-閑話-伝説による音楽で救う その10
--カグヤ--
色々あってクラリティ王国のトップであるエトワール公爵家の人たちという父さんたちと縁のある人たちと会話をすることが出来た。
そして、王子であるルーナスさんとお姫様であるキャリルさんが留学?と言う形でクラリティ王国に色々と学びに行くと言うことで僕たちの旅に同行することになりました。
「とりあえず、兄上と呼ばせてもらいますね!」
「では、私はお兄様ですわね!」
「は?なんで?」
ルーナスさんとキャリルさんが突然そんなことを言い出した。
で、父さんのさっきの台詞です。
そして、母さんはあぁまたかぁみたいな顔してコーヒー(実は母さんはブラック好き)を飲みながら眺めてる。
まぁ確かに父さんはよく兄貴とかお兄様とか呼ばれまくってるけど。
あ、お二人から様付けはやめてくれと言われたのでさん付けで呼んでます。
「そりゃあもちろん、殿とか様とかで呼び合う仲なんて、旅仲間としてはおかしいではありませんか。」
「それに、カグヤとお二人の容姿に髪色のおかげで我々が混ざっても全くまわりは気にしないとは素晴らしい。」
ちなみにルーナスさんは、クリーム色の髪に金色の瞳
キャリルさんは若干黄緑っぽいクリーム色に金の瞳です。
父さんは白い髪に赤と青のオッドアイで、
母さんは髪に瞳は両方真っ黒
で、僕が銀髪に左がコバルトブルー、右が菫色のオッドアイ
うん。
普通に混ざってても髪色でどう見ても血のつながりはねぇなとか言われないね。
だって、お二人も顔は整ってるけど父さんたちが際立ってるから誰も気にしないんだもの。
だから、親戚か何かだろうくらいにしか思われない。
と言うよりも、そもそもがこの世界は人の生き死にがこう言ったらなんだけど珍しくはない。
だから、養子を取ったりすることも珍しくないから血の繋がらない家族も割とよくあるものらしい。
なので、そう言う関係のいちゃもんは基本的に相当なバカじゃない限りは皆無なんだとか。
それを聞いて、僕の副業で稼いだお金の半分を孤児院とかに寄付するようにしたのは内緒です。
こっちの世界では、身寄りのない子供と、老人ホーム的なモノを一緒くたにまとめたモノを孤児院と呼ぶらしい。
と言っても、身寄りのない子供の世話をボランティア的な扱いでしながら、一宿一飯を共にするモノらしい。
そういうところで働きながら合間でいろんな人と出会い、様々な方面に子供大人問わず旅立つんだそうです。
父さんや師匠さんたちは、結構稼いでいるのでその分そう言う施設に寄付はそれこそ結構な額をしてるんだって。(本人たちは手元に腐らせるよりマシだって言うけど、さすがだよね)
ちなみに、ルーナスさんは雷の魔法使いで弓矢使い
キャリルさんは風の魔法使いで薙刀使い
そして、お二人による数多くの要望と言う名の意見によりそう呼ばれることを父さんは認めました。(正しくは諦めた)
で、さすがは王族と言うべきか弓も薙刀も防具もとても優秀そうなモノで、動きやすそうで扱いやすそう。
そして、どれも色が白金っぽい色をしていてとても気品がある。
キャリルさんのはドレスアーマーだったけど。
普通なら、そう言う高そうな装備をしてるとめんどくさい連中が絡んでくるんだけど、絡んできた瞬間に濃密な殺気を父さんが放って強制的に黙らせるからとても安全な旅が出来ると2人は喜んでます。
それから、すっかり馴染んだ城下町の人たちに数日かけて旅立ちの挨拶をしてから国を出発しました。
そのときに、父さんに騎士さんたちが
「家のおてんば姫を少しは淑女にして下さい!蹴り飛ばしても構わないのでお願いします!」
とそれはそれは力強いお願いをしてきました。
キャリルさんはさすがに引きつった表情でキレてたけど。
「それで兄上。馬車も馬もいないが歩きなのか?急いでいない旅だとは聞いているが。」
「あぁ、それだがセリカ」
「あいあい」
そして懐から出てくる真っ白なサソリのハルト
「あら、そのサソリは確かお姉様の獣魔でしたわね。」
「確かハルトと言ったか?」
父さんが兄なら母さんが姉だってことでそんな呼ばれ方をされてます。
「ちょっと待って下さいねー。ハルトよろしく」
そして、一気に巨大化した。
「じゃあ、ハルトの背中に乗って下さい。」
姫&王子「え・・」
「巨大化出来るのですか!?」
「出来るよ?それと、結構早いし、強いよ。」
「なるほど。」
「やけに賢かった故にタダのサソリではないと思ったが想像以上であったか・・。」
