。
「それでこうなったと・・ちなみに2人の両親は誰だ?」
「リンちゃんの両親は、セイさんとユウさんで、ティーちゃんの両親はラウさんとアリスさんです。・・って、名前だけ言って通じます?」
「うむわかるぞ。よく知っておる。だがそうか・・セイたちは別として、ティアーネがそうなったのはラウとアリスであったか・・ラウはもう少しまじめだったが故にそういうのはしないと思っておったが・・」
「主夫ですもの。そのまま親ばかになったのでしょう。後は、アリスの趣味ではなくて?あの方は可愛いモノが大好きですから。」
「あぁ・・そういうことか。」
そう言えばアリスさんもアルナさんと一緒に母様を暇があればしょっちゅう満面の笑みで愛でてたっけ?
と言うか、ラウさんを主夫って・・
「あのラウさんが主夫というのは・・」
確かに家事をしてるときはすごく生き生きしてたけど。
それと、特訓代わりに鬼ごっこしたらラウさんは気配をたどれないからなかなか見つかんないし、脚速いし、暗殺者のような動きと剣技だからやっかいこの上ない。
「昔から家事洗濯が得意でな。おまけに趣味になりかけていたが故にそう呼ばれておる。」
なるほど、昔からでしたか。
「おまけに面倒見が良いし、腕も優れておるからな。かつてフリージアが単独で世界を旅していた頃にたった1人で護衛として勤めることが許された逸材だ。」
母様って、旅してたんだ・・しかも1人で。
まぁ、カルナとシャスティは少なくともいたんだろうけど。
母様が生まれる前から一緒にいたらしいし、離れるはずがないしあの過保護獣魔。
って、この国は実力主義だ。
そんな国で大事に大事にされてる母様をたった1人に任せて、安心だと太鼓判を押したってことはラウさんは私たちが想像する以上に優れているんだろう。
「そうだったのですね・・。」
「ぱっと見ではよくわからん筆頭だからな。目の前にいても存在を忘れることだってざらだ・・っと、あまり長話をしてもしょうがないな。この後何か予定が合ったのだろう?」
「はい。母様がかつて過ごしていた家を借りるために場所を教えてもらうのもそうですが、ギルドカードの作成と、父様からいただいたお小遣いを換金したく・・。」
「ふむ。家に関しては先ほど案内した騎士にそのままやらせよう。ギルドカードはそうだな。ギルドへゆけばすぐにでも作成出来るだろう。それと、最後の1つだが、ここで換金するか?金はすぐに用意出来るぞ?」
「そうなんですか?」
「うむ」
どうするか、リンちゃんとティーちゃんに視線を向けると良いのでは?と肯定サインが送られてきたのでありがたくお願いすることにした。
「で、これなんですけど。」
「・・・・・」
「・・・・・」
やっぱりとんでもないモノを出してきたという顔で2人に見られました。
「・・やはり最強ファミリーの名は期待を裏切らなかったか。」
「そうねぇ・・。ここで換金するのは正解だったわね。」
「そうだな。ギルドで換金する額を優に超えておるし、サイドこちらに足を運んでもらうか、下手すれば愚か者が寄ってくる可能性だってあった。」
「とりあえず、金額を確認するからちょっと待っててちょうだいね?」
「はい。あ、母様からのお土産です。」
我が都名物の薬草茶と、都でとれた果物セットと、父様お手製のパンセット。
余談だけど、うちの薬草茶は跡形もなく粉々になってるから、コップ一杯分だったら、小さじ1杯お湯に溶かし込むだけでちょうど良いくらいになります。
人によってはその量を調整して薄めにしたり濃いめにしたりします。
溶かし込むから無駄がないし、体へ吸収させやすいことから、下手なお薬よりも効きが良いと言われている理由もここにあります。
で、現在薬草茶の調合をしてる都人たちの最近の目標は、冷たい水でも溶けるようにすることのようです。
今は沸騰したお湯でしか溶けないから地味に気になってるらしい。
「あら、ありがとう。ルナールのお茶と果物はおいしいからうれしいわ。」
「そうだな。それに体にも良い。それにグリムのパンは久しぶりだ。」
「父様の料理好きは昔からなのですか?」
「うむ。グリムが学生だった頃からパンは作っていたからな。グリムのパンを好むモノは意外と多いぞ?」
父様の料理の評判の始まりはこの国だったようだ。
それからしばらくして、あの魔核5つは白金貨50枚になりました。
・・あまりにも額が大きいので銀貨とか銅貨に崩してもらいました。
「あの・・思った以上に額が大きいのですが。」
「詳細は省くが、ランクはSSSは確定だ。それに、種類も非常に希少なモノ故に滅多に世に出回らないものだ。おまけにほぼ最上位の魔核だからな、そのくらいの額がついて当然だ。後は、それが欲しい故に報酬を提示して構えているモノもいた故にその分も加算されている。」
なるほど、タイミングも良かったわけですか。
と言うか、これが父様視線で言うと、ご飯代とお洋服代になるわけだけど、どれだけ買えというのだろうか?
