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陰の支配者2-天使+死神=?-  作者: ミコト
初めての都会?生活
12/36

謎のゴーレム退治 その2

・・・間に合いましたぁ。

義理明日は、にゃんこの日ですね。

--セニア--

謎の生物の調査と出来れば退治をして欲しいという謎の多い依頼を受けてやってきた私たちですが、訪れた町はセキセイという名前で赤と青にご熱心なところでした。

と言うのも、当時この地はスタンピートでヤバかったそうですがそれを解決したのが母様の弟子である音の支配者のシリルさんだったと言うことだ。

で、そのときに共に行動していたのが目の前にいるアマルさんたちだったんだとか。

おかげさまで赤い髪を持つ私は、この町に入ってからすごい好気的な目にさらされてますよ。

人によっては拝んでたし・・母様を見習ってスルーしたけど。

と言うか、どうリアクションしろと?




町長さんにお屋敷に案内してもらいました。

「改めて、俺はパルだ。この町のトップだが、気分的には大きめの村の村長くらいにしか思ってないからこぎれいなおっさんぐらいに思ってくれ。」

身だしなみは本人が言っているようにたしかにこぎれいで言葉遣いは親しみを持ちやすくしているおじさん。

私がこの人を見た印象としては何というか、きれい好きな料理屋にいそうな感じの人っぽい。

で、身分とかとくに気にしない人だと言われてますますそれっぽく見える。

エプロンつけてもらったら良い感じじゃね?

「わかりました。あ、これどうぞ。」

1キロほど我が都のお茶っ葉をプレゼント(粉だけど)

偉い人にはお土産が必須って父様に言われてたし、ちょうど良いのが何かあるか騎士団長のノクスさんに相談したらそれをおすすめされたんです。

え?

いつ聞いたのかって?

毎日ではないけど、3日に2回と結構な頻度でその騎士団の訓練に紛れ込んでるからですよ?

怪我とかもリンちゃんが治してくれるからあっちもバッチ来いって言ってたし、ティーちゃんの結界を的代わりにする訓練でティーちゃんも結構歓迎されてる。

私はって?

なんか、ノクスさんがメインで相手してくれるよ?

リンちゃんとも良くやってるけどノクスさんの表情からすると私と戦ってるときの方が楽しそう。


で、話を戻してっと。

ちなみに容器は、なつめって言う、お茶の粉を入れる専用の器です。

ぱっと見は、片手に納まるくらいの入れ物だけど、中には1キロ分の粉が入るのでさりげなくマジックバッグの方式を組み込んである代物です。

何をどうやったのかはわからないけど、お茶っ葉以外は決して中に入れることが出来ない不思議な容器です。

ついでに言うと、これに入れるとそこらに放置しているよりも何倍も長持ちするし、香り抜けすることもしけることもないとてもお茶っ葉の保管にはもってこいなアイテムです。(これも都人たち作です)


うちの常連さんになると棗が空になるたびに中身を購入しにやってくる人もいます。

柄は、作成者個人個人の趣味で変わるので自分好みの柄を見つけて、マイ棗を見つけるのがうちのお茶ファン内の密かなブームなんだとか。


お茶の粉だけの販売と、棗にあらかじめ入ってるタイプと、棗だけという感じで販売しており、棗はサイズが3つあります。

1キロ分と、10キロ分と50キロ分です。

ちなみに、棗には必ずフリージアマークと呼ばれる父様と母様の仮面と同じマークが刻まれてます。

猫の顔の中央に肉球マークがあり、両側に翼があるシルエットです。


「お?良いのか?ってこれ、ルナール茶じゃねぇか!どうしたんだこれ・・現地に行かないとなかなか手に入らない貴重品だぞ?」

「実家ですから。布教みたいなモノです。」

「なるほど、そうなのか?」

「はい。私たち3人はそうですよ?」

「なるほどな。」

「それで、ルナール茶って名前なんですか?」

「ん?なんで現地民が知らないんだ?」

「みんな健康茶とか薬膳茶とか薬草茶とか好き勝手呼んでて名前がないからですよ?」

ちなみに、このルナール茶を作成していた一部のメンバーがなぜか調味料の調合に目覚め、大量のスパイスとか香辛料を集めたり育てたりしてます。

なので、ヘタすればうちの職人さんたちは、防具とか小道具作りよりもそれらの整備と食べ物関係が圧倒的に人数が多かったりします。

クラリティ王国に出したりする都合上、小道具や防具は納品分をしっかりと作ってるから支障は出てないけど、結構な人数の人がルナール茶と同様、趣味で空いた時間にスパイスの調合とかをやってる有様です。