そして、平然と馬2~3頭並の速度で動くハルトと当たり前のように気軽に併走してる父さんを見てやっぱり伝説の吟遊詩人はただ者じゃねぇぜみたいな顔で、見られてました。
僕はと言うと、父さんの背中にしがみついてます。
だって、あっち(ハルトの背中の上)にいるとキャリルさんと母さんの2人がかりのセクハラコンビアタックを食らうんだもの。
ルーナスさんが頑張ってかばってくれるけど、無駄に手の動きが素早いキャリルさんの方が上手で、無駄に強い母さんがキャリルさんと連携を取るからほとんど役に立ってない。
だからなのか、目で僕にホントに申し訳なさそうな視線を向けてるルーナスさんに苦笑しながら気にしないで欲しいと伝えました。
・・だって、母さんが変態なのはわりかし前からで、今更だし。
「ホントに早いですね・・兄上も。」
「そうですわねぇ。あ、そう言えばそうでした!」
「キャリル突然どうした?」
「どうして私ではなく、カグヤちゃんの方を姫呼びするのですか!?私は、正真正銘の姫なんですけど!?」
あ、それは僕も思った。
「あぁ・・・」
それかぁみたいな顔をしているのはルーナスさん。
で、あっけらかんと母さんは答えた。
「そりゃあ、カグヤの二つ名が銀姫だからねぇ?」
「え・・いつから僕そんな呼ばれ方してるの?」
「1ヶ月くらい前から?私とシリルに大事に大事に守られてたり見た目が美少女だったり、性格も穏やかで優しいし、カグヤが作る栄養剤のあめ玉も凄く安いのに効果は抜群ってなもんで髪色から取って銀姫って呼ぶようになったんだよ。元々は癒やしの銀姫だったんだけどね。」
「そうだったんだ・・」
「それに、こう言ったらなんだけどキャリルよりもお淑やかだから余計に拍車をかけたって言うのもあるけど。」
「お姉様酷い!」
「そりゃそうだろ」
「ルーナス兄様まで!」
「ちなみに、それなりの規模で認められるとステータスに二つ名は載るぞ?俺等みたいに」
「そうなの?」
ちょっと見てみよう。
ランク:D
名前:カグヤ・アマクサ(二つ名=銀姫)
性別:?
年齢:10
種族:巫女
職業:造形師
副業:薬師
称号:元異世界人、性別迷子、流星姫のお気に入り、元男の娘、ファザコン、魅惑の乙女、音の支配者の娘
属性:硬度変換
ホントに載ってる・・。
で、母さんは母さんで次に立ち寄った町とかでティアラを作ってもらおうとか真顔で考え込まない!
ルーナスさんもそれなら名前に合わせて銀色にしようとか、それに合う宝石も探さないととか、オリジナルのすんごいデザインにするとかキャリルさんも無駄な張り合いというかボケに乗らなくて良いから!
だから母さん!タダのティアラじゃなくてきちんとした魔道具として作ってもらわないととか実用性を求めたわけじゃないからやめなさい!
と言うか、真顔で言ってる時点でぼけどころじゃなくて本気なのがたち悪いけど。
・・・とりあえず、ティアラ作成については説得してやめさせました。
その3名よりすっごい不満そうな声が上がったけど僕は聞こえない。
・・なんか母さんがにんまりとして企んでるっぽい顔をしているのがすっごい気になるから念押ししてやめさせたけど・・大丈夫だよね?
進んでいくと、時折無駄に柄の悪い連中の群れが襲ってきました。
数は4桁は軽くいるよねってくらい。
良くもまぁそんなに集めたね?と言いたくなる。
で、誰なのかめんどくさそうに父さんが尋ねると少し前に母さんと僕をナンパというか、俺の女にしてやるから置いてけ的なことをゲスな笑みを浮かべてたアホ連中の塊でした。
まぁ、父さんの威圧でお漏らしして放置されたんだけど。
そして、数を集めて報復に来たらしい。
ちなみに、それを確認している途中から父さんはと言うと両手握っていた双剣にそれぞれ透明と白の2種類の光をこれでもかと圧縮して纏わせている。
そして、父さん自身からもとんでもなく濃密な魔力を全身に纏わせている。
どうやら、種族特性で白と透明の光は、ノーコストで扱えるから有り余ってる魔力を思う存分身体強化に使ってるようです。
おまけに、色々と強化系のワザも重ね掛けしてるっぽい。
それを威圧を一切込めずにタダひたすら威力のみを強化し続けている父さんを見て若干引きつった顔をして距離を取るキャリルさんとルーナスさん。
で、母さんは引きつった表情のまますすすっと父さんの背中に回り込んで両手を背中に当てて母さんの十八番である強化魔法を父さんにかけてた。
・・・なんか色々と威力を上昇させてるっぽい。
で、どうなったかって?