むしろ節約すれば数年は軽くいけそう。
まぁ、とりあえず気にしないことにして、きれいに3等分にして3人でそれぞれ所持することにしました。
「ではまた。」
「うむ。何かあれば遠慮なく来てもらって構わない。」
「訓練も騎士たちに言えば喜んで混ぜてくれるわよ。泊まる場所もいつでも部屋を開けておくわ。」
「ありがとうございます。」
訓練場所を提供してもらったり、騎士さんたちと訓練出来るのは正直うれしいかも。
とりあえず、あちこちで敬礼や頭を下げる人たちが視線の端っこに見えるのをスルーしながらとりあえずお城を出ました。
「セニア様。まずはいかがいたしましょうか?」
「家を案内していただいても?その後は仕事も戻ってもらっても構いませんから。」
「かしこまりました。ではご案内いたします。」
「お願いします」
そして、案内してもらったお家の周りにはスリープシープ(見上げるくらいでっかい羊)がのんびりとしてた。
で、そのお家は色合いとかはすごくかわいらしい感じのそこそこ大きな家だった。
屋上もあってそこは芝生が敷いてあるみたい。
「すでに皆さんの登録は済ませてありますので扉に手を触れれば皆さんであれば解錠されますので。」
「ありがとうございます」
「それでは私はこれで。何かあればそこらをうろついてる騎士団でも構いませんのでお声がけ下さい。」
「そうさせてもらいます」
「では、失礼いたします」
そうして騎士さんは帰っていった。
「すごく可愛い家だね。」
「色合いが全体的に淡い」
「フリージア様用に作られたのだろうね。」
「やっぱりそう思う?」
「うん。とりあえず中に入ろう?」
で、中に入るといろんな種類の部屋が合った。
バルコニーがあったり、畳がある和室だったり、洋室だったりと色々。
「荷物は基本バッグにしまっているから部屋はしばらくは日替わりで変えても良さそう。」
「それは言える。」
「夜は一緒に寝ようね♪」
「セニアは甘えん坊だな。」
「だって、リンちゃんは抱き心地が良いんだもん。」
「右に同じく」
「って、すごくグレーな言い方をしない。・・というよりも、あれだけ大量にクッションがあるんだからそれでいいでしょうに。」
「えー。」
「えー。さみしくて寝れないの。私と一緒は・・いや?」
ちょっぴり瞳をうるうるさせて上目遣いでリンちゃんのお洋服の裾をちょみっとつまんでみる。
ここでポイントなのは、がっつりつかまずにちょこっとだけつまむというすごく控えめなところです。
「うぐ・・それは卑怯・・・はぁ・・はい、一緒に寝させてもらいます。」
やったね!
翠直伝ワザその1!
