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君の騎士 ~君を守るために~  作者: 無乃海
第一幕 名栄森学苑1年生編【3部 秋の巻 編】
92/201

81話 体育祭の後は…

 今回は、体育祭が終了した後のお話となっています。


いつも通りの未香子視点です。内容はやや暗めです。

 体育祭は全て終了した。結局のところ、学年優勝は、私達のAクラスが総合優勝となった。うふふふっ。思った通りになりましたわね。夕月(ゆづ)は勿論のこと、鷹野(たかの)君の活躍もありましたみたいで。あと、ケーちゃんとよっちゃんも、其れなりに活躍したそうですし、何よりですわ。


私はどうだったかと言うと、実は、借り物競争で()()1位だったのです。

他の生徒がお題に戸惑っていたお陰と、後は…、萌々花(ももか)さんの爆走のお陰で。

私にとっては…あの暴走は、死にそうになる程苦しかったのですが…ね。

まあ、結果オーライでしたから、恨みは致しませんですことよっ!


体育祭の大きな荷物の片づけ等は、体育委員と生徒会の皆さんが引き受けてくれているので、私達は自分の荷物だけを、教室に片づければ良いことになっている。

これが、公立であったならば、全て自分達で行うということだから、私はこの学苑で良かったですわ。準備も片づけも時間が掛かるようですし、あれだけ走った後にも、まだ片づけをするなんて、絶対に私には…無理でしてよ。


今の私には、自分の荷物を持つのが、精いっぱいなのですからね。既に筋肉痛になり始めているようでして、足が痛くて重くて…。校舎までの道のりが、途轍もなく遠く感じていた。夕月(ゆづ)赤羽根(あかばね)部長に呼ばれて、一度部室に向かっていますから、今の私は1人で歩いていた。ケーちゃん達と皆で一緒に歩いていた筈なのに、気が付きましたら1人っきりになっていましたのよ。まあ…どうせだからと、少しでも近道しようと考えて、校舎の裏庭の方を通って行く。


後ろから、誰かに呼ばれたような気がした。でも、私は…疲れで振り向く気力もなくて、空耳だろうと思い込んで。しかし、今度こそ、はっきりした声が聞こえる。

そうなのです。「九条(くじょう)さん!待って!」という、女子の声が。そして、その声に聞き覚えがあることに、気づき…。()()()は…萌々花さん…ですわよね?


私が歩く足を止めると、萌々花さんが()かさず、私の前に回り込んで来た。

どうやら、どうしても()()()()()()()()があるようで。多分…先程のお題のこと、なのでしょうね?私は…のろのろと、彼女の顔を見つめる。彼女は、自分で呼び止めて置きながら、思い切り困惑した表情である。代わりに()()無表情だろうな…。

…疲れているのですから、仕方がないのですのよ…。


「…あの…九条さん。あのお題の意味って、その……。」

 「……(すが)さん。私…疲れておりますので、簡潔に言いますわね?…あの()()()()()()の意味ですわ。私とあなたの関係は、それしかありませんもの。」

 「…えっ?!…で、でも、…それって…意味は…。」

 「…ですから、あなたと私は『()()()()』ですわ。そう、書いてありましたでしょう?私には、『ライバル』と言ってもいい人は、あなただけでしたので。」

 「………。」


萌々花さんが決心したように、前のめりに訊いてくる。やはりお題の内容が、彼女には…理解出来なかったようですわね?ですから、ハッキリ言ったつもりですが、彼女は…まだ()()()()に気が付いていないのか、意味を聞いて来るのでした。

…ふう~。歯切れ悪そうに話し掛けられて、私は…イラっとして来る。


お題には『ライバル(あなたにとって、勉強でも何でもいいので、この学苑に居るそういう存在の人)』と書いてあったのです。ですから…私には、彼女しか思いつかなかったのである。恋のライバルとは書いてなかったのですが、普通はそう思うでしょう?…勿論、私もそう思いましたから。

本来ならば、葉月(はづき)が1番に思い浮かぶと思う。しかし、この学苑に居る人という条件でもありましたから、彼女しか居なかったのですのよ。…飛野(ひの)君が居るって?

飛野君は、私にとっては、心からのライバルではないのです。ごめんなさいね。


私のはっきり宣言した言葉に、萌々花さんが黙り込む。どうやら、全く自分の気持ちに、気が付いていない訳ではなさそうね。()()()()()()()という顔をしている。

それでしたら、私も…はっきりさせようと思います!






     ****************************





「私…子供の頃から、夕月(ゆづ)が大好きなのです。夕月(ゆづ)は、私と約束をしてくれました。ずっと傍で守ってくれると。ですから、あなたには申し訳ないのですが、私は負けたくありませんし、譲るつもりもありません。『ライバル』という関係上、あなたと仲良くするつもりもありません。夕月(ゆづ)から手を引いてほしい、とは言いませんけれども、私と仲良くすることで、夕月(ゆづ)とも3人で仲良く出来るなどとは、考えないで下さいませ。」

 「…私…そんなつもりは…。ただ…九条さん()()仲良くなりたいと思って…。」

 「私は、夕月(ゆづ)に本気で気がある人とは、仲良くなりたくないのです。あなただって、夕月(ゆづ)が私を優先するのを、すぐ目の前で見続けられませんよね?…そういう事なのです。私も…あなたと夕月(ゆづ)が、これ以上仲良くしているのを、すぐ目の前で見ているなんて、耐えられる訳がありません…。」