そいつ等がなんか、言い出そうとした瞬間に父さんが無表情のまま
「失せろ」
と言って、これでもかと威力をマシマシにしたのを本気で斬撃を十字にして放ち、2つの光が合わさり、大爆発を起こしました。
結果として、レーザー状にどこまでも続く抉れ跡と、大爆発により出来上がった巨大なクレーターを作り上げました。(当然のようにその場所は焼け焦げとか爆発によって真っ黒)
え?
敵はって?
当然消し飛んだよ?
装備も1かけらも残さずに。
それから、父さんはすんごい良い笑顔ですっきりとした表情で
「じゃあ、ゴミ掃除は終わったから先に進もうか?」
と言いました。
全員引きつった表情ではいと言いました。
と言うより、それ以外に言えなかったというのが本音。
全員が察したようです。
父さんを敵に回し、怒らせるとどうなるか。
ちなみに、地面の抉れ跡はそのまま放置されました。
後にその場所は、告白の場所として有名になるのだとか。
なんで、告白かって?
なんか、この抉れ跡が断罪の地と呼ばれて、真剣なことをここで言うと相手は冗談と流さなくなるとこから、真剣なことを伝えるならここで!となったらしい。
だから、告白と言っても、恋愛だけではなくいろんなことの暴露と言った方が正しいかな?
え?
僕?
なぜか父さんにお姫様抱っこされてるよ?(遠い目)
抵抗?
出来るわけないじゃないですか。
だって、すっごい蕩けたすてきな笑みを僕に至近距離で浮かべてほおずりしてるんだから。
・・・絶対精神回復に僕を使ってる状態だったし。
癒やし系のワザは持ってないはずなんだけどなぁ。
とりあえず、父さんが元に戻るまで無抵抗でいようと思います。
それと、父さんはこまめに癒やさないとヤバいと言うことになり、僕は定期的に父さんに甘えると言う大事な使命を母さんたちに任命されました。
母さん?
僕がお姫様抱っこされた瞬間に引きつった表情になって微妙に父さんから距離を取ってたよ?
翌朝には、元の距離感に戻ってたけど。
正しく言うと、寝るときは微妙に父さんから母さんは距離を取ってたけど、母さんが寝相によってコロコロと父さんの元に移動してた(母さんの野生の本能?)ので朝起きたら父さんを抱き枕にしてた結果、母さんが自分自身でまぁ良いかってなってそのまま元通りという感じ。
で、王族2人はと言うと
「伝説の吟遊詩人は凄腕だとは聞いていたが・・想像以上だった。」
「えぇ・・確かに騎士たちと模擬戦を何度も大規模で行っていたのを見ていたので強いのは知ってましたし、私が襲われたときに速攻で殲滅してたのでわかってはいましたが・・・アレはホントに手加減した状態だったのですね・・。」
「思えば、あのクテン様の弟子を名乗ることを許されているんだ・・あのくらい出来て当然なのだろうな。」
「そうですわよねぇ・・・。本物のクテン様を見て正直強さがぱっと見で全くわからなかったので正直混乱してますが。かわいさだけでも規格外だったわ。」
「あぁ・・アレは確かに。だが、強さは兄上たちの反応からして事実だ。・・メイドさんにものすごく愛でられまくってたけど。」
「それはわかってますわ。・・私も撫で回したい。」
「あぁ。だが、皆が見た目詐欺だという理由は、しっかりと理解出来た。すっごいスルーしてたけど」
「えぇ・・アレは見た目詐欺以外の何者でもありませんわ。すっごいスルーしてましたけれど。」
それからは、特にトラブルっぽいモノはありませんでした。
せいぜい魔物が襲ってきて、それを父さんたちが瞬殺したり、実戦経験代わりにルーナスさんたちや僕が倒したりしたくらい。
「ところで、お姉様?」
「んー?」
「お姉様は確かお兄様と同様に種族進化してましたわよね?」
「そうだねー?」
「お兄様は、温度を司る種族だと伺いましたが、お姉様は何なのですか?」
「それは、俺も思った。」
ルーナスさんもキャリルさんと同様の意見らしい。
まぁ、そうだよね。
母さんの得意技である属性魔法は強化系で、父さんみたいに目で見たらわかるような派手さはないからぱっと見ではわからないしね。