母様譲りの可愛い顔立ちを利用して相手を屈服させよ。
ティーちゃんとハイタッチしてるとリンちゃんがなぜか私を後ろから抱きしめてきた。
そう言えば、昔からリンちゃんには翠直伝ワザは効くけど、ティーちゃんには効かなかったな。
なんでだろ?
「リンちゃんどうしたの?チューする?」
「しません。セニアが可愛いのがいけない。しばらく私の抱き枕になってなさい。」
「別に良いけど、これからギルドだよ?その後リーリスさんのとこだよ?」
「構わない。僕が抱っこしてれば問題ない。」
おや?
リンちゃんに抱っこされるのは気にしないんだけどよそ様の前でそういうのを平然とするのはすっごい珍しい。
何せ、母様と父様が目の前にいるときすらそんな甘えん坊さんモードにはならないのに。
せいぜい私たち3人だけの時しか。
「リン、私もセニアを堪能したいから前後ひっくり返して。」
「はいはい」
そしてくるりとリンちゃんと向かい合う感じでひっくり返され、リンちゃんの意外と大きいおっぱいに嬉々として埋もれてたら後ろからティーちゃんが私の尻尾をもふってきた。
・・うん、尻尾の根っこ部分は避けてくれてるから問題なし。
根っこのところは弱いから//
そして、しばらく百合百合な光景が広がった後、ティーちゃんは満足したらしいけど、リンちゃんは全く満足してないようで未だに私を抱っこしてほおずりしてる。
「いらっしゃ・・・・・い・・ませ・・・。」
ギルドに到着したんだけどリンちゃんが私を抱っこしてほおずりしてるから受付のお姉さんがフリーズした。
「えぇっと・・・何をしてるのかな?」
「愛でてます。」
「そ、そっかぁ・・・コホン。本日はいかがなさいましたか?」
おぉ、さすがプロ。
見なかったことにして話を続けた。
で、私は愛でられてるけど気にせずに話を続ける。
「ギルドカードの作成をお願いしたいのですが?」
「あぁ、新規の方ですね。・・・って、スルーなのね。」
なんか最後につぶやかれたけど気にしない。
「コホン、とりあえず順番に作成しますね。これに魔力を流し込んでいただければそれで終わりです。」
「わかりました。・・誰からする?」
「とりあえず私。次にセニアで最後にリン。」
「だねー。」
リンちゃんはまだ甘えんぼさんモードが終わらないから無理そうだし。
で、私たちにとっては魔力操作なんて朝飯前だからさくっと魔力を込める。
「3人とも終わりました。」
ちなみにリンちゃんは、私が片手を握って玉に触れさせて耳元で甘えるように囁くように魔力を込めてってお願いしたので速攻で終わりました。
その後で最後ぎゅっと抱きしめられたけど。
「・・早いわね。・・と言うより、詮索はしないモノなのだけどあなたたち2人は恋人なのかしら?」
視線は私とリンちゃん。
「幼馴染みです。」
「です」
「あら?けど・・・」
あぁ・・あまりの甘えんぼさんモードのすごさと、リンちゃんが男の子に見えてるからか。
「リンちゃんは女の子ですよ?」
「え?」
何を言ってんの?って顔をされたからおいでおいでしてお姉さんの片腕を握ってリンちゃんのおっぱいを触らせる。
すると、ふにふにと手が動いた後瞬時に距離をとられた。
「え・・・ホントだった。」
嘘だって顔で手がわきわきしてる。
「直接見て触りたかったですか?・・個室だったら//」
ちょっぴり恥ずかしがるようにして、上目遣いでチラッと見たらなぜかお姉さんお顔が赤くなって慌てふためきだした。
「ふわぁっ!?いえ!大丈夫です!問題ありません!」
「ついでに言うと、こっちは男の娘ですよ?」
「えぇ!?」
じゃあと、さっきのように直接確認させるためにお姉さんの腕を握って、下半身のアレを触らせようとしたらなぜか触る前に逃げられた。
「さ!さすがにそれは!!」
「え?見る方が良かったです?」
「確認程度なら私も構わないけど」
ほら、本人からも許可でたよ?