まぁ、そうなった理由の大半は食べるのが大好きな母様においしいものを食べさせたいというただそれだけの理由だったりするんですけど。

クラリティ王国全体でもそうだけどうちだとそれに輪をかけるように母様は神聖視されてるからね。

というか、文字通り天使様ですし。

「なるほどな。一応言うと、それを知ってる連中は全員ルナールのお茶だからルナール茶と呼んでる。」

「なるほど。とりあえず、今回の依頼について教えてもらえませんか?」

「そうだな。お茶の礼にこれでも食べながら話そう。」

と良いながら、いろんな種類の焼き菓子と高そうな紅茶をいただきました。

香りが良いですね。

なにげにルナール茶以外を飲む機会は少ないので新鮮ですね。





「んで、今更だけど君たち冒険者ランクは?」

「年長組がAで、私たち年少組は登録して数日です。」

「・・・・おいおい、年長組はともかく年少組は大丈夫かよ・・。調査だけでも結構きついぞ?きついどころか手足のいくつかは軽くなくなる可能性が高いんだぞ?今回のやつ、結構強いらしいし。」

「家族柄、腕っ節には自信があるので大丈夫です。」

「家族柄・・・てか、あのお茶をくれるくらいだ・・年少組はもしやあの都出身か?」

私たち3人はこくりと頷く。

「あぁ、それなら安心だ。むしろ弱者があり得ねぇ。」

まぁ、トップがあの母様だしね。

最強都市扱いされてるのも、結構今更らしいし。

と言うより、このおじさんは見た目で判断しない人なんだね。


普通なら、そんなど素人を連れてくんなとかこんな子供が?みたいな感じのリアクションするのに。



「まぁ、腕っ節は安心したとしてとりあえずこっちでわかってることを話すよ。」


1ヶ月ほど前から周辺で低ランクの魔物どころか動物も見かけなくなり、この町で足の速いモノに調べさせたところ、金属で出来たクモらしき姿の魔物がいたんだとか。

で、そいつは日に増えていき、定期的にこの町にやってくる人たちからの追加情報で姿を自在に変化させる巨大な金属のゴーレムがいたらしい。

そいつは、遠目でしか見てないらしいが、何人かはテリトリーに入った瞬間自身の一部を切り離し、そのクモらしき生物を作り出して襲いかかってきたとのこと。


慌ててそのテリトリーと思われる区域は立ち入り禁止にして、近辺の村や町、通りすがりの看板にも注意するように警告をしたので、死傷者は出てないらしい。

けれど、ここ数日の間でその禁止区域の近くを通りがかった際にそのクモ型魔物の目撃件数が激増し、さすがに禁止するだけではそろそろヤバいとなり、その対策依頼が今回の依頼らしい。

「本音を言えば退治して欲しい。だが、そのクモのやつだけでも最低でも中級冒険者レベルはないときついって言うのに数は3桁は生ぬるいほどいる可能性が高いんだ。・・だから、無理して倒して欲しいなんて無責任なことは言いたくないから、せめて被害者が出ないように対策をして欲しかったんだ。それを、無責任で申し訳ないが君たちに現場を見て判断して欲しい。どんな結果になってもしっかり報酬は払う。・・この通りだ、頼む。俺は正直どうなってもいい。けれど、この町に住み、利用する人たちを被害者にしたくないんだ。」

すごく真剣な顔で深く頭を下げるおじさん。

この町に来たときに、悲壮感が漂っていなかったのはこうしてこのおじさんが被害者を出ないように必死に頑張ったからだ。


嘘の匂いはしないし、どこか必死な感じが漂う。

ホントに真剣でまっすぐで純粋な気持ちに私たちは素直に答える。


「任せて下さい。エトワールの名のもとにこの依頼、完遂させます。」

「っ!!・・・あぁ、無理はしない程度に頼む。」

目を見開いてそう宣言した私を見るおじさんは泣きそうになりながら笑顔を見せて再度頭を下げた。

私たち「はい!」

おじさんは、私のその台詞で私がクテン様の娘だと気付いたのだろう。

それでも、口にしないのは彼なりの思いがこもっている。


そんな誠実な気持ちに応えて全力で任務を完遂します。

あ、私がクテン様の娘だって言うのは内緒ねって言ってます。

だって、母様の崇拝者ってどこにでもわいて出るから鬱陶しいんだもん。

え?