「私?私のは全身鎧を召還するモノだよ。」
「鎧・・ですか?」
「うん。地味でしょ?正しく言うと、身体能力が素で強いんだよ。で、鎧を呼び出すのが十八番な種族」
そこで父さんからツッコミ。
「何が地味だ。壊れても条件さえ満たしていれば無限に修復されるのに加えて、そのたびに硬度は増していく。それに、全身鎧だって言うのに動きにくさも重さも、ガチャガチャうるさいこともない。しかも、最低基準がお前のえげつないステータスに比例したモノだ。・・これのどこが地味で済むって言うんだよ。」
全員「・・・」
私知りませんという感じでそっぽを向いてる母さん。
って言うか、確かに鎧を召還するモノだって聞いてはいたけどそんなにえげつないんだ・・。
まだ見たことないけど。
母さん曰く超かっこいいらしいけど。
しかも母さんのステータスの高さは前に宿屋で見せてもらったから知ってるけどアレが最低基準なんだよね?
・・確かに地味で済む問題じゃないよ。
父さんの言うとおりなら、全身鎧独特の動きが遅くなるとかガチャガチャうるさくなるとかそういうのがないのにとんでもなく硬いならそれこそ全人類の理想型の全身鎧そのものとも言えるんだし。
しかも、種族としての能力だから父さん同様にノーコストで発動可能で、ほとんど制限なんてないんだから母さんは事実上防御力という言い方をすれば世界随一とも言える。
「やはり、兄上の妻と言うだけあるな。」
「そうですわね・・。」
王族2人は母さんのえぐさを知ったようです。
で、魔物とは恐ろしい生き物が大半だと聞いてたけど何というか不思議な生き物もいるんだなぁと思いました。
ジンジャーブレッドマン
どこからともなく生姜とパンを取り出して投げつけてくる人型の人形
生姜やパンの色やサイズ形に一切同じモノがないが、味は悪くないがたまになぜかジンジャークッキーを投げつけてくるときがある。
タダ投げつけてくるだけで、威力も軽くキャッチボールをする程度のため害はない。
普通に倒すとものすごく毒性の高い生姜だけになるが、本人が満足するまで投げつけに耐えると紅ショウガ(キロ単位)になる。
エッグマン
多種多様な卵を投げつけてくる巨大な卵型の人形。
投げつけてくるため、殻が異常に硬いだけで中身は普通においしい。
普通に倒すと、えげつないほどの腐敗臭のする卵になるが、本人が満足するまで投げつけに耐えるとなぜかゼラチンになる。
シェイカーゴーレム
なぜかずっと震えている人型ゴーレム
震えるだけで攻撃してくることは全くないが、攻撃を仕掛けるとそこら中を振動させて地震を引き起こす。
本人が満足するとなぜか振動するボトルになる。
パペットマン
相手の動きと姿をタダひたすら物まねするゲル状の生き物。
攻撃を仕掛けると相手を飲み込んで窒息させるが、何も仕掛けてこないと隣で物まねしてるだけで特に害はない。
本人が満足すると物まねした中で最も気に入った人物の気に入ったポーズのフィギュアになる。
コピーバード
目に映る生き物を適当にタダ増やすだけの鳥
攻撃を仕掛けるとその人が最も嫌うモノをエグい速度で増やし続ける。
だが、気に入る対象は魔物が基本的に多く、人をコピーして作り出すことがないため、人は大抵とばっちりでエグい数の魔物を相手せざるを得ない状況にさせる。
なんか、相手にしたらダメ的な面倒なのが非常に多かった。
おかげで、いろんなのがたくさん手に入りました。
食べ物系に関してはありがたいと言えばありがたいけど、生姜は正直主食にするほどたくさん使うことが多くないから何割かはどこかで売り払うことにしましょう。
・・素直に喜んで良いのかわかんないけど、大量に出来上がった僕たちのフィギュアをどうすれと?
凄く高く売れそうだなってルーナスさん・・気持ちはわかるけどリアクションに困るからこっちに反応を求めるのはやめてください。
それで肯定したら僕がナルシーみたいじゃないですか。
で、母さんは僕のフィギュアのパンツが脱げるのか確かめないで!