男の子のアレを好きなだけ触れるよ?
「そう言う問題でもなく!!あぁもう!信じます!信じますから私を痴女にしないで下さい!」
顔を真っ赤にして拒否された。
「はぁ・・何でだろうすっごい疲れた。」
すごいげっそりした顔になってた。
ふむ、仕方がない。
てくてくとお姉さんに近づいてそっと包み込むようにしてお姉さんの両手を握る。
「え?」
そして、ふんわりと母性あふれるようなイメージの笑顔をお姉さんの至近距離でしてあげて
「ありがとうお姉ちゃん♪」
全員「ごふっ!」
翠直伝ワザその2
妹らしいかわいさで相手の心を癒やそう。
おや?
ついでに周りを見ると他の受付のお姉さんとかちょうど近くにいた冒険者のお兄さんたちも鼻から赤いのを流してひざをついてる。
「うん、セニアのそのワザは相変わらず強力だ。」
うんうんとティーちゃんが他人事のようにつぶやく。
おかしいなぁ?
翠から、これをすればみんな元気になるって聞いたのに。
「セニアはわかってるのかわかってないのかよくわかんないけど、それ元気になるどころか最終兵器だから。」
「ティーちゃんそうなの?翠がこれをすればみんな元気になるし、疲れもぶっ飛ぶって聞いたからやってみたんだけど。」
「間違ってはない。それは、ある程度耐性がなかったら、過剰回復によって逆に精神的にダメージを食らう」
「ヤバいことしちゃった?」
「大丈夫。むしろご褒美。」
「そう?」
「それに、今後は忠実なる下僕になるから便利。」
「そう言うモノ?」
「そういうもの。」
「そっか、ならとりあえず回復するまで待機?」
「だね。・・・いつにもなくリンのその状態直らないね。」
「んーあのおねだりの余波かな?」
「だね。とりあえず私も甘やかして元に戻そう。」
「私はこのままでも良いけど、可愛いし。」
「けど、終わった後で身悶えるよ?リンが」
「それはそれで見たい。」
「同感だけど、それをなだめるのがめんどくさい。」
「あぁ・・だね。とりあえず、もう1回アレをすれば直るかな?」
「やってみよう。」
じゃあ、
くるりと振り返ってリンちゃんと向かい合う形になってリンちゃんの首に腕を回して抱きつく。
「リンちゃん、だ~いすき♪」
そして、至近距離で目を合わせてにこっとほほえんで鼻と鼻でチューしておく。
おまけにウインク付き。
全員「がはっ!」
翠直伝ワザその3
仲良しな恋人っぽい甘い雰囲気で大好きな気持ちを伝えよう。
※使用者が気にしなければ同性にも対応可
おや?
またもや周りに被害が・・まぁいいや。
「・・・」
「アレ?リンちゃん固まっちゃった。」
「とりあえず、てい。」
「ふわぁっ!・・・アレ?」
あ、戻った。
「ティーちゃん何したの?」
「脇腹をもにゅっと揉んでみた。」
お尻だとセクハラ扱いされても嫌だしとティーちゃんが言う。
「・・で、なんで私はセニアを抱きしめてるの?」
「あぁ・・私がリンちゃんが大好きだから抱きついてたんだよ。」
「そ、そう?・・・なんか忘れてるような。」
「気のせい気のせい。」
「そうそう。」
どうやら、さっきのワザの余波でさっきまでのことはきれいさっぱり忘れてるらしい。
でも、思い出されて身悶えても面倒だし忘れたままにしておこう。
「で、どうして周りに吐血した人が多いの?なぜか幸せそうだけど」
「ちょっとお願いしてみた」
「あぁ-、またやったのか・・ほどほどにしなさい。セニアのそれは強力すぎるから。」
「はぁい。」
とりあえず、ギルドカードが出来るまで待つだけなんだけどどのくらいかかるかな?
と言うよりどのくらいで元に戻るかな?