クラリティ王国はって?

あそこは、手遅れだから諦めてるだけだよ-。





とはいえ、町長さんのお家から立ち去る前にチラッと気になって聞いてみた。

「・・どうして、私が嘘をついたって思わないんですか?」

「ん?そりゃあ、その名を嘘で言うようなやつは、ただの自殺志願者だろ・・って言いたいのが半々だが、」

半分なんだ・・。

と言うか、母様と父様たちの恐怖伝説は一体どれほどのすさまじさなのだろうか?

すごいのは知ってるけどちょっと予想以上。

たしか、父様と母様”は”両手に収まるくらいしかどこぞのアホの国とか町を滅ぼしてないとか言ってたっけ?

社会的限定だとイリスおじいさまは黒い裏側のある人たち相手だと3桁は軽く上回るほどの規模で殺っちゃってるらしい(ほんのわずかでも関わりのある人たち1人残らず)し、翠なんて緑の災厄パンドラって呼ばれて、長い年月の間、3桁は軽く国とか町とか、場合によっては島ごと消滅させたこともあるとか言ってた(細かい数は途中から数えてないらしいからもっとあると思う)しなぁ。


・・て、おや?

もしかしなくても、我がファミリーの一部は結構いろんな意味ですごくてエグいメンバーが揃ってる?

侍従メンバー内では、アルナさんは超有名だし、絵師だとリカルさんなんて伝説的存在だし、リンちゃんとティーちゃんのダブルご両親も職業とか過去の職歴とか実績が様々な方面でエグいし。

セイさんとユウさんなんて、どこかの国では守護神扱いしてたりするとか母様から聞いてるし、フォルシェンファミリーは、母様のご先祖様でもある初代英雄賢者様の弟子の子孫だから、スタンピートとか軽く殲滅出来るししてるし。


え?

アルナさんは何で侍従の中で有名なのかって?

基本的に、侍従は身の回りのお世話をするのは当然として、お世話をするあるじの気持ちやスケジュールを考慮して先回りして動く必要がある。

そうなると、必然的に顔色や仕草だけで何がしたいのか、何をするべきか判断しなければならないんだけど・・・。



そうです。

察したと思うけど、母様の無表情と仕草のしの字も動かないどころか、用事がなければしゃべることすらないから読心するために必要なレベルを求めるとしたらマックス以外は、まず無理だと思う。

それに、何もせずにのんびりしてるときなんてその美貌もあってお人形さんにしか見えない有様。

そんな人の先の動きが読める人なんて基本的にいない。

アルナさんという例外を除いて。

彼女に関しては、顔色とかが読めるというよりは、ワザと言うかスキル?を持っているというか、契約?してるのか、とにかく母様の気持ちとかを認識する類いのモノを持っているらしく、それでわかるんだとか。

けど、わざわざそんなことを説明するなんて基本ないし、さすがに10年以上母様に文字通りべったりなアルナさんはここ数年の間で母様の顔色で考えていることを読み取ることが出来るようになっていた。

なので、誰1人として彼女の前で顔色を読まれないことは皆無というエスパー的な扱いになり、侍従してる人たちからすると目指すべき頂点という扱いになっているわけです。


ちなみに、アルナさんとリカルさんは夫婦なわけだけど、子供は欲しいと思わないの?

と昔聞いたことがある。

すると、

「リア様を愛でるのでお腹いっぱいなので♪」

と満面の笑みで母様にほおずりしながら言ってました。

仲はすごく良いんだけど、アルナさんたちはどうやら母様を自分の娘扱いしてるようで、それで十分と思ってしまったらしい。

まぁ、言われて納得した私も私だけど。

ちなみにそんな質問をして納得した私は当時は5歳で、カルナから幼女らしくない台詞だとツッコミを食らったけどスルーしますスルー。



まぁ、母様の獣魔メンバーとかイリスおじいさまとか父様とかは別。

で、アルナさんの次に読心スキルが高いのは、ラウさん。

あの人の場合は、昔から勘の鋭い人だったのに加えて職業と過去の職歴柄、6割は推測でもほぼほぼ当たるだけだったりするけどそれでも母様相手だとかなりすごい。



「だが?」

で、もう半分の理由は?