後、下半身が男の子なのか女の子なのか確かめないで良いから!
結論から言うと、フィギュアの服はめくれるような柔さではなく普通に硬く、パンツも脱げない仕様になってました。(ホッ)
そして、敷居が高そうなお店で無駄に大量に手に入ってしまったフィギュアの軍勢を全部売り払いました。
・・・まぁ、僕と父さんのフィギュアを身内数名が1つずつ懐にしまい込んだのは見えないふりをする。
おかげで臨時収入がすごかったのは良いんだけど素直に喜べない・・。
あ、振動するボトルだけど、調味料とかバター作りとかで何かとかき混ぜたり振り回したりするような類いに大活躍したため、いくつかは手元に残しておき、残りは売りました。
結果として、お店側で大ブレイクしたっぽい。
ついでに言うと、今回はあの大量に複製する鳥さんが無駄にたくさんいたため、とんでもない数のその魔物たちが増えた結果、全部を倒したら面倒になるから倒さずにどうにかするために四苦八苦した結果、大量にそれらの素材が手に入ったんですよ。
そんな中、進行方向に立ちはだかる2人。
で、その2人はとんでもなくでっかい男性2人。
どのくらい大きいのかって?
身長はたぶん10メートルは軽くある。
で、2人とも抱えている楽器も同じくでっかい。
何というか、片方はギターっぽいので、もう片方はドラムっぽい。
髪型はと言うと、何というか・・派手。
モヒカンにリーゼントで、顔立ちも厳ついし、ゴリゴリのマッチョだ。
けど、マッチョはマッチョでも戦いの出来るマッチョだ。
何というか・・ボディービルディングみたいな魅せるやつとは違うしっかりとした筋肉。
うむ。
良い体してますね。
見た目と髪型のせいで世紀末的な人にしか見えないけど。
「ここであったが百年目!」
「いえ、初対面です」
「・・・」
「初めて会ってもこれが言うのがお決まりというモノなんだ!」
「そうか・・」
何なんだろう・・このやりとり。
父さんもなんだこいつという顔をしてるし、母さんは母さんでどこかの芸人さんかな?みたいな感じでのほほんと眺めており、敵認定はされなかったようだ。
「・・で、なんか用か?」
「あぁ!もちろんだ!妖怪だけに!」
「・・・」
何でチョイチョイぼけというか、親父ギャグを挟むの?
なにげにキャリルさんが爆笑してるけど。
そのキャリルさんをみてどん引きしているルーナスさん。
「で?」
「ゴホン!見ての通り俺たちは音楽会の亡霊だ」
楽器があると言うことが見ての通りなんだろうけど、その人たちだけ見たら楽器なんてどこから浚ってきたの?と言いたくなるね。
言わないけど。
「って、亡霊なのか?」
「あぁ。俺たちは数千年前に既に死んでいる亡霊だ。」
「だからといってゴーストみたいなアンデッドというわけじゃないし、悪いことなんて何もしてない!本当だ!」
「それは信じるさ。で、なんでそんな亡霊がこんなところで突っ立ってるんだ?」
「それが・・俺等。成仏したくても出来ないんだよ。」
「心残りがあるとか?」
「俺等としてはない!」
「ちなみにどういう経緯で亡霊に?」
「俺たちは物心が付く前からの幼馴染みでな。見た目は我ながらアレだけど、誠実に世界中を旅してたんだ。」
「あぁ、凄く楽しかった。いろんなモノがあったし、悪い奴らを倒してその報酬金を被害者の人に丸投げして義賊よろしくお礼を受け取らずに立ち去ったりして。」
なんか色々と楽しんでたらしい。
「で、そんなある日。そろそろ年齢的に旅はやめてどこかに腰を落ち着ける方が良いか?とか話し合って、その場所を探して世界を放浪してたときにおれら以上に柄の悪い奴らがエグい数を揃えて吟遊詩人の一団を襲ってたんだ。」
「俺等も体を張って当然助けたさ!」
「もちろん全員助けることは出来たし、そいつ等も全員始末出来た。だが、俺等もその頃は50過ぎて体にがたが来始めてたからそれなりの攻撃を受けててな。」
「その内、吟遊詩人の連中を狙う攻撃を体を張ってかばった分もあったんだ。」
「まぁ、言っちまうと薬とかでどうにかなるレベルを超えてたんだよ。つまりは、その場であと少しで死んじまうなって感じ。」