 「私……私は………。」


私は、はっきりと心の底から、()()()語りましたの。萌々花さんは、確かに自分の利害を考えて行動していない、とは思う。しかし…それとこれとは、別なのよ…。

私は、彼女とは一定の距離を保ちたいの…。出来れば、夕月(ゆづ)を諦めてほしい。

流石に…それは、狭量(きょうりょう)なことですし、したくない…。


反対に萌々花さんは、私の言葉にショックを受けているみたいだった。仕方がないのかもしれない。本来なら、女子同士で女子を取り合うことは、滅多にないことですものね?…私には、男性が好きになれない理由が、きちんとありますのよ。

でも、彼女には…特にないと思われる。偶々、本気で惚れてしまった相手が、夕月(ゆづ)だというだけで。好きになった相手が、()()()()()()だけで。


 「そういうことですから、無理してお友達にならない方が、いいと思いますの。私も…夕月(ゆづ)の行動を制限したくないですし、私には…極力関わらないで、いただけますか?」

 「………。九条さんは、北岡君の…恋人扱い…なの?」

 「…はい…と言いたいところですが、そうではありません。でも、そうなりたいとは…願っておりますのよ。心から、私は…。」

 「…私のことも、その『ライバル』だと…見てくれているんですよね?…それならば、『ライバル』に見てもらっても、私は一向に構いません。お2人が…恋人かも…と、思っていたので。…それでも、私は…2人の友達になりたい、と本心から思ったんです。九条さんの『ライバル』と認めてもらえるのなら、私も…本当は、負けたくありません!」


何と…萌々花さんが、超本気モードに!?…あれで、諦めていましたの?

私のライバルになって、負けたくない宣言をされ……。私は…泣きそうになって。

分かっていたのに、本気で()()()()()()されれば、今まで我慢していた出来事が、噴火のように飛びだして来て。もう、何が何だか分からない状態になって来る。


 「先日は、私は…夕月(ゆづ)とのご褒美デートでしたのに、あなたが厄介ごとに巻き込まれるから…。見過ごすことが出来ない優しい夕月(ゆづ)は、あなたを助けに行って…。頬にキスなんて…絶対に許せない…!」

 「…やっぱり…あの時、北岡君が九条さんを待たせているって…。デート…だったの?…北岡君だと分からなかったから、ビックリしたけど…。あれ…九条さんの為…だったの?」

 「そうよ!夕月(ゆづ)は…私の為になら、何でもしてくれるのよ。」

 「それは…甘えすぎなんじゃない…?」

 「…何も…知らない癖に!夕月(ゆづ)は本当は、私の為に男装してくれているの!そちらこそ、勘違いしないで!」

 「…九条さんって…我が儘過ぎると思う。北岡君は、今はフリーなんでしょう?それなら…北岡君は、()()()()()()()()よね?」

 「違うわ!夕月は、元々私の為にやってくれているのよ!あなたは、何も事情を知らないくせに!」

 「…落ち着いて、九条さん。そうだとしても、それは、北岡君に我慢させているんじゃない?もういい加減、北岡君との約束を反故ほごにしてあげたら…?」

 「…何も…事情も知らないのに、良い人ぶらないで!…私から…夕月(ゆづ)()()()()()!…私には、夕月(ゆづ)が必要なの!…絶対に!」


私は…涙を浮かべていた。周りの様子が白くボケて、見えにくくなっている。

唯々…萌々花さんが居る方に向いて、売り言葉に買い言葉で、言葉を吐き出す。

その時、私の肩を抱くようにして、声を発した人物に…ハッとして身体が震える。その仕草で…夕月(ゆづ)だと気が付きました私…。私達の言い争いを…聞かれてしまったのね?…何処(どこ)から…聞かれていたの?


 「………夕月(ゆづ)……私……。」

 「…未香子(みかこ)。帰ろう…?」


私は…夕月(ゆづ)を呼んでみるけれど、振り返っても視界がモヤが掛かっていて、見えなかった。夕月(ゆづ)は…特に何も言わず、ただ「帰ろう?」と言って。私が…こくんと首を縦に振って肯定すれば、夕月(ゆづ)はそっと私の身体の支えてくれて。

「行こうか。」と、私に声を掛けてから、一緒に前に歩き出して。


 「…あっ!…あ…あの…北岡君!…私は別に……。」

 「…萌々、ごめん…。私と…未香子のことには、()()()()()、口出ししないで欲しいんだよ。未香子との約束は、私にとっても…大切な約束なんだよ…。」

 「…えっ…………。」


私達が歩き出そうとすると、萌々花さんが夕月(ゆづ)を引き留めるように、声を掛けて来た。しかし、夕月(ゆづ)は…彼女の言葉を、遮るようにして言葉を返した。

その言葉は、萌々花さんを()()()()()()でもあって…。それに対して、彼女は目を見開いて驚き、何も…言えなくなり……。


私と夕月(ゆづ)は…そのまま、彼女を置いて立ち去ったのである。この場では、夕月(ゆづ)が…私を選んでくれてよかった…。でなければ…私は、どうなっていたのでしょうね?

 体育祭の当日のお話、その続きpart4で、体育祭の行事終了後です。


未香子のお題について、内容がはっきりしました。

実は当初、『好きな人』にする予定でした。しかし、それでは当たり前過ぎる為、変更したのです。

何処かで未香子と萌々花の2人の確執を作りたかったので、今回がチャンスとばかりに詰め込みましたが。結果オーライで満足しています。

まあ、これで、萌々花も自覚したことでしょうね。

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