「昔チラッと、よそを旅してたときにクテン様を遠目で見たことがあったんだが、そのときに感じた強い魔力と優しげな雰囲気が本当にお前さんはそっくりだったんだよ。とくにその顔立ちとかな。・・クテン様は無口無表情だったけどな。」

苦笑しながらそう言ってた。

旅・・あぁ、母様のお弟子さんの布教をする旅に出てたんだっけ?

まぁ、私は髪色と種族的な特徴(狐さんな部分のこと)をのぞけば瓜二つとか言われてるしなぁ。

私が表情豊かだからぱっと見は気付かれないけど。







とりあえず、出没場所を教えてもらい、その近くまでやってきました。

「リンちゃん、ちょっと様子を見てくるから手伝って。」

「ん?あぁ、アレか。了解。」

さすがティーちゃんも含めて三つ子扱いされるほど一緒にいるだけあって瞬時に理解してくれた。


「え?何をするの?」

「ちょっと上まで。」

「へ?」


アマルさんたちが困惑した顔をしてるけどスルーしてバク転を何回かしながら距離をとる。

「リンちゃん」

「来な」

私は体を前に倒れ込むようにした瞬間一気に脚に力を入れて踏み込む。


そして、だんだん速度を上げながら両手を組みつつ中屈みになって構えてくれているリンちゃんめがけて走り込み、

「いっ」

「せー」

私&リン「のっ!」

リンちゃんの両手に脚をのせた瞬間、リンちゃんが力一杯上空へ両腕を上げ、私はそれに合わせてジャンプする。


すると、リンちゃんのパワーに合わさってものすごい速度で上空に上がっていく。


適当なところまで上昇したところで重力に従って落ちていこうとするので【空歩】で宙にとどまって周囲を観察。


ふむふむ。

確かにおじさんが言ったとおりの場所になんかいた。

ちっちゃい金属の集合体みたいな生き物が、金属のクモっぽいのを作り出しては分解して自分自身に取り込んでる。


手下を作って獲物を集めて、手下ごと自分の力として取り込んでるっぽい。



とりあえず、このくらいでいいや。

【空歩】を解除して地上まで戻る。

結構な高さがあるけど、宙でくるくると前転したりしつつ、スタンと危なげなく着地。

「お見事」

「ありがとー」

「で、どうだった?」

「えっとねー」

とりあえず、見た情報をそのまま伝える。

「って、スルー?スルーなの?」

「へ?何がですか?アマルさん」

「いやいやいや。あの大ジャンプよ。」

「曲芸みたいなモノですよ。」

ラウさんとか、朝飯前であの程度出来るよ?

母様も、スピードはないけど同じくらいの動きは出来ると思う。

のんびりゆったりなのに、動きが左右前後どころか上下も含めてふんわりと出来ちゃうんだよね。

ある意味不思議。

「あぁ・・そうなんだぁ・・」

なぜにそんな遠い目をしてるの?

「・・さすが、クテン様のご息女。」

うんうんとシュテルさんは感心してるっぽいけど半分くらいは考えるのを放棄してるような気がする。

「可愛いなぁ。可愛いのにすごいなぁ。」

完全に考えるのをソレイユさんは放棄して私の頭をなぜか撫でてる。


・・・まぁいいや。


とりあえず、翠のお手製図鑑で調べて・・あぁ、あったあった。

ホントなんでも書いてあるよねこれ。

そんじょそこらにある図鑑全部を並べても、翠のはあっての他のだと見つからないのだって結構あるのに。

まぁ、母様とセイさんの崇拝者たちが世界各地からせっせといろんな本(図鑑を含む)を献上してくれるから随時この図鑑は更新されてるし、うちの図書館は日々拡大されてるんだけど。





ギアーズレギオン

数えるのも億劫になるほどの超大量の歯車の集合体で、分類としてはゴーレム。

基本形態は、横幅だけで50メートル級の宝箱

1つ1つの歯車は非常に硬く、その場の状況に合わせて様々な姿に変形し、魔力を纏わせることで硬度を増す。

ギアーズスパイダーを作り出すことが可能

気まぐれな性格をしているが、かなりはた迷惑。

その気まぐれによって、かつて数日のうちに森が消失したり、島から生物が全滅したり荒れ地になったりしたことがある。

ちなみに、こいつがやらかした行いが原因で結構な頻度で怨念を纏わせており、ギアーズレギオンを倒した瞬間にマジックゴーストが大量発生すること多数。

獲得部位:魔石、魔核、歯車(大・中・小)