「俺等としては、助けることが出来たんだし、その死傷も含めて冒険者にとっては名誉であり勲章モノだ。」
「けどなぁ・・助けられた吟遊詩人の連中からすれば命の恩人が自分たちのせいで命を落とすんだから凄い貴重なモノすらも使って助けようとしてくれたんだが、俺等は断ったんだ。」
「何でだ?」
「そのときに悟っちまったんだよ。このままあの世に行っても悔いはないって。ある意味、あこがれのシチュエーションってやつだったんだ。」
「まぁ、気持ちはわからなくはないな。」
確かに。
物語の英雄みたいだもんね。
「でも、そいつ等からすればとんでもないことを言ってるとしか思われないワケよ。」
「だろうな。命を投げ出すようなことを言ってるんだから。」
「だからさ・・俺等の気持ちを伝えた上で、最後にそいつ等に演奏をしてもらったんだ。」
「音楽とかさ・・正直興味のかけらもなかったんだが、最後くらいは柄にもないことを体験したかったんだ。」
「そして、俺等は彼らの演奏を聴きながら死んだんだ。」
「生まれて初めて聴いた演奏は凄く心地が良かった。」
「で、気付いたら俺等はこんなでっかくなった状態で生きてたんだ。・・まぁ、既に死んでから数十年は経ってたっぽいんだが。」
「それから、色々と調べてみたら俺等は肉体を持った亡霊だってことがわかった。実際、心臓は動いてないし体は温かくない。」
ほれ、と触って確かめてみろってことで触ってみたら言われたとおりだった。
「な?で、200~300年くらいは旅を続けたんだが、それを過ぎたことから成仏したいと思うようになったんだ。・・さすがに・・な。」
「普通は不老不死みたいな状態は誰もがあこがれると言うが、実際に経験したら・・空しさしかないんだよ。」
そっか・・言われてわかる。
自分はずっと生きてるのに大事にしてた人たちが先に死んでいく。
それは凄くさみしい。
「で、あちこちの教会に行ったりして色々試してもらったんだが結局ダメだった。」
「そんなある日。成仏してくれそうな場所を探す旅をするようになって、祈りを捧げると悪しき者を消し飛ばすっていう場所にたどり着いて祈ったんだ。俺等は生きていたらダメな存在だからそのまま成仏させてくれると信じて。」
「そしたら、黒髪のイケメンがいきなり目の前に現れてな・・・心残りがあるようだからそれを解消すれば成仏出来ると思うよって一言告げたんだ。」
「で、俺等にこの楽器を渡してから、もう一言告げてから消えたんだ。」
「なんて言ったんだ?」
「俺等が死に際に助けた吟遊詩人の一団は、あれから世界中を音楽で幸せにする旅を続けて多くの人たちを笑顔にしてまわり、数多くの大国から表彰された音楽界の英雄になった。君たちがきっかけだよ。って。」
「俺等さ・・凄くうれしかったんだ。俺たちがしたことは決して無駄じゃなかったんだって。それが認められたみたいでさ。」
「それから俺等は、そのイケメンに祈りを捧げつつ、このもらった楽器を使いこなせるように毎日練習しながら俺等の心残りを探すことにしたんだ。」
「そうか・・話の流れから推測するが、その心残りって演奏か?」
「あぁ!俺等自身が全力で演奏してそれで感動して欲しいって言うのもあるが、世界最高の演奏を聴きたい。」
「それで、俺か?」
「あぁ!」
「話は変わるが、そのイケメンって何者だったんだ?」
「それが、旅をするついでにあちこちを回って調べてみたらなんとびっくり、あの伝説の賢者様だったんだ!」
「は?マジで?」
「おうよ!名前は聞きそびれたしどこにもなかったんだが、姿絵はあったんだ。それがどこにあるのも全部その人の姿そのまんまだった。」
「後に、あの人通りすがりに俺等を見つけて助言をしたらしいってわかったんだけどな。魔法でそれっぽく演出した通りすがりAって感じだったらしい。」
「なるほど・・」
・・そのイケメンさんってどう考えても桜華さんだよね?
チラッと母さんを見ると小さく頷かれた。
あの人、生きてた当初からそんなに凄かったんだ・・。
「と言うわけで、俺等の演奏を聴いて欲しい。そして、伝説の吟遊詩人と言われているあんたの本気のデュエットを聴かせてくれ!」
「は?」
予想外な要望でした。