ギアーズスパイダー

ギアーズレギオンから生み出されたクモの姿をした5メートル級のゴーレム

1つ1つの歯車は非常に硬く、その場の状況に合わせて様々な姿に変形し、魔力を纏わせることで硬度を増す。

ギアーズアントを生み出す。

ギアーズアントの管理を行い、周囲に存在する生物を見つけ、餌とすること以外一切考えてない。

獲得部位:魔石、歯車(中・小)



ギアーズアント

ギアーズスパイダーから生み出されたありの姿をした1メートルサイズのゴーレム

1つ1つの歯車は非常に硬く、その場の状況に合わせて様々な姿に変形し、魔力を纏わせることで硬度を増す。

自身の近くにいる生物は問答無用で自身の死傷ガン無視で襲いかかる。

基本的に、ギアーズスパイダーがギアーズアントを呼び出すことは少ないが、呼び出すときは短期間で周囲一帯を滅ぼすとき限定。つまりは、短期決戦用

獲得部位:魔石、歯車(小)



マジックゴースト

ありとあらゆる怨念と魔力によって出現するゴースト

炎・水・風・雷・土のいずれかの魔法を扱う。

ありとあらゆる攻撃が効かず、聖属性以外は効かないと言われているが、実際は散り散りになるまで攻撃しなければ復活するだけのため、聖属性によって攻撃した方が手っ取り早いのが現実

獲得部位:魔石




「これかぁ・・なんかめんどくさそう。」

私を抱きしめながら横からのぞき込みつつつぶやくティーちゃん。

「同感。増殖タイプ&殲滅タイプでしょ?」

ポフリとティーちゃんの頭をポフポフしつつのぞき込んでつぶやくリンちゃん。

「1つ残らず殺らないとダメなやつだね。」

「しかも、この歯車1つ1つがとんでもなく硬いらしいし。」

「なら、関節とか狙って崩したり、急所狙いしかないね。」

「それが良いと思う。」

「僕だと、やろうと思えば真っ二つとか出来ると思うけど、長期戦と考えるとやめた方が良い。」

「私も出来るだけ、魔力消費がねぇ・・。」

何がめんどいって、このギアーズレギオンってやつは、翠の図鑑によるとこれ1体でアントが5000と、スパイダーが1000は少なくとも出てくるってこと。

更にめんどくさいのは、ごくまれにそいつらの行動によって怨念が結構な頻度で纏われることが多いため、どこかのタイミングでマジックゴーストがわいてくること。

数は、出現させたアントとスパイダーの数の2倍。


うへぇ・・。

一応、私とリンちゃんはそう言う輩を浄化というか昇天させることが得意な属性みたいなものなので、なんとかなると言えばなるけど。



「とりあえず、私は今回ポジションどうする?」

「セニアは・・今回はバックで」

「うーい。最後当たりは突撃すると思うけど、露払いで雑魚を削るならその方が良いね。」

「じゃあ、僕が近、ティアが中、セニアが遠だね。あ、アマルさんたちはどうします?」

「んー・・私とシュテルが後方で、ソレイユが近かな。」

「いきなり連携してどうのとかは、正直今回みたいなゴタゴタだと大変だと思うので各自邪魔にならない感じでフォローしつつつぶす感じが無難?」

「だねー。」

さてさて

冗談抜きで、ガチモードでやらないとダメだね。



んじゃあ、ガッツリやりますか。

私があの都で歌姫と呼ばれるようになった本当の理由をここで発揮しちゃいますよ。

まぁ、母様と父様からは戦場の歌姫で、マルスおじさんからは巻き込み系(もしくは巻き添え系)歌姫とか爆笑しながら言われたりしたけど気にしない。



「とりあえず、私どうする?」

「セニア的に、あのボスいけそう?」

「んー・・ちょっと硬そうかなぁ」

ボスっぽいのを貫くにはちょいと硬さが私的には微妙に無理な気がする。

出来なくはないけど、その場合、私の全魔力と全体力と精神力をそれにだけ注げばいけるけどそうすると他の有象無象がほとんど対処出来ないと思う。

そう言う意味を込めて短く伝えるとリンちゃんはすぐに察してくれた。

「了解。じゃあ、僕がそいつをやれば良いかな。ティアは僕のサポート頼んでいい?」

「うい。セニアは歌姫モードでいくの?」

「そのつもり。サポートを並行してやった方が今回は良さそうだし、そのくらいやらないと今回はダメそうだし?」

「あぁ・・確かに。今回のアレは1つ残らずやらないと確かにダメだな。」

「お姉さんたちはポジションはどうします?」

「あぁ、私とシュテルは魔法の遠距離系がメインで、ソレイユは接近戦ね。セニアちゃんたちは?」

「僕は、扱う得物がこれなのと遠距離ワザは得意じゃないので。」

おっきな大剣2本を指差しながらリンちゃんは言う。

「私はやろうと思えばどのポジションでも行けますけど、今回はサポートと近中距離の予定です。」

扱う武器次第ではどれでもいけるし、魔法もどっちかといえば近距離と中距離系が得意だけど遠距離系も出来るし。

「私は、リンのサポートだから全員前戦でバトる。」

ティーちゃんは結界を用いた防御系が得意だけど、投擲とか杖やナイフを使ったワザは種類が豊富だから全戦で十分戦えます。

「かなり攻撃的なチームなのね。・・・って、サポートなのに前戦で戦うの?」






「じゃあ、とりあえず道作るね。」

「了解。」

私がそう言うと、リンちゃんはすぐに察してくれて体験2本を手に取り構える。

ティーちゃんもリンちゃんに付随する形で構える。


私は、両腕のバングルを1つの大弓に変え、風と雷を織り交ぜた大きな矢を1本作りだし、構える。

序曲(overture)

私は、ポツリをそうつぶやき、歌い始める。








--ティアーネ--

セニアがアレをつぶやくのはすごく久しぶりだ。

セニアはうちではかなり有名な歌姫だ。

最近では、ちょいちょいクラリティ王国でも歌ってるし、二つ名も流転の歌姫だし、あれだけ可愛いから人気も歌った数だけ増えてる。


え?

あの台詞がなんだか教えてって?

アレは、セニアにとっての自身の力をフルで発動させるための鍵だ。



セニアが弓を構え、自身の魔法で作り出した矢を構えた。

セニアの遠距離ワザで最も強いワザはこれだ。

基本的に接近戦関係を得意としているセニアだけど、万能型だ。



「歌?」

アマルさんがぽつりとつぶやきながら首をかしげる。

首をかしげる理由はわからなくもない。

戦いの最中に歌を歌う戦法はものすごく珍しいから。



・・・しょうがない。

私たちと共闘するんだから特別に教えてあげる。

「セニアの歌は、魔法の歌」

「ティアーネ君?」

「セニアが歌えば、力があふれ、鼓舞され癒やしをもたらし、敵対する相手には反対の効果をもたらす。」

誰かが、セニアの歌には言霊が宿っていると言った。

口にした台詞が現実になる予言よりもすごいことを指し示すらしい。



ある人がセニアの歌を聞いてトラウマを克服して引きこもりをやめた。


ある人がセニアの歌を聞いて前向きな性格に変わった。


ある人がセニアの歌を聞いて悪を許さない正義の心を強くした。


ある人がセニアの歌を聞いて仲間を守ることに人生を捧げるようになった。



セニアのステータスには、【心の歌】と言うワザはあるし、ワザを強化するワザも多少はある。

けれど、これまでセニアの歌によって良い意味で変わった人が何人もいることからそれだけでは納得出来ない点はいくつもある。


その理由を誰かが、セニアの母親が様々な意味で特別な存在だからだと口にしたことがあった。

フリージア様は、世界で唯一存在する最強の魔法使いである賢者だ。

しかも、種族はレア中のレアである天使族。

その中でも戦いに関してはその種族内でもトップを誇る階級持ちに加えて、始祖だ。

おまけにそのご先祖様である初代英雄賢者は現在神様だという。


これほどのモノが揃っているからまだ隠れた能力があるんだと思う。

それはまだきちんとした形で開花していないから表示されていないんだと思う。





「アレ?・・・すごい力がわいてくる・・これが、セニアちゃんの歌の力?」

そして、セニアが歌うことでセニアの仲間として認められた人物はすべての能力とステータスを1~2割ほど向上させる。

正しく言うと、ありとあらゆる無駄をそぎ落として、精神面を強化させることで強くなったと勘違いしてるんだけど。


故に、歌姫としてのセニアと共闘した人は必ずそのときの感覚がわずかに残っているから終わった後も魔力や体力の消費が少なくなっていたりする。





そして、セニアが矢を敵のボスであるでっかい宝箱姿をした歯車の塊に向けて放った。